「ロープ/戦場の生命線」★★★ [映画日記]
時代設定は1995年、ユーゴスラビア紛争停戦直後のバルカン半島を舞台にした、スペイン製のドラマ作品なのですが。
重すぎない。
それでいて軽すぎない。
ちょうどいい軽食みたいな作品ですよ、ハムサンドみたいな!(←好物)
ストーリーもシンプルでありながら、起伏もありスリルもスピード感もある。
皮肉やユーモアもあれば、伏線もあるし。
作品の特徴が説明しづらくて売り方が難しいけれど、これはとっても良い作品でした。
基本的に、国際救助活動家チーム「国境なき水と衛生管理団」が、現地の人々のために奔走するお話。
活躍するんですよ、お水の団体さんが!
チームは、井戸の中から死体を引き上げたいのに、ロープが無い。
現地にて、1本のロープを探しまわる展開に。
ひも映画ですわな!
ロープを見つけたとしても、現地の人が理由を付けて貸してはくれない。
その理由が紛争の悲惨さや、人の生きづらさを物語る、という仕掛けがニクい。
チームが、口に出して反戦を語ることはありません。
彼らは「給料が少ない」と愚痴をこぼしたり、笑えないギャグを言ったり、無駄話をするのが中心。
反戦などメッセージの数々は、あらゆる背景に仕込まれているという脚本が粋すぎる〜。
主人公のマンブルー役を演じているのはベニチオ・デル・トロですよ。
相棒的な役はティム・ロビンスが演じてますよ。
ハリウッドの2大オジンが、ダサくて臭そでかっこいい〜。
主人公マンブルーが基地に戻ると、「すげえロシア美人がいる」と男連中がソワソワ。
「どれどれ」とロシア美人を見てみたら、その美人役はレン子さんが演じているというサプライズ!(←オルガ・キュリレンコ)
しかもロシア美人は、マンブルーの元カノだった、というステキな設定。
今回のベニチオは、ずいぶん年下のねえちゃんを抱いていたという役。
まさかのイケメン枠なのでした!
ベニチオとレン子さんの掛け合いは、まるでルパンと峰不二子。
ぶっきらぼうな会話場面が、いかにも破局後の男女という感じで、大人のラブコメが展開されますよ。
ベニチオがレン子さんに「おい、ウロウロしてないで、ジッとしてろ」と指示すると、レン子さんがムッ。
「オシッコしたいだけなんだけど?フン、なによ。わかったわよ!」とキレ、他にも男性たちがいる前で座り込んでのご放尿!
あのレン子さんが野ション!!
ユーゴスラビア紛争と現地の救助活動を描いた作品とは思えない、軽快な味わいが妙味でした。
ティム・ロビンスの方は、「あ〜あ、俺もそろそろ身を固めて、子供でも持つかな〜」と言っていて、「アンタ今から?もう60くらいだよね?あきらめたら?」と思いました。
キーアイテムの「ひも」は最終的にどうなるのか、井戸の中の死体はどうなるのか、というオチも面白い。
「国境なき水と衛生管理団」の皆さんには頭が下がるし、彼らのことを大好きにもなりました。
団体映画の決定版という感じでした。