「カポネ」★★★ [映画日記]
トム・ハーディ主演で、アル・カポネの晩年を描いた「伝記もの」です。
アル・カポネって、長い間、梅毒で苦しんでいたんですね、知らなかった〜。
そして、亡くなった時の年齢は、まだ40代だったんですね。
50〜60代かと思ってました。
老けて見えるタイプなのでした!
米国ではコロナの影響で配信スルーに、日本では2021年に劇場公開された作品です。
まずは「アル・カポネ役にトム・ハーディ?すごいかも。良さげかも」という期待に胸が膨らみます。
ワクワクするんですよ、「花金」みたいに!(←死語)
本編を観てみたら、確かにトム・ハーディの役作りは、見た目からスゴイですね。
形から入ってますね!
病気だから、目は血走っているし、唇は乾いてガッサガサ。
メンソレータムも効かない状態ですよ!
大変ですよ、便まで漏らして。
就寝中に漏らした便に、隣で寝ていた嫁が飛び起きてました「クッサ!」と!
アル・カポネは激しくキレることもあるし、トム・ハーディの演技力が全開なのですが。
めちゃめちゃ「ハマり役」というわけでもなく。
なんというか、実在の人物というよりは、アメコミ映画の悪役みたいな、少々、劇画調のニュアンスが含まれていました。
そんなカポネが、フロリダの別荘で療養している、という基本設定なのですが。
カポネさんは具合が悪すぎて、幻覚を見まくり!
そこに居ない人まで見えちゃっています。
記憶力も無くなっていて、家族のことすら分からないことも。
はい、そうです、若干40代で「ボ●老人」と化しているのです!
幻覚や幻聴の中で、人生が回想されていたりして、なかなか凝った構成の脚本。
アンソニー・ホプキンスがボ●老人を演じた映画「ファーザー」みたいな感触です。
カポネのイメージにはない「幻想スリラー」というジャンルが新鮮でした。
カポネの主治医役はカイル・マクラクランということで。
マクラクランの代表作「ツイン・ピークス」みたいな、デイヴィッド・リンチ風のダークな幻想テイストが、わずかに香ります。
カイル・マクラクランが放つ強烈な臭みですよ!(←ワキガじゃありません)
しかしながら、結局は、リアリティ重視の「カポネ・ワールド」が基調になっていて、観終わったときの印象は「地味」でした。
「遊んでそうな不良に見えるけど、実はまじめな人」みたいな映画でした。
劇中では、「隠し金」の在り処まで、すっかり忘れているカポネさん。
家族も大変そうでした、遺産が無くて。
「故人の預金を下ろせず、イライラする遺族」みたいなシチュエーションは、ワシら日本のパンピーにも共感できるものでしたね。