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「ARGYLLE/アーガイル」★★★ [映画日記]

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ヘンリー・カヴィル主演作のようで。
 
実はヘンリー・カヴィルは脇役、っていう変化球。
 
ばかされました!
 
作品ジャンルは「スパイもの」ということで、物語も二転三転、常に観客を騙し続けてくれました。
 
脚本家は、きっとキツネかタヌキですよ!
 
アクション場面も派手で、とっても楽しかったです。
 
主演は、なんとブライス・ダラス・ハワードですよ。
 
今作は、ブライス・ダラス・ハワード主演映画史上、最大の大作かと思います。
 
ブライス・ダラス・ハワードは、今作を最後に引退しても良いくらいの、でっかい花火を打ち上げましたよ!
 
劇中にて、スパイ小説「アーガイル」シリーズの著者役がブライス・ダラス・ハワード。
 
小説の内容に真実味がありすぎて、ブライス・ダラス・ハワードが悪者に命を狙われる、というような展開です。
 
「アラフォー独身女性の冒険譚」という立ち位置が新鮮〜。
 
よくぞ作り上げたと思います。
 
ひと昔前なら、「アラフォー独身女性の冒険譚」という大作映画は、企画の段階でボツになっていたでしょうね。
 
しかも相手役はサム・ロックウェルということで。
 
ヒロインに恋する相手はオッサンっていう!
 
お話は、とくにキラキラしているわけでもない大人の男女が回している、というのも特徴かと思います。
 
人種、性別、いろんな多様性が問われている昨今ですけども。
 
アクション超大作のメイン・キャラが、キラキラしていない40歳以上でもいいじゃない、っていう多様性に到達!
 
時代の成熟味を感じました。
 
ヘンリー・カヴィルが演じている人物は、小説内の登場人物「アーガイル」だったんですね〜。
 
劇中劇の人物ですよ!
 
スチール写真でのヘンリー・カヴィルは髪型がとっても変なのですが。
 
剃り込んでんの、ビーバップ・ハイスクールみたいに!(←死語)
 
小説内の登場人物だから、マンガみたいな髪型をしていたんですね〜。
 
製作・監督は「キングスマン」シリーズを仕掛けたマシュー・ヴォーンということで。
 
マシュー・ヴォーンって、実の妻がスーパーモデルだし、なんというか、上昇志向が強いというか〜。
 
商売に貪欲なタイプの映画作家かと思います。
 
映画作家と富豪という、二足のわらじを履きたいタイプですよ!
 
今作も「3部作想定」とのことで、「どうしてもスパイ・シリーズで金字塔を打ち建てたいんだね」と思いながら今作も鑑賞いたしました。
 
今シリーズは、スーパーマン役を降りたヘンリー・カヴィルの、新たな稼ぎ口になるようです。
 
「やっと再就職先が決まった友人」を見ているような気持ちにさせるヘンリー・カヴィルでした。
 

 

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「ネクスト・ゴール・ウィンズ」★★★ [映画日記]

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「スポーツ実話もの」ですね、「クール・ランニング」(1993年)みたいな。(←古いです)
 
クライマックスは試合で盛り上げるタイプです。
 
これは誰でも、簡単に、さわやかに、微笑ましく感動できる作品かと思います。
 
描かれている種目はサッカー、お国は米領サモアです。
 
ただの「サモア」じゃありません、米領なんです!
 
漢字+カタカナ表記の名称が不思議な感触でした「青山テルマ」的な。
 
2001年のワールドカップ予選で、31対0という屈辱的な負け方をした米領サモアのサッカーチーム。
 
31点て、かわいそうだけど笑っちゃった!(←失礼)
 
「なんとか公式試合で1点取りたい。100点はいらない。1点でいい」という、超ささやかな願望の元、米領サモアのサッカーチームは、アメリカから左遷された白人コーチの指導を受ける、という展開です。
 
米領サモアの風土や風習が、のどか〜。
 
感触はハワイですよ。
 
米領サモアというか、これはもうハワイでいいのでは?!(←イメージが貧弱ですか)
 
海など、大自然に囲まれた環境で、スポーツ試合や練習をする土地じゃないですね。
 
ダラダラ過ごす土地ですよ、一日中!
 
のんびりしたリゾート志向の民族性を持つチームメンバーが、どうやって荒々しいサッカー試合で点を入れようとするのか、そんなところが見どころかと思います。
 
練習場面もありますが、めちゃめちゃ厳しい感じでもないし〜。
 
試合当日だというのに練習してそうもない新メンバーが突然加入するし、なんかやっぱり牧歌的〜。
 
結局、どうやっても米領サモアにサッカーは向いていない、というお話だったような気も。
 
異文化を持つ人間たちが、ぶつかり合いながら人生を前に進めていく、というような作品テーマになっていたと思います。
 
とってもふんわりした、かわいいスポ根映画でしたね。
 
主人公で、アメリカから来たコーチ役はマイケル・ファスベンダーですよ。
 
これまでの出演作では冷酷な役か、アンドロイド役がオハコのファスベンさんでしたけども。
 
ロボット面のイケメンなんですよ!
 
今作では人間味が全開〜。
 
喜怒哀楽を全身で表現なさるファスベンさんが新鮮。
 
新味ですよ!
 
基本的に堅物キャラクターのファスベンさんが、牧歌的な米領サモア現地住民からユルくイジられる場面が楽しいです。
 
つつかれるんですよ!
 
「イケメンいじり」タイプのコメディ路線になっていて、それがまたファスベンさんの魅力を増し増し、盛り盛りにしていました。
 
こんな役を引き受けてくださるのだから、ファスベンさん本人は良い人なんだと思います。
 
テレビ女優のモス子も出ているから、何の役かと思ったら。(←エリザベス・モス)
 
なんと、ファスベンさんとは別居中の妻、という大役〜。
 
ちっちゃい役でしたが、この役は引き受けないともったいない。
 
ファスベンさんの抱かれ役なのだから!

 

 

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「落下の解剖学」★★★☆ [映画日記]

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カンヌ映画祭でパルム・ドール受賞他、米アカデミー賞にも主要部門に多くノミネートされているフランス製の注目作です。

 

「どんな作品なのかな〜」と思って観てみたら、本格ミステリーなんですね。

 

「名探偵コナン 落下の解剖学」みたいな感じですよ!

 

女流作家宅の3階から夫が転落死、果たして妻が殺したのか?っていう不審な事件の真相を追う物語。

 

主軸の事件内容は超シンプルなのですが。

 

事件を取り巻く環境、関連人物の心象がとことん複雑で、もう最高〜。

 

世界的に評価されているのも納得できる、高品質で深みのある内容でした。

 

劇中、主人公は裁判にかけられたりもするのですが。

 

妻として、母として、職業を持つ女性として、人物の本質をえぐり出されることに。

 

そのうち転落死した夫についても法廷で説明されて、夫婦や男女の本質をえぐり出されることに。

 

ついに11歳の息子まで巻き込んで、家族の本質までもがえぐり出されることに。

 

内面のえぐり出し方がすさまじい、えぐり出し大作に仕上がっていました。

 

「解剖学」とは、よくぞ付けたタイトルだと思いました、本当に主人公たちは「解剖」されていたと思います。

 

「マインド解剖」ですよ!

 

事件の真相とは別に「人間って、どうしてこうなんだろうね。どうして、こういう時、こういう態度をするんだろうね」と、「人間性とは何か」と考えながら鑑賞いたしました。

 

ミステリーのクオリティも素晴らしく、一応物語に決着は付くのですが。

 

物語の決着とはマ逆の解釈も(多分)可能という、優れた脚本になっています。

 

これは、観客が結末をどうにでも解釈できる「マルチ・エンディング」映画だと思います。

 

逆の解釈で、もういっぺん最初から見直してみたい気持ちになりましたよ。

 

演出面でも、夫が「いつも大音量で聴く」という、50セントによる楽曲「P. I. M. P.」が効果的に作用。

 

めちゃめちゃ耳障り!(←褒め言葉)

 

「その、50セント。はよ消せ」と思ってしまいました。(←褒め言葉)

 

曲イメージが、とってもカオスで、嫌なパッションを感じさせて、観る者の心を乱します。

 

選曲センスもスゴいと思いました。

 

演者さんたちの中では、何といっても主人公を演じたザンドラ・ヒュラーさんの存在感、人間味が目を引きますね。

 

もうこれで「ドイツNo.1女優」の座をもらったようなものですね。

 

鎮座決定ですよ、ドイツの玉座に!

 

子役の目力もいい感じでしたけども。

 

注目するキャラクターは犬ですね。

 

ワンコですよ、ワンワン!

 

ある見せ場でのワンコが名演技。


「どうやって犬からそんな表情を引き出した?」と思って、ビックリしました。

 

このワンコ、カンヌ映画祭では、優れた演技の犬に贈られる「パルム・ドッグ賞」を受賞したとのこと。

 

監督や女優さんの次回作も気になりますが、ワンコの次回作も観てみたいですね。

 

 

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「マダム・ウェブ」★★★ [映画日記]

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*ネタバレはありません。
 
マーベルのヒーロー系・映画ですけども。
 
「スパイダーマン」系の版権を握っているソニーさんが仕切る作品のようですね。
 
あすこの会社が幹事さんなんですよ!
 
ソニー系作品「ヴェノム」「モービウス」に続く、「スパイダーマン」ユニバースの作品となっているようですけども。
 
ヒーローらしいヒーローは(ほぼ)出てこない、という異色作。
 
「こんな番外編みたいな地味な話を、よくアクション大作に仕立てたよね」と思って、ソニーさんの商売意欲に驚きました。
 
「スパイダーマン」系の版権は死んでも離さない、「スパイダーマン」系の原作は骨までしゃぶりつくしてやる!
 
そんな執念を感じました。
 
主人公は救急救命士の女性キャシー。
 
ある事故をきっかけに、キャシーの予知能力が目覚めるのです。
 
開花すんの!
 
そんなスーパーパワーを活かして3人の女子高生の命を救うけれど、同時に悪者にも追われてしまう、という展開です。
 
予知能力を発揮する場面の演出がサスペンス・スリラー調ですね。
 
まるで「ジェイコブス・ラダー」(1990年)ですよ!(←古いし、「ジェイコブス・ラダー」は観たことないですけども)
 
今作は、ブライアン・デ・パルマが監督をしていたら、相当カッコよく仕上がったのではないでしょうか。(←妄想)
 
3人の女子高生は、後にスパイダー・ウーマンとしてヒーロー化するキャラクターらしいです、よく知りませんが。(←何なのよ、スパイダー・ウーマンて)
 
そんな、ワイワイ、キャッキャしている女子高生たちをまとめて仕切る、お姉さん的存在になるキャシー。
 
どうやら今回の物語は、キャシーが、スパイダー界の女将さんになる話っぽいです。
 
また、時代設定は2000年代ということで、まだスパイダーマンが存在しない時代なのですが。
 
うっすらと「後にスパイダーマンが現れるだろう」と、存在をほのめかす場面がニクいです。
 
やっぱり、スパイダーマンっぽさを入れないと、つまんないですもんね。
 
キャシー役を演じたダコタ・ジョンソンは、とっても素敵でした。
 
いつもの髪型とメイクで、演技も普通な感じで、ラクに稼げた仕事だったのではないでしょうか。
 
しかしながら、本編中のキャシーは車を盗みまくり、建物壊しまくりで、普通に「懲役・訴訟もの」ですが、本人、素知らぬ顔!
 
罪の意識なく、盗んだ車のナンバー剥がして乗車!
 
内心は「捕まってたまるか」でしょうか?!
 
図太いよ!
 
あとは、キャシーは救急救命士ですけども、あらゆる救命処置が心肺蘇生(胸骨圧迫)の一点突破とは!
 
なんか処置が雑〜!!
 
わたくしの中で「処置を受けたくない救命士ランキング」第1位に踊りでた子になりました。
 

 

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「ゆれる」★★★☆ [映画日記]

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amazon・プライムビデオ内に、西川美和さん監督作が解禁〜。

 

ご放流〜!(←鮎かい)

 

近年に美和さんが手がけた作品はチェック済みですが。

 

この機会に、未鑑賞の初期作品でも観てみよう、ということで「ゆれる」(2006年)を選択。

 

再生ボタン、レッツ・プッシュ〜。(←謎の掛け声)

 

田舎を舞台に、ある兄弟が紡ぐ物語。

静かながら、かなり繊細で複雑な心理劇が繰り広げられていました。

 

人間関係とは難解で予測もつかず、グラグラ揺れる吊り橋をソロソロ渡らないと落ちてしまうような脆さもある。

 

せめて家族間では、手を取り合って、グラグラ揺れる吊り橋を渡りきろうよ、とでも言いたげな。

 

奥深すぎる「ゆれる系・人間ドラマ」にビックリ。

 

今作の監督・脚本を、当時(約)31歳の美和さんが務めたという事実に、またビックリ。

 

なんという早熟な果実〜!

 

わたくしが31歳の頃なんて、テレビゲームで夜通し遊んだり、ゲームセンターのクレーンゲームでぬいぐるみを釣り上げて遊んでいたよ!!(←ダメ人間)

 

美和さんの圧倒的手腕を感じる作品でした。

 

今作での美和さんは、どこか若々しく尖った感性も見せていて、空気感は退廃的というか、ブルージーな感触なのも新鮮でした。

 

主人公のオダギリジョーさんも、最高レベルでオダギリジョー風味。

 

これこそジョーの味!

 

田舎から上京して成功した、女たらしのカメラマンという役がピッタンコ〜。

 

オダギリさんて、どこか「田舎から上京してきた感」があるんですよね〜。

 

帰省して法事に遅れて参加するも、ファッションは赤ズボン!

 

赤パンですよ!!

 

そんな「親戚に1人はいる、東京で何やってるかわからないお兄さん」的ポジションが、ハマりすぎのオダギリさん。

 

それでいて、帰省時は地味な兄を慕う「お兄ちゃんっ子」っていう性格も、本人に合っていて良かったです。

 

このキャラクターを主人公にして、スピンオフのドラマ・シリーズを作ってほしいくらいです。

 

オダギリさんの兄役、香川照之さんもオハコの「非モテ・キャラ」オーラが炸裂していました。

 

物語の後半は裁判劇が中心になるのですが。

 

検察官役で、木村祐一さんが登場〜。

 

現在と全く変わらぬ顔で登場〜!

 

弁護士役の蟹江敬三と対峙しても、全く引けを取らぬ存在感でした。

 

映画映えするんですよ!

 

木村さんは、昨年観た「首」でも重要な役で出演していたし。

 

そのうち「木村祐一・映画祭」が開催されてもおかしくないですよね。

 

 

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「アウトフィット」★★★ [映画日記]

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Netflixに転がっていた作品です。

 

ある日ゴロンと置かれていたんですよ、漬物石みたいに適当に!

 

「ふ~ん、こんなのあんの。へ~」と思い、何の気なしに再生してみたのですが。

 

これが小作ながら、とっても良かったです。

 

1950年代のシカゴに佇む、一軒の仕立て屋を舞台とした物語。

 

店主である英国人テーラーが、ガラの悪い客をあしらっているうちに、マフィアのイザコザに巻き込まれてしまう、という展開です。

 

なんと、仕立て屋の店内だけで物語が進むという、ワン・シチュエーション設定。

 

セット安上がりの映画なんですよ!

 

スリラー、サスペンスの要素がありつつ、事件の謎が解き明されるというミステリーまで組み込まれていて、これは大変な脚本力ですね。

 

「衣服」と「マフィア」という意味がある言葉「アウトフィット」をタイトルにしている点もニクいです。

 

監督・脚本のグレアム・ムーアさんて知らない人だと思ったのですが。

 

「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」(2014年)でアカデミー賞脚色賞を受賞した人なんですね。

 

「有名な舞台劇を映画化したのかな」と思うくらいの高クオリティですが、映画オリジナル脚本というのが素晴らしいです。

 

英国人テーラー役はマーク・ライランスですよ、あの優しそうなおじさま!

 

まずは「1950年代の英国人男性」という設定にピッタリ。

 

顔が1950年代ですから!(←ホメ言葉)

 

そして今回は客の寸法を測ったり、布地を切ったり縫ったり、服飾系おじんとしての魅力爆発。

 

「こんなおじさまに背広を作ってほしい」と思わせるに十分の人材。

 

背広男優という感触ですよ!

 

マーク・ライランスがマフィアに脅されたり、殴られたりする場面では「おじんをいじめないで!」と、かばいたくなりました。

 

うさぎのようなおじさまですね。

 

マフィアの若造役を演じた男優を「どこかで見たことがある」と思ったら。

 

「メイズ・ランナー」シリーズの主演で、かつて大売出しされていたディラン・オブライエンではないかーっ!

 

あの迷路男優ですよ!!

 

そんなオブライエンが大人のお味。

 

知らない間に年齢は30越えてるし!

 

マーク・ライランスと、1対1の演技合戦を繰り広げていて驚きました。

 

脚本、配役とも映画ファンに好まれそうな、マニアックな傑作でした。

 

 

 

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「ボーはおそれている」★★★ [映画日記]

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令和の鬼才アリ・アスターさんが、「ミッドサマー」(2019年)以来に放つ新作スリラーです。
 
なんと、主演にホアキン・フェニックスを迎えた意欲作となっていますけども。
 
まずは本編、長いですね。
 
ほぼ3時間ありますよ、スリラー作品で!
 
これは、デフォルトでロングバージョン、ディレクターズ・カットですよ!!
 
「半分くらいカットできないのかな?」と思いましたけども。(←失礼)
 
ホアキンが演じてくれた場面は、カットしづらい気持ちも分かります。
 
相変わらず、大熱演のホアキンが最高〜。
 
今回の役は、アラフィフ童貞、非モテ系!
 
閉じこもり気味、神経質な性格というエッジの効いたキャラクターですが、難なくこなしていて「さすがフェニックス様」と思いました。
 
主人公ボーは極度の怖がり屋、という性質もあり、ほぼ全編において怯えています。
 
ず〜っとブルってんの!
 
ホアキン演じる孤独な男性ボーが、母の住む実家に帰ろうとするも、あらゆる災難に遭って実現できない、というお話。
 
災難の内容は、全裸のおじさんが殺人鬼となって追っかけてくる、とか、風呂場の天井から知らないおじさんが降ってくる、とか。
 
とっぴょうしもないんですよ!
 
ほとんどのサブ・キャラクターは頭がおかしく、必ずボーを責め上げるという。
 
悪夢感がすさまじいです。
 
体がゾワゾワ〜ッとなる、ホラーっぽい場面もチラホラ。
 
「こういう悪夢あるよね。今晩見たらどうしよう」と思ってしまいました。
 
3時間という長い本編時間も手伝って、「覚めたいのに覚めない悪夢」感を増長させていたと思います。
 
この内容のままエレガントに味付けしたら、昔のデヴィッド・リンチ作品みたいになるかも、とも思いました。
 
本作では「母子の関係性」がテーマとなっているようで、ボーに関わる人物の多くは「母子要素」を含んでいましたね。
 
「母性の重苦しさ」を表現していたようにも感じましたけども。
 
深いことを考えずに、悪夢を楽しめる作品だと思います。
 
脇を固めているのは大スターではなく、顔は知っている程度の人材なのですが。
 
その顔が、みんな怖いです。(←失礼)
 
名も知らぬ俳優たちが次々と出てきて、ホアキンを襲い続けるという趣向も面白かったです。
 

 

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「籠の中の乙女」★★★ [映画日記]

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手掛けた新作「哀れなるものたち」の傑作記念でしょうか?!

 

ヨルゴス・ランティモスさんの過去作品が、amazonプライム・ビデオで絶賛配信中~。

 

今回再生して観たのは、2009年にギリシャで製作されたヨルさん出世作です。

 

当時のカンヌ映画祭で「ある視点」賞を受賞したのは、なんとなく分かりますけども。

 

当時の米アカデミー賞でも、外国語映画賞にノミネートされているのがビックリ。

 

アメリカでは盛り上がりそうもない、シュールな作品でしたので。

 

一組の裕福なご家庭をメインに据えたお話。

 

富裕層だか何だか言う、わたくしには縁遠い層のお話ですよ!

 

長男と双子の姉妹は、思春期を過ぎているのに、お家に引きこもり。

 

というか、父母により、生まれた時から軟禁されて生活している、というスゴイ設定で物語がスタート。

 

さすがヨルさんが書いた脚本ですね、世界観が不条理です。

 

デタラメな教育と躾を受け、洗脳された状態で生かされている子供たちは、次第に心身を壊していく、というような内容です。

 

本編ではボカシが入りまくり~。

 

ちょいちょい、シモネタ入れてくる。

 

差し込んでくんの!

 

ヨルさんてシモネタが大好物なんですね、昔も今も!!

 

パワハラ、セクハラを用いた支配やエゴを、時に暴力的に描いていますけども。

 

同時にどこかユーモラスで、ブラック・コメディ的な要素を感じる点が特徴でしょうか。

 

子供たちが秘密のルートで入手し、再生・鑑賞したVHSビデオは、どうやら「ロッキー」らしい、と観客に気付かせるシーンも気が利いています。

 

あそこの場面は「笑うとこ」だったのでしょう。

 

もしかしたら、引用作が「ロッキー」だったから、米アカデミーの会員にもウケたのかもしれません。

 

影の功労者、まさかのスタローンですよ!(←未確認)

 

そんなこんなで、「価値観がズレている人の人生は、こんなにもバカバカしく(もしくは面白く)見えるのか」と思いながら鑑賞いたしました。

 

ヨルさん関連作品の印象は、大体みんな同じなんですね。

 

もはや「あわれなる者」シリーズですね。

 

 

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「This Is Me… Now ディス・イズ・ミー…ナウ」★★★ [映画日記]


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amazonプライム・ビデオに変わったものが上がっています。
 
妙なものですよ!
 
ジェニファー・ロペス原案・製作・脚本・主演による作品ですけども。
 
ジェニファー・ロペスの新アルバム「This Is Me… Now ディス・イズ・ミー…ナウ」発売と同時に配信された、本編時間65分の映像作品。
 
どうやら「PV以上、映画未満」の宣伝手法っぽいです。
 
配信というか、バラまかれたんですよ、ビラみたいに!
 
こんな使い方があるんですね、amazonプライム・ビデオには!!
 
女優とシンガー両刀使いのジェニファー・ロペスだから可能な芸当ですけども。
 
こういうのを企画して仕掛けてくる裏方さんも、たいした手腕ですよね。
 
本編は、ジェニファー・ロペスがアルバム曲を歌ったり、踊ったりするPVぽい映像がありつつも、曲間にはドラマ・パートを挿入してミュージカル風の仕立てに。
 
主人公には名前はありませんが、どうやらジェニファー・ロペス本人っぽいです。
 
劇中に出てくる自宅が豪華を超えて、もはや施設!
 
家というより、ららぽーと!!
 
服やアクセサリーも、いちいち高級で富豪感が満点でした。
 
そんな主人公が、自分の恋愛遍歴を顧みるという物語らしいのですが。
 
あらゆる男性に抱かれ、何度か結婚もしたけれど失敗続き。
 
いつかは相性ピッタリの男性に抱かれたい、みたいな内容かと思います。
 
回想として結婚式の場面がありますけども、幸せ一杯、ピンク系「お姫さま」的・映像が印象的。
 
「ジェニファー・ロペスって、こういう昔ながらの結婚場面が大好きだよね。ああ見えて乙女だよねと思いました。
 
しかし、今どき「シンデレラ志向」も古いかもね、なんて思っていたら。
 
劇中にて「ジェニファー・ロペスは独立心の高い女性」と、わざわざセリフで説明がなされました。
 
「そうか、シンデレラ志向ではないのか。失礼しました」と思ったら、また別の男性を探している場面になって「どっちですか?!」と思いました。
 
総合的に見て、ジェニファー・ロペスは「セクシー・シンデレラ」なのかもしれません。
 
「抱かれ続けるシンデレラ」ですよ!
 
とくに深い意味もなく、なんでか幼少時代の思い出も語られたりして、物語はまあまあハチャメチャでしたけども。
 
PV界の巨匠が手がけた映像は、カネがかかっていてゴージャスです。
 
これは入魂の一作ですね、事務所の!
 
ちなみに、ベン・アフレックも変装して友情出演していました。
 
使用曲は、全曲いい感じです。
 
今作の鑑賞後にアルバムも聴いてみましたが、とっても良い出来ですね。
 
懐かしい王道感、キラキラしていながらも洗練味のある色気があり、大人の女性らしいエレガントなアルバムでした。
 
映画等では、セレブ風味を盛りすぎがちのジェニファー・ロペスですけども。
 
楽曲では、セレブ風味がありつつも、やりすぎていないサジ加減がお見事です。
 
良いスタッフに囲まれているのでしょうね。
 

 

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「スクリーム6」★★★ [映画日記]

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先日、スラッシャー・シリーズ「スクリーム」のリブート続編「スクリーム」(2022年)を、amazonプライム・ビデオで観たばかりですが。

 

後日談を描いた「スクリーム6」(2023年)を、今度はNetflixで発見。

 

今度は、そっちかい!

 

なんと2年連続で製作されていた作品なんですね~。

 

稼ぐ気マンマンですよ!

 

本国では劇場公開されて大ヒットを記録したそうですが。

日本では2作とも劇場未公開という謎~。

 

こういう映画は、日本ではヒットしないと思われているのかな?!

 

今作の舞台は、シリーズおなじみの地ウッズボローからニューヨークへ。

 

前作で主人公だったサムとタラ姉妹が、引っ越し先の大都会で、再びマスクをかぶった殺人鬼に狙われる、という内容です。

 

アパート、劇場、路地裏など、ニューヨークの立地を活かしたシチュエーションが多く、いつもとちょっと違う演出に新味を感じました。

 

相変わらず、観客のミスリードを誘う脚本も素晴らしく、クライマックスまで真犯人は分かりません。

 

シリーズのテーマが「有名な殺人映画の、お約束場面と同じように、劇中の殺人も行われる」というものだから、毎回、同じような戦闘シーンをを繰り広げているのですが。

 

毎度毎度、性懲りもなくですよ!

 

「そのマンネリが楽しい」という不思議なシリーズですね。

 

飽きないマンネリですよ!

 

「そのマンネリ、もっとやってほしい」と思わせる、マンネリ・フォーエバー思想ですよ!

 

旧シリーズからの続投キャラクターで、コートニー・コックス演じるゲイルも今作では殺人鬼に狙われますけども。

 

殺人鬼に「お前はレガシーキャラだ。レガシーキャラだと言って安心するな。最近の映画ではレガシーキャラも死ぬんだよ!」みたいなことを言われながら襲われる、という。

 

脅し嫌味掛け合わせですよ!

 

いちいちセリフに気が利いていましたね。

 

スタッフがよく考えて、いい感じにマニアックに作っているな~、と感心いたしました。

 

シリーズ前作まで出演していたメイン・キャストのネーヴ・キャンベルは、今作は「ギャラが安い」とのことで降板してしまったのが残念~。

 

しかし、「ギャラが安い」という理由で仕事を断ることはとっても良いことなので、仕方ありませんね。

そうでもしないと、ギャラは上がっていきませんしね。

 

主人公のサム役女優は政治的発言で、タラ役のジェナ・オルテガちゃんは代表作に急成長したドラマ「ウェンズデー」出演を優先して、2人揃って次回作からは降板(予定)。

 

今作で絶叫卒業(見込み)ですよ!

 

新スクリーム・ビジネスが軌道に乗り始めたのに、再び続編製作が頓挫しているようで、今後の動向が気になります。

 

商売って難しいものですね。

 

 

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