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「ブルービートル」★★★ [映画日記]

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スーパーマンやバットマン等、有名ヒーローを輩出したDCコミックスから新ヒーローが爆誕~。

 

若手がデビュー!

 

それが、甲殻虫型のメカを体内に取り込んだ男子、「ブルービートル」ですよ。

 

作品は予算をつぎ込んでいるようなのですが。

 

映画会社の上層部により、日本では劇場未公開という扱いに。

 

続編も無いという、デビューした直後に引退しちゃった珍ヒーローになってしまいました!

 

主人公の青年ハイメ役には、ドラマ「コブラ会」でおなじみのショロ・マリデュエニャくんが大抜擢されましたけども。

 

せっかく「コブラ会」から映画界に進出できたのに、主演映画がシリーズにならず、一発止まりとは残念~。

 

また「コブラ会」に戻るしかないんですよ、出戻り!

 

どの面下げて「コブラ会」の撮影現場に戻れというのでしょう。(←本人、気にしてないかもよ)

 

「ブルービートル」の内容は、まあまあ面白いです。(←まあまあかい)

 

主人公の青年ハイメは、大学を卒業したばかり。

 

就職活動中という設定で物語がスタート。

 

背広で面接に行って始まる、大卒ヒーロー映画ですよ!

 

そこから主人公がスーパーパワーを手に入れ、初めてヒーロー化するところから描かれています。

 

最初っからやってらっしゃいます、ご丁寧に!

 

青年ハイメを取り巻く家族が、騒動に巻き込まれながらも大活躍。

 

ワイワイ、ガヤガヤしているコメディ調のファミリー・ドラマが繰り広げられていて、同ジャンル作品では「シャザム!」的なノリと展開かな、と思いました。

 

メインの出演者は知らない俳優さんばかりでしたけども。

 

悪の親玉役だけはザンスーを配置!(←スーザン・サランドン)

 

一点豪華主義ですよ!!

 

浅い人物像の悪役でしたけども、髪も化粧もバッキバキに決めてきたザンスー。

 

若見えしてますよ!

 

そして結局、名も知らぬ俳優が演じる安キャラクターにヤラれてしまうザンスー!

 

「よく、こんなアホみたいな役を引き受けたね」と思いました。

 

よっぽど札束を積まれたのかもしれません、目の前に!

 

しかし、こういう映画に1人は大物俳優って必要なものですね。

 

ザンスーが居るのと居ないのでは、映画のレベルが違ってくると感じました。

 

もしもこの映画にザンスーが出ていなかったら、「特撮・戦隊もの」臭さが前面に出ていたような気がします。

 

「ザンスーが引き締めた」と思います、作品内容小ジワタルミも!

 

 

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「アメリカン・フィクション」★★★ [映画日記]

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2024年の米アカデミー賞に、5部門もノミネートされていた注目作です。
 
日本では劇場未公開のまま、2024年2月にamazonプライム・ビデオで配信されました。
 
賞レースのタイミングで配信するとは、amaさんグッジョブです!
 
思っていたより安い感触の作品でしたが、随所で笑える、知的な喜劇ですね。
 
これで5部門ノミネートは立派なもんですよ。
 
「期待してない子がテストで100点取った」ようなもん!(←失礼)
 
今作の演技で、米アカデミー賞の主演男優賞にノミネートされたジェフリー・ライトは、売れない作家役。
 
小説を書いて出版社に持って行っても「アンタ黒人なんだから、もっと黒人っぽい本を書けないか?例えば主人公は、怒りを抱えながらラップを歌い、最後は白人警官に射殺されてしまうようなやつ。みんなそういうのを求めてるんだよ」と突き返される始末。
 
収入源が必要な作家が、「いかにも黒人男性が書きそうな、コテコテの黒人小説」を書いてみたら大ウケとなる、という展開です。
 
ヤケクソ行動が妙な結果を生み出すんですよ、ビンタ事件のウィル・スミスみたいに!(←もう忘れてやんな)
 
人種ネタ満載の黒人映画ではあるものの、これまで観てきた同ジャンル映画とは全く印象は違いますね。
 
ガツガツしない、大人しい子!
 
ほとんどの黒人キャラクターはインテリ高収入で、ファッションはきれいめ。
 
当然、暴力皆無だし、主人公なんて若ハゲ・陰キャですから!
 
舞台が文芸界だけに、文学の引用も多く、あえて人物間バトルがあるとしたら「激論を交わす」程度。
 
黒人×文芸コメディという構図が新鮮すぎる~。
 
まずは、「そうなんだ~。黒人って、目をギラギラさせながら銃を持ち歩き、鼻からドラッグを吸い込んでいる人ばかりじゃないんだ~」と思いました。(←すみません、海外ドラマの見過ぎで意識に偏りが)
 
そんな人種ネタがありつつ、「映画やドラマを製作する、白人男性社会のハリウッドは、バカみたいな原作本しか取り上げない」という、エンタメ界に向けての風刺もございます。
 
結局、文芸界もエンタメ界も、うわべだけの薄っぺらい世界が永劫続いていく、というような、令和の一般黒人が抱えるユル~い絶望感がたまりません。
 
原作小説は2001年に発行されたようですけども。
 
作品テーマは2024年の世情にピッタンコ~。
 
うまいこと時代の流れに乗せたよね、と思いました。
 
この、オフビート感ある知性派黒人路線で、ドラマを3シーズンくらい一気見したい気持ちになりました。
 
ジェフリー・ライトを、もっと見たくなる日が来ようとはねぇ。
 
 
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「サンコースト」★★★ [映画日記]

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「Disney+」オリジナル映画として、2024年2月に配信された青春作品です。

 

主演は、映画「ダンボ」(2019年)で女優デビューし、女優タンディ・ニュートンの実娘さんとしても有名なニコ・パーカーちゃん。

 

デズニーさんお抱えの二世さんですよ!

 

「さては、ニコちゃんを売り出すための映画かな。テコ入れかな、事務所の」と思いながら再生~。

 

過去のハリウッド映画においても、「17歳のカルテ」や「きっと、星のせいじゃない。」等、「青春×医療=命のきらめき」という構図で、出演している若手女優が高評価を得てきましたけども。

 

今作も、それに近い感触でしたね。

 

ニコちゃんが演じるドリスは、地味でウブな女子高生。

 

ネンネですよ!

 

父親は早くに亡くなっていて、母親は末期がんで余命わずかな兄に付きっきり。

 

「誰も自分にかまってくれない」という苛立ちを抱える娘ドリス。

 

かまって症候群ですよ!

 

度々母親と衝突する、という基本設定になっています。

 

そんなドリスが、クラスの「イケてるチーム」に加わろうと、ドキドキしながら話しかける場面などは、観ているこちらも緊張~。

 

タイミングを見計らっているんですよ、釣り竿を上げる時みたいに!

 

「イケてない子」が「イケてるチーム」に加入するって、大変なことですからね、一大事。

 

Huluに加入するのとは訳が違いますからね!

 

自宅や学校でいろんなことがあって、やがてドリスは成長していく、というお話になっています。

 

仕事、介護、子育てという忙しさにキレ気味ながらも、息子が亡くなる前提で、腹をくくった感のある母親を演じたローラ・リニーが、貫禄の演技を見せていましたね。

 

もはやローラ・リニーが主役といっていいくらいですね、息子が亡くなる前提の母親役ですから。

 

ローラ・リニーがニコちゃんを食った感が漂っていました。

 

他の共演者では、医療事件の抗議デモに参加している中年男性役として、ウッディ・ハレルソンが登場~。

 

これまでも、数多くの若手ヒロイン映画に名脇役として出演しているウッディ・ハレルソンですけども。

 

なんというか、優しそうというか、本国では父性を体現できる人材なのかもしれません。

 

もはや、若手女優の見守り専門男優ですよ!

 

物語の中では、めちゃめちゃ大事件が起きるわけでもないのですが、だからこその生活感とリアリティがございました。

 

怒った母親が娘を携帯電話で呼び出すときに、「至急、帰ってきなさい。今、お兄ちゃんが死にそうだから」と留守電。

 

後になって「死にそう」というのが虚言だと知って、娘が激怒する場面には大共感。

 

親って、留守電メッセージが大げさですからね。

 

今作は、どうやら監督・脚本を手掛けたローラ・チンさんという人の、自伝的内容っぽいです。

 

母娘の愛憎を今ふうに表現していたと思います。

 

 

 

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「Lift リフト」★★★ [映画日記]

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近年、Netflixオリジナル映画での出演が目立っているケビン・ハートが、またしても!

 

今年もNetflixオリジナル映画に登場〜。

 

食わせてもらっていますよね、あすこの会社に〜!

 

2024年1月に配信された作品ですけども。

 

ケビン・ハートが、まさかのアクション大作の主演ですよ。

 

スゴ腕のアート窃盗団を率いるリーダー役がケビン・ハート。

 

もう一度言います、下っ端じゃありません、リーダー役です。

 

警察の依頼で、金塊を盗むことになる、という、ミッション遂行型の物語になっていますけども。

 

どこか粋な空気が漂うあたりは「オーシャンズ」シリーズ風。

 

派手なアクションは「ミッション・インポッシブル」風。

 

監督は「ワイルド・スピード ICE BREAK」の人ということで、チームワークや荒唐無稽の仕掛けは「ワイスピ」風。

 

アクション大作の美味しい部分をつまんできてますね。

 

そして、ケビン・ハートが、まるでハリウッド・アクション・スター風なんですよね〜。

 

信じられないけれど、バカやんない!

 

「ちょいと、何を気取っているんだい。早く笑わせておくれよケビン!」と思いながら鑑賞続行。

 

いつか笑わせてくれると信じて待っていましたけども。

 

最後の最後までクールにツン!

 

二枚目(風)の男前(風な)役にビックリしました。

 

そんなケビン・ハートを追う捜査官役がググ・バサ=ローで、「ケビン・ハートとは、かつて数日交際していた関係」という、気まずい仲。

 

「抱いた仲」っていう!

 

これは何でしょうか?

 

ケビン・ハートはプレイボーイ・キャラという意味でしょうか?

 

ケビン・ハートは今作のプロデュースも兼任しているということで。

 

「俺もそろそろハリウッドスターの仲間入りをしたい。ウィル・スミスみたいになりたい」とでも思っているような?

 

あるいは「俺も、いっぺんくらいは男前の主人公を演じてみたい。いっぺんくらい贅沢言ってもいいだろう」というような。

 

かわいいわがまま映画に仕上がっていたと思います。

 

劇中で、夫婦を装うケビン・ハートとググ・バサ=ロー。

 

このシーンで、「成功した男性がステータスシンボルにするために結婚した相手」という意味で「トロフィーワイフ」という言葉を使用。

 

「トロフィーワイフ」という言葉を初めて知ったのですが。

 

大昔から存在する言葉らしいですね、勉強になりました。

 

「Lift リフト」というタイトルは忘れそうですが、「トロフィーワイフ」はずっと覚えておこうと思います。

 

 


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「ARGYLLE/アーガイル」★★★ [映画日記]

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ヘンリー・カヴィル主演作のようで。
 
実はヘンリー・カヴィルは脇役、っていう変化球。
 
ばかされました!
 
作品ジャンルは「スパイもの」ということで、物語も二転三転、常に観客を騙し続けてくれました。
 
脚本家は、きっとキツネかタヌキですよ!
 
アクション場面も派手で、とっても楽しかったです。
 
主演は、なんとブライス・ダラス・ハワードですよ。
 
今作は、ブライス・ダラス・ハワード主演映画史上、最大の大作かと思います。
 
ブライス・ダラス・ハワードは、今作を最後に引退しても良いくらいの、でっかい花火を打ち上げましたよ!
 
劇中にて、スパイ小説「アーガイル」シリーズの著者役がブライス・ダラス・ハワード。
 
小説の内容に真実味がありすぎて、ブライス・ダラス・ハワードが悪者に命を狙われる、というような展開です。
 
「アラフォー独身女性の冒険譚」という立ち位置が新鮮〜。
 
よくぞ作り上げたと思います。
 
ひと昔前なら、「アラフォー独身女性の冒険譚」という大作映画は、企画の段階でボツになっていたでしょうね。
 
しかも相手役はサム・ロックウェルということで。
 
ヒロインに恋する相手はオッサンっていう!
 
お話は、とくにキラキラしているわけでもない大人の男女が回している、というのも特徴かと思います。
 
人種、性別、いろんな多様性が問われている昨今ですけども。
 
アクション超大作のメイン・キャラが、キラキラしていない40歳以上でもいいじゃない、っていう多様性に到達!
 
時代の成熟味を感じました。
 
ヘンリー・カヴィルが演じている人物は、小説内の登場人物「アーガイル」だったんですね〜。
 
劇中劇の人物ですよ!
 
スチール写真でのヘンリー・カヴィルは髪型がとっても変なのですが。
 
剃り込んでんの、ビーバップ・ハイスクールみたいに!(←死語)
 
小説内の登場人物だから、マンガみたいな髪型をしていたんですね〜。
 
製作・監督は「キングスマン」シリーズを仕掛けたマシュー・ヴォーンということで。
 
マシュー・ヴォーンって、実の妻がスーパーモデルだし、なんというか、上昇志向が強いというか〜。
 
商売に貪欲なタイプの映画作家かと思います。
 
映画作家と富豪という、二足のわらじを履きたいタイプですよ!
 
今作も「3部作想定」とのことで、「どうしてもスパイ・シリーズで金字塔を打ち建てたいんだね」と思いながら今作も鑑賞いたしました。
 
今シリーズは、スーパーマン役を降りたヘンリー・カヴィルの、新たな稼ぎ口になるようです。
 
「やっと再就職先が決まった友人」を見ているような気持ちにさせるヘンリー・カヴィルでした。
 

 

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「ネクスト・ゴール・ウィンズ」★★★ [映画日記]

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「スポーツ実話もの」ですね、「クール・ランニング」(1993年)みたいな。(←古いです)
 
クライマックスは試合で盛り上げるタイプです。
 
これは誰でも、簡単に、さわやかに、微笑ましく感動できる作品かと思います。
 
描かれている種目はサッカー、お国は米領サモアです。
 
ただの「サモア」じゃありません、米領なんです!
 
漢字+カタカナ表記の名称が不思議な感触でした「青山テルマ」的な。
 
2001年のワールドカップ予選で、31対0という屈辱的な負け方をした米領サモアのサッカーチーム。
 
31点て、かわいそうだけど笑っちゃった!(←失礼)
 
「なんとか公式試合で1点取りたい。100点はいらない。1点でいい」という、超ささやかな願望の元、米領サモアのサッカーチームは、アメリカから左遷された白人コーチの指導を受ける、という展開です。
 
米領サモアの風土や風習が、のどか〜。
 
感触はハワイですよ。
 
米領サモアというか、これはもうハワイでいいのでは?!(←イメージが貧弱ですか)
 
海など、大自然に囲まれた環境で、スポーツ試合や練習をする土地じゃないですね。
 
ダラダラ過ごす土地ですよ、一日中!
 
のんびりしたリゾート志向の民族性を持つチームメンバーが、どうやって荒々しいサッカー試合で点を入れようとするのか、そんなところが見どころかと思います。
 
練習場面もありますが、めちゃめちゃ厳しい感じでもないし〜。
 
試合当日だというのに練習してそうもない新メンバーが突然加入するし、なんかやっぱり牧歌的〜。
 
結局、どうやっても米領サモアにサッカーは向いていない、というお話だったような気も。
 
異文化を持つ人間たちが、ぶつかり合いながら人生を前に進めていく、というような作品テーマになっていたと思います。
 
とってもふんわりした、かわいいスポ根映画でしたね。
 
主人公で、アメリカから来たコーチ役はマイケル・ファスベンダーですよ。
 
これまでの出演作では冷酷な役か、アンドロイド役がオハコのファスベンさんでしたけども。
 
ロボット面のイケメンなんですよ!
 
今作では人間味が全開〜。
 
喜怒哀楽を全身で表現なさるファスベンさんが新鮮。
 
新味ですよ!
 
基本的に堅物キャラクターのファスベンさんが、牧歌的な米領サモア現地住民からユルくイジられる場面が楽しいです。
 
つつかれるんですよ!
 
「イケメンいじり」タイプのコメディ路線になっていて、それがまたファスベンさんの魅力を増し増し、盛り盛りにしていました。
 
こんな役を引き受けてくださるのだから、ファスベンさん本人は良い人なんだと思います。
 
テレビ女優のモス子も出ているから、何の役かと思ったら。(←エリザベス・モス)
 
なんと、ファスベンさんとは別居中の妻、という大役〜。
 
ちっちゃい役でしたが、この役は引き受けないともったいない。
 
ファスベンさんの抱かれ役なのだから!

 

 

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「落下の解剖学」★★★☆ [映画日記]

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カンヌ映画祭でパルム・ドール受賞他、米アカデミー賞にも主要部門に多くノミネートされているフランス製の注目作です。

 

「どんな作品なのかな〜」と思って観てみたら、本格ミステリーなんですね。

 

「名探偵コナン 落下の解剖学」みたいな感じですよ!

 

女流作家宅の3階から夫が転落死、果たして妻が殺したのか?っていう不審な事件の真相を追う物語。

 

主軸の事件内容は超シンプルなのですが。

 

事件を取り巻く環境、関連人物の心象がとことん複雑で、もう最高〜。

 

世界的に評価されているのも納得できる、高品質で深みのある内容でした。

 

劇中、主人公は裁判にかけられたりもするのですが。

 

妻として、母として、職業を持つ女性として、人物の本質をえぐり出されることに。

 

そのうち転落死した夫についても法廷で説明されて、夫婦や男女の本質をえぐり出されることに。

 

ついに11歳の息子まで巻き込んで、家族の本質までもがえぐり出されることに。

 

内面のえぐり出し方がすさまじい、えぐり出し大作に仕上がっていました。

 

「解剖学」とは、よくぞ付けたタイトルだと思いました、本当に主人公たちは「解剖」されていたと思います。

 

「マインド解剖」ですよ!

 

事件の真相とは別に「人間って、どうしてこうなんだろうね。どうして、こういう時、こういう態度をするんだろうね」と、「人間性とは何か」と考えながら鑑賞いたしました。

 

ミステリーのクオリティも素晴らしく、一応物語に決着は付くのですが。

 

物語の決着とはマ逆の解釈も(多分)可能という、優れた脚本になっています。

 

これは、観客が結末をどうにでも解釈できる「マルチ・エンディング」映画だと思います。

 

逆の解釈で、もういっぺん最初から見直してみたい気持ちになりましたよ。

 

演出面でも、夫が「いつも大音量で聴く」という、50セントによる楽曲「P. I. M. P.」が効果的に作用。

 

めちゃめちゃ耳障り!(←褒め言葉)

 

「その、50セント。はよ消せ」と思ってしまいました。(←褒め言葉)

 

曲イメージが、とってもカオスで、嫌なパッションを感じさせて、観る者の心を乱します。

 

選曲センスもスゴいと思いました。

 

演者さんたちの中では、何といっても主人公を演じたザンドラ・ヒュラーさんの存在感、人間味が目を引きますね。

 

もうこれで「ドイツNo.1女優」の座をもらったようなものですね。

 

鎮座決定ですよ、ドイツの玉座に!

 

子役の目力もいい感じでしたけども。

 

注目するキャラクターは犬ですね。

 

ワンコですよ、ワンワン!

 

ある見せ場でのワンコが名演技。


「どうやって犬からそんな表情を引き出した?」と思って、ビックリしました。

 

このワンコ、カンヌ映画祭では、優れた演技の犬に贈られる「パルム・ドッグ賞」を受賞したとのこと。

 

監督や女優さんの次回作も気になりますが、ワンコの次回作も観てみたいですね。

 

 

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「マダム・ウェブ」★★★ [映画日記]

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*ネタバレはありません。
 
マーベルのヒーロー系・映画ですけども。
 
「スパイダーマン」系の版権を握っているソニーさんが仕切る作品のようですね。
 
あすこの会社が幹事さんなんですよ!
 
ソニー系作品「ヴェノム」「モービウス」に続く、「スパイダーマン」ユニバースの作品となっているようですけども。
 
ヒーローらしいヒーローは(ほぼ)出てこない、という異色作。
 
「こんな番外編みたいな地味な話を、よくアクション大作に仕立てたよね」と思って、ソニーさんの商売意欲に驚きました。
 
「スパイダーマン」系の版権は死んでも離さない、「スパイダーマン」系の原作は骨までしゃぶりつくしてやる!
 
そんな執念を感じました。
 
主人公は救急救命士の女性キャシー。
 
ある事故をきっかけに、キャシーの予知能力が目覚めるのです。
 
開花すんの!
 
そんなスーパーパワーを活かして3人の女子高生の命を救うけれど、同時に悪者にも追われてしまう、という展開です。
 
予知能力を発揮する場面の演出がサスペンス・スリラー調ですね。
 
まるで「ジェイコブス・ラダー」(1990年)ですよ!(←古いし、「ジェイコブス・ラダー」は観たことないですけども)
 
今作は、ブライアン・デ・パルマが監督をしていたら、相当カッコよく仕上がったのではないでしょうか。(←妄想)
 
3人の女子高生は、後にスパイダー・ウーマンとしてヒーロー化するキャラクターらしいです、よく知りませんが。(←何なのよ、スパイダー・ウーマンて)
 
そんな、ワイワイ、キャッキャしている女子高生たちをまとめて仕切る、お姉さん的存在になるキャシー。
 
どうやら今回の物語は、キャシーが、スパイダー界の女将さんになる話っぽいです。
 
また、時代設定は2000年代ということで、まだスパイダーマンが存在しない時代なのですが。
 
うっすらと「後にスパイダーマンが現れるだろう」と、存在をほのめかす場面がニクいです。
 
やっぱり、スパイダーマンっぽさを入れないと、つまんないですもんね。
 
キャシー役を演じたダコタ・ジョンソンは、とっても素敵でした。
 
いつもの髪型とメイクで、演技も普通な感じで、ラクに稼げた仕事だったのではないでしょうか。
 
しかしながら、本編中のキャシーは車を盗みまくり、建物壊しまくりで、普通に「懲役・訴訟もの」ですが、本人、素知らぬ顔!
 
罪の意識なく、盗んだ車のナンバー剥がして乗車!
 
内心は「捕まってたまるか」でしょうか?!
 
図太いよ!
 
あとは、キャシーは救急救命士ですけども、あらゆる救命処置が心肺蘇生(胸骨圧迫)の一点突破とは!
 
なんか処置が雑〜!!
 
わたくしの中で「処置を受けたくない救命士ランキング」第1位に踊りでた子になりました。
 

 

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「ゆれる」★★★☆ [映画日記]

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amazon・プライムビデオ内に、西川美和さん監督作が解禁〜。

 

ご放流〜!(←鮎かい)

 

近年に美和さんが手がけた作品はチェック済みですが。

 

この機会に、未鑑賞の初期作品でも観てみよう、ということで「ゆれる」(2006年)を選択。

 

再生ボタン、レッツ・プッシュ〜。(←謎の掛け声)

 

田舎を舞台に、ある兄弟が紡ぐ物語。

静かながら、かなり繊細で複雑な心理劇が繰り広げられていました。

 

人間関係とは難解で予測もつかず、グラグラ揺れる吊り橋をソロソロ渡らないと落ちてしまうような脆さもある。

 

せめて家族間では、手を取り合って、グラグラ揺れる吊り橋を渡りきろうよ、とでも言いたげな。

 

奥深すぎる「ゆれる系・人間ドラマ」にビックリ。

 

今作の監督・脚本を、当時(約)31歳の美和さんが務めたという事実に、またビックリ。

 

なんという早熟な果実〜!

 

わたくしが31歳の頃なんて、テレビゲームで夜通し遊んだり、ゲームセンターのクレーンゲームでぬいぐるみを釣り上げて遊んでいたよ!!(←ダメ人間)

 

美和さんの圧倒的手腕を感じる作品でした。

 

今作での美和さんは、どこか若々しく尖った感性も見せていて、空気感は退廃的というか、ブルージーな感触なのも新鮮でした。

 

主人公のオダギリジョーさんも、最高レベルでオダギリジョー風味。

 

これこそジョーの味!

 

田舎から上京して成功した、女たらしのカメラマンという役がピッタンコ〜。

 

オダギリさんて、どこか「田舎から上京してきた感」があるんですよね〜。

 

帰省して法事に遅れて参加するも、ファッションは赤ズボン!

 

赤パンですよ!!

 

そんな「親戚に1人はいる、東京で何やってるかわからないお兄さん」的ポジションが、ハマりすぎのオダギリさん。

 

それでいて、帰省時は地味な兄を慕う「お兄ちゃんっ子」っていう性格も、本人に合っていて良かったです。

 

このキャラクターを主人公にして、スピンオフのドラマ・シリーズを作ってほしいくらいです。

 

オダギリさんの兄役、香川照之さんもオハコの「非モテ・キャラ」オーラが炸裂していました。

 

物語の後半は裁判劇が中心になるのですが。

 

検察官役で、木村祐一さんが登場〜。

 

現在と全く変わらぬ顔で登場〜!

 

弁護士役の蟹江敬三と対峙しても、全く引けを取らぬ存在感でした。

 

映画映えするんですよ!

 

木村さんは、昨年観た「首」でも重要な役で出演していたし。

 

そのうち「木村祐一・映画祭」が開催されてもおかしくないですよね。

 

 

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「アウトフィット」★★★ [映画日記]

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Netflixに転がっていた作品です。

 

ある日ゴロンと置かれていたんですよ、漬物石みたいに適当に!

 

「ふ~ん、こんなのあんの。へ~」と思い、何の気なしに再生してみたのですが。

 

これが小作ながら、とっても良かったです。

 

1950年代のシカゴに佇む、一軒の仕立て屋を舞台とした物語。

 

店主である英国人テーラーが、ガラの悪い客をあしらっているうちに、マフィアのイザコザに巻き込まれてしまう、という展開です。

 

なんと、仕立て屋の店内だけで物語が進むという、ワン・シチュエーション設定。

 

セット安上がりの映画なんですよ!

 

スリラー、サスペンスの要素がありつつ、事件の謎が解き明されるというミステリーまで組み込まれていて、これは大変な脚本力ですね。

 

「衣服」と「マフィア」という意味がある言葉「アウトフィット」をタイトルにしている点もニクいです。

 

監督・脚本のグレアム・ムーアさんて知らない人だと思ったのですが。

 

「イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密」(2014年)でアカデミー賞脚色賞を受賞した人なんですね。

 

「有名な舞台劇を映画化したのかな」と思うくらいの高クオリティですが、映画オリジナル脚本というのが素晴らしいです。

 

英国人テーラー役はマーク・ライランスですよ、あの優しそうなおじさま!

 

まずは「1950年代の英国人男性」という設定にピッタリ。

 

顔が1950年代ですから!(←ホメ言葉)

 

そして今回は客の寸法を測ったり、布地を切ったり縫ったり、服飾系おじんとしての魅力爆発。

 

「こんなおじさまに背広を作ってほしい」と思わせるに十分の人材。

 

背広男優という感触ですよ!

 

マーク・ライランスがマフィアに脅されたり、殴られたりする場面では「おじんをいじめないで!」と、かばいたくなりました。

 

うさぎのようなおじさまですね。

 

マフィアの若造役を演じた男優を「どこかで見たことがある」と思ったら。

 

「メイズ・ランナー」シリーズの主演で、かつて大売出しされていたディラン・オブライエンではないかーっ!

 

あの迷路男優ですよ!!

 

そんなオブライエンが大人のお味。

 

知らない間に年齢は30越えてるし!

 

マーク・ライランスと、1対1の演技合戦を繰り広げていて驚きました。

 

脚本、配役とも映画ファンに好まれそうな、マニアックな傑作でした。

 

 

 

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