「クリーピー 偽りの隣人」★★★ [映画日記]
観ましたよ、「クリーピー」だか「クリープ」だか言う映画!
2020年10月公開「スパイの妻 劇場版」でベネチア国際映画祭の銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞して、時の人となっている黒沢清監督が手がけた旧作品。
2016年に日本公開された、黒沢流サイコ・サスペンスです。
清の変態ものですよ!
ずっと前から、いろんな動画配信サービス内で視聴可能だった作品なのですが。
いろんな人から「クリーピーはつまんない。クリープを入れたコーヒーは美味しいけども」と言われ続けて、手が伸びずにいた作品です。
今回、「スパイの妻 劇場版」の受賞が勢いをつけてくださいました。
女スパイさまさまですよ!(←「スパイの妻」です、正確には)
鑑賞してみたところ、なかなか面白かったです。
この作品は公開時の2016年に観るよりは、2020年に観たほうが見どころを感じやすいと思います。
「クリーピー」を観るなら、いつ?
今でしょ!(←古いですか)
主人公で、元・刑事の犯罪心理学者役を西島秀俊さん、その妻役を竹内結子さんが演じてますよ。
竹内結子さんな〜、美貌も才能も持ち合わせた素晴らしい女優さんだと改めて思いました。
竹内結子さんの役は、人の道を外れちゃう不安定な役なのですが、竹内結子さんだからこそ無理なく魅了的に、変な役もエンターテインメントに仕立ててくれている、と思いました。
西島秀俊さん演じる犯罪心理学者と共に、一家失踪事件の謎を解こうとする元・同僚役は東出昌大さんですよ。
あの東出ですよ!
この時点で、西島秀俊さんと東出さんという、日本の2大・大根役者が夢の顔合わせ。
セリフの棒読み合戦の始まり〜!
それなのに、他の出演映画でもそうなのですが、今回も東出さんの大根ぶりが気にならない。
むしろ、本当に「ものを棒読みっぽく言う人」みたいなリアリティ。
ヘタウマに昇華!
これは、東出さんが優れているというよりは、使う監督の手腕が優れているのだと思います。
本当に、東出さんてクリエイターに恵まれている人だと思いました。
というか、もしかして、東出さんて大根役者だと思っていたけれど、本当はものすごい名優なのかな〜。
ま・さ・か・ね!
西島秀俊さんの方は、いつも通り。
他の出演作品で見る西島秀俊さんと全く同じ、役作りゼロの安定感でした!
ただ、今回の西島秀俊さんは、髪型が少しボリューミー。
トップをふんわりさせた、エアリー西島!
ヘアメイクさんは、がんばっていました。
一家失踪事件の謎は、なんと主人公の隣人に繋がっていくという展開。
隣人の変人役は香川照之さんが演じているのですが。
さすがの実力ですね、照之さん。
さすが浜木綿子さんの息子さんですよ!
初登場シーンから、照之さんの不気味さ全開。
照之さんからは「この人と目を合わせてはいけない」みたいな、ピリピリした危険な周波数が出ていて素晴らしい〜。
日本のハビエル・バルデムというような怪演を見せていました。
隣人宅の奥には、照之さんのアジトがあるのですが。
「羊たちの沈黙」の犯人宅に引けを取らない、見事な変態部屋〜。
変態のキャッスルですよ!
照之さんのアジトに関しては、日本っぽくない、ハリウッド的な派手さを感じました。
気色の悪い変態映画なのですが、全体的には、黒沢清さんの美学で演出されてクールで乾いた味わいで、洗練味がありました。
お偉い刑事役で笹野高史さんも出てくるのですが。
ものっすごくシリアスな場面で、笹野高史さんが落とし穴にストーン!
頭のてっぺんが見えなくなるくらい、キレイに落っこちる場面で思わずキャハハハハハッ!!
落とし穴に落ちるセンスが、お笑い芸人並みでした。