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「クレイジークルーズ」★★★ [映画日記]

「怪物」で、カンヌ国際映画祭の脚本賞を受賞するという快挙を成し遂げた坂元裕二さん。
1発当てたんですよ!
そんな裕二さんがNetflix様と長期のご契約。
書類に母印ですよ!
当面は、Netflixオリジナル作品の脚本を書いて食べていくようです。
ああ、人気脚本家は食いっぱぐれナーイ!
今作は、そんな裕二さんが脚本を手がけた、Netflixオリジナル作品の第一作目。
一隻の豪華客船内を舞台に、バトラー職の男性が、殺人事件の謎を追うというミステリー映画です。
「マスカレード・ホテル」みたいなもんでしょうか。(←禁句)
キャストも豪華で、パッと見は楽しい映画なのですが。
思ったほどのパンチはありませんでした。
破壊力がないんですよ!(←ゴジラみたいな破壊力を期待する方がおかしいですか)
なんかユル目の、ソフト演出になっていたと思います。
近年では、ケネス・ブラナー監督作のアガサ・クリスティー原作映画シリーズを観ているので、今作がパワー不足に思えたのでしょう。
ケネス・ブラナー監督作は、ミステリー映画であっても、演出はスペクタクル感がありますので。
そうは言っても裕二さんの脚本は良い感じです。
キャラ配置、伏線の仕込み、タネ明かし場面、どれも充実していました。
やはり、セリフに気の利いたものが多いですね。
日本語ならではの言葉遊びも上手なのですが、この趣が世界の視聴者に伝わるのかは心配になりました。
主人公を演じたのは吉沢亮くんで、相手役が宮崎あおいちゃんですけども。
2人とも魅力がある人なので、顔面からオーラが出まくりでした。
「吉沢亮くんに執事みたいな服を着せて、丁寧な対応をさせる」という試みは良いですね。
「そういう萌え狙い」ですよ!
宮崎あおいちゃん演じる女性は、職業など人物設定が不明の、ただ、振る舞いやファッションが魅力的なだけの役なのですが。
「主人公を振り回す系」から「主人公のガールフレンド候補」に昇華する劇的キャラ。
「エターナル・サンシャイン」(2004年)におけるケイト・ウィンスレットみたいな不思議な存在感で、映画映えのする人物像でした。
吉沢亮くんと宮崎あおいちゃんによる恋愛場面が、まあまあ多いんですよね〜。
まあね〜、抱きはしませんけども!
ヤングアダルト恋愛映画としても成り立っていて、娯楽作を目指していることが伺えました。
裕二さんとNetflix様のご商売・第2弾にも期待したいと思います。
ゴジラ系・初の海外実写ドラマ「モナーク」に日米・二世タレント集結~。 [海外ドラマ日記]
2023年の秋に大ヒット中の日本映画が「ゴジラ-1.0」。
「ゴジラ-1.0」は12月1日(金)からの北米公開も控えているし、世界的にゴジラが熱い!…という状況ですね。
このタイミングで、ゴジラ・シリーズ初の海外実写ドラマ「モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ」が、「apple TV+」で(随時)配信中~。
商機は逃さないんですよ!
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早速、ドラマ「モナーク」で配信中の第1~3話を再生してみましたところ。
日本人キャストが多いし、なんと一部のロケ地も日本ですよ。
新宿の繁華街で撮影していてビックリ。
いつ来なすった、海外スタッフ!?
日本人キャストは童顔の優しげで上品なタイプが多く、「米国人が抱く日本人のイメージって、今こんな感じなのかな」と思いました。
昔だと、映画やドラマの中に出てくる日本人はキツネ目か、メガネをかけてるか出っ歯でしたので!
そして、映画「キングコング:髑髏島の巨神」から、ジョン・グッドマンが同じ役で出たーっ。
このドラマは、ハリウッドのゴジラ・フランチャイズ「モンスター・バース」中の、正式なスピンオフ作品となっているようです。
というわけで、このドラマからは、いろいろとスタッフの本気を感じました。
ドラマの内容は、常に巨大怪獣が出ている感じではなく、巨大怪獣の謎を追う「ミステリー・アドベンチャー・ロマン」という感じ。
今のところは、毎話、何かしら巨大怪獣がチラッと出てきて、楽しいです。
引き続き、順次配信される第4話以降を観ていこうと思います。
米国キャストでは、カート・ラッセルと、実の息子ワイアット・ラッセルが、まさかの大共演~!
ワイアットの実母はゴールディ・ホーンですよ!
こちらの写真は普段の親子3人、まあまあ食べ散らかしている状況ですね。↓
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共演とは言っても、ラッセル父子は、米国軍人の老年期と青年期をそれぞれ演じているから、同じ画面でのツーショットは(第3話時点では)見れなくて残念~。
カート・ラッセルの役は、自称「(90歳過ぎてるけど)若見えする」とのこと。
まーね、70歳を超えると、70も80も90も見た目は同じようなものですしね!
日本人キャストで、重要な役の1人が澤井杏奈さんですよ。
澤井杏奈さんといえば、2024年2月に「Disney+」で独占配信予定の、真田広之さん主演、浅野忠信さん等共演の米ドラマ「SHOGUN 将軍」に出演していることでも話題の子。
上り調子の子ですよ!
若い日本人女優で、英語ペラペラなのは杏奈さんくらいなのかもしれません。
澤井杏奈さんの異母姉弟役は渡部蓮くんですよ。
RIKACOさんと渡部篤郎さんの次男様が、こんなに大きくなって海外ドラマにご出演しとります!
こちらの写真、センターが杏奈さんで、右端の青年が蓮くん。↓
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その他の出演者は平岳大さんですよ。
実生活では、佐久間良子さんと平幹二朗さんのお子様ですよ!
怪獣ドラマとしても、日米・二世タレント共演ドラマとしても見応えのある作品でした。
「ザ・キラー」★★★ [映画日記]

デヴィッド・フィンチャー監督の新作がNetflixオリジナル映画として登場〜。
脚本はアンドリュー・ケヴィン・ウォーカー、プロデュースはブラッド・ピットということで。
「セブン」(1995年)のメンツが奇跡の再集結〜。
セブンの同窓会みたいな映画ですよ!
どんな作品なのかな〜、と思って観てみたら。
物語が始まってすぐに「もしかして原作はマンガですか?」と思うようなスタイリッシュ感を放っています。
どうやら原作はフランスのグラフィックノベルらしいです。
フィンチャーさんの前作は、クラシック映画「市民ケーン」をフィーチャーした、難易度高めのモノクロ映画「Mank/マンク」(2020年)でしたので。
今回の「ザ・キラー」は分かりやすい話だし、マンガっぽい絵面だし、ずいぶん若返ったよね、若見えするよね、と思いました。
「ザ・キラー」は、1人の殺し屋クリスチャンの活動と復讐を描いたクライム・サスペンス。
クリスチャンは凄腕で、暴力表現も激しめ、ということで。
この作品はつまり、デヴィッド・フィンチャー版の「イコライザー」みたいな立ち位置という解釈でいいのでしょうか?!
殺し屋クリスチャンは、言動はすさまじくクールでありながら、どこか人間臭さもある、魅力的なキャラクターになっていたと思いますけども。
「イコライザー」ほどの派手なエンターテイメントではなく、普通に劇場公開されたらヒットしなさそう、と思いました。
殺し屋クリスチャン役を演じたのは、マイケル・ファスベンダーですよ。
ファスベンダーさんの主演作なんて久々ですね。
近年のファスベンダーさんは、実生活では嫁のアリシア・ヴィキャンデルと遊んで暮らしているようです。
いいですよね、富豪様は!
久々に見たファスベンダーさんの顔は、だいぶヴィゴ・モーテンセンみたいになってきましたね。
仕上がってきましたね、イケおじに!
そして、ファスベンダーさんの持ち味である「ロボットみたいな冷感」が最大級に活きています。
ツンとしてんの!
無表情だと怖い人ですね。
夜中にお便所に行こうとして、こんな人が無表情で廊下に立ってたら、便器を待たずに失禁しちゃう!
殺し屋役にピッタンコなキャスティングでした。
殺し屋クリスチャンと対峙する役で、なんとティルダ・スウィントン様が出たーっ。
フィンチャー作品で、ファスベンダーさんとスウィントン様を同一画面で拝めるなんて幸せでした。
スウィントン様が演じる役のことを、劇中では「綿棒みたいな女」(大女)と2回くらい説明されていました。
ファスベンダーさんもセリフ内で「あれが綿棒みたいな女(大女)か。なるほどな(納得)」と言っていて笑いました。
スウィントン様を「出オチ」扱いにしてしまう、罪深い愛称でした。
「ナイアド ~その決意は海を越える~」★★★ [映画日記]

主人公は、実在するスイマーのダイアナ・ナイアドさん。
演じている女優さんをパッと見て「誰?戸田奈津子さん?」と思いましたけども、それはアネット・ベニング!
さらけ出してる老たる体!!
目が慣れてくると「あ〜確かにアネット・ベニングだわな。隠しきれない美と個性」と思うのですが。
役への「なりきり度」は高いですね。
アネット・ベニングが、賞レースの「主演女優賞1本狙い」を賭けた勝負作になっていると思います。
主人公の親友役はジョディ・フォスターですよ。
だいぶね〜、ジョディさんも歳を重ねてムツゴロウさん化が進みましたけども。
アネット・ベニングと同じくらいの出番量で、主人公を理解している重要な役どころになっています。
アネット・ベニングとジョディ・フォスターがワチャワチャとダベっている姿が、本当の友達同士を見ているようで微笑ましい〜。
まるで吉行和子さん&冨士眞奈美さんですよ!
ありそうで無かった、良い共演だと思いました。
主人公のダイアナ・ナイアドさんが、キューバからフロリダまで泳いで渡ろうとする挑戦を描いた、実話ベースの物語。
50時間以上も徹夜で泳ぐんです。
60歳を過ぎてスゴイ!
再現された遠泳場面が、過酷でビックリ。
体調不良、悪天候、有害な海洋生物が主人公を襲いまくり!
ほとんど溺れてるじゃんか〜!!
計画は失敗を重ねますが、めげないダイアナ・ナイアドさん。
何度も、何度も立ち上がる!
そんな姿を観ていると涙が出てきます。
「60過ぎてるおばさんが、ここまでガッツを見せている。自分もまだまだやれることがあるのではないか」と勇気づけられました。
ミッション遂行型の構造を持つ物語で、クライマックスは盛り上がりました〜。
一般的に、登山家は「そこに山があるから登るんだ」みたいな哲学を持っているようですけども。
ダイアナ・ナイアドさんも「海があるなら渡ってみたい」という基本的・信念がありつつも。
今作では「虐待された過去を、誇り高い記録で塗り替えたい。人生を上書きしたい。もうあとは死ぬだけなのだから」という解釈もされていて、まあまあ複雑で現代的な女性心理に脚色されていました。
劇中でのセリフでも「水泳は個人競技だけど、遠泳はチームプレイ」と言われていたように、ジョディ・フォスター演じる水泳コーチで相棒のボニーも、よく主人公に付き合っています。
ダイアナ・ナイアドさんは、サバサバした性格だけに、周囲を振り回す傾向に。
そんな彼女を見捨てず、自分の時間を犠牲にしてまで彼女の夢をサポートするボニーって、なかなかの人材ですね。
いい奴なんですよ!
そんな2人のおばさんによる絆が熱かったです。
どうやら2人はLGBTQらしいのですが、交際はしておらず、関係は「30年来の友達」っていうのが、また良いんですよね〜、ドロドロしてなくて。
抱いてないから良いんです!
「実話」×「スポ根」×「LGBTQ」×「虐待」×「おばさん友情」という要素で、「老若男女が感動できる今どき映画」という感触に仕立てていましたね。
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