「サマリタン」★★★ [映画日記]
なんか最近。
amazonプライム・ビデオのオリジナル配信映画が、がんばっていますね。
調子づいてますね、いい気になってる!(←言い方)
Netflixのオリジナル映画って、いっぱいあるから、中には「安っ」と思う映画も多いのですが。
amazonのオリジナル映画は、少数精鋭という感じ。
オリジナル映画っていうか〜、amazonさんが買い付けてるだけの映画なのですが。
買い物上手なんでしょうね、元は買い物サイトだけに!
今作は、2022年8月にamazonプライム・ビデオで配信された、スーパーヒーロー映画。
2020年に公開予定だったものが、コロナで延期を繰り返し、ついにはamazonさんの手に渡った作品です。
製作・主演はシルヴェスター・スタローンですよ。
スタローンにとって、ヒーロー役での主演は「ジャッジ・ドレッド」以来ですよ!(←死語)
他の出演者にスターは不在。
スタローン1人が引っ張っている、なんとなく低予算の香りがする映画でした。
「死んだ」とされていたスーパーヒーローが実は生きていて、初老となった現在は「廃品回収での収益」で生活している、という設定。
枯れてんの!
男性ジョー・スミス役を演じているのがスタローンなのですが、ホームレスギリギリの質素なファッションで登場。
スタローンのスゴイところは、ホームレスギリギリの姿も似合っちゃうところですね。(←ホメ言葉)
今でこそ、実生活でのスタローンは美人妻を抱き、さらには美人の娘を何人も育てあげて、はぶりが良いですが。
昔は苦労してましたからね!
AV男優でしたから!!(←黒歴史)
今回は、下積み時代に磨き上げたであろう「古着の着回しファッションセンス」が活きていたと思います。
ジョー・スミスの近所に住む男児サムが不良に襲われたりして、ジョー・スミスが渋々、正体を明かして悪を懲らしめていく、という内容なのですが。
男児サムの方が主人公のようで、出番が多いです。
まるで「キッズ向け」でした、「ディズニー+」の映画みたいな!
ヒネリが効いていて、良いお話だったのですが。
キッズがフィーチャーされているからか、ダーク路線になりきれず、仕上がりがB級臭くて残念でした。
あと、どういうわけか、ラストあたりで、スタローンからキッズに向けての「正義とはな…」みたいな「語り」が入りました。
お坊さんのお説教みたいなやつですよ!
その場面を観ながら「遺言かい」と思ってしまいました。(←コラーッ)
クリント・イーストウッドも「クライ・マッチョ」では、老人と少年との交流を描いていましたけども。
スターは年をとると、「若手に何か伝えておきたい」とでも思うのでしょうか。
「キッズに信念を託して、それで死んでいきたい」とか〜。(←コラーッ)
「NOPE/ノープ」★★★☆ [映画日記]
意外です。
「ゲット・アウト」で出世したジョーダン・ピール監督って、「エヴァンゲリヲン」のファンなんですね。
アニメっ子なんですよ!
「日本のアニメって、米国のそんな奥地にまで刺さるのか〜、スゴイ」と思いました。
米国の人種問題を、ちょっぴり怖いシニカル・エンターテイメントに変換し、楽しませてくれているジョーダン・ピールさん。
ただいま、ブラック・スリラーの巨匠となっていますけども。
今回鑑賞した新作は、まさかのSFスリラーです。
人間が未確認飛行物体と対峙する、令和の「未知との遭遇」ですよ!
未知なる存在と遭遇する場面は、ワクワクしますね。
まさしく、昔「未知との遭遇」を観たときのような興奮を覚えました。
すっごく楽しい〜。
「ジョーダン・ピールさん、あなたまるでスピルバーグ。もはやブラック・スピルバーグ」と思いながら鑑賞していました。
田舎の夜空って、見上げていると、何か出てきそうな気がするものですが。
今作では、そんな「田舎の夜」ムードが活きていたと思います。
未確認飛行物体は、一見すると昔のUFOっぽいのですが、都市伝説感を排除して、独自の解釈がされていて新鮮でした。
未知なる存在のデザインは、なるほど、確かに「エヴァンゲリヲン」に出てくる使徒っぽ〜い。
それらのビジュアルが「シュールな美」というのが、これまた意外。
ジョーダン・ピールさんって、美的センスもあったんですね〜。
そうかと言って、いつもの人種問題も忘れていない、っぽいです。
「エンターテイメント業界を牛耳る白人に向けての風刺」がチラホラと見受けられました。
さりげない恨み節ですよ!
他のSF作品で、死んでいくのは有色人種のキャラクターですけども。
今作でヤラレていくのは、みんな白人でしたしね。
そんな感じで「スピルバーグ×エヴァンゲリヲン×白人風刺」という、見たことのない掛け合わせが実現していました。
今作は、続編やスピンオフへの波及も視野に入れている、とのこと。
ついにジョーダン・ピールさんも、ご商売に本気。
色気が出てきましたね、欲ですよ!
物語の主人公は、牧場の息子。
後取りですよ!
コミュニケーションが苦手な兄役は、「ゲット・アウト」で、アカデミー賞にまでノミネートされたダニエル・カルーヤさんですよ。
今作でも、「白人に、いたぶられてドギマギする演技」が炸裂。
今作では、白人どころか、未知なる存在にまで、いたぶられそうになっていました。
「いたぶられ演技」の幅を広げてきていました、宇宙の方面まで!
「Zola ゾラ」★★★ [映画日記]
A24配給の「女子映画」なのですが。
今どき感あふれる、いつものA24風味ですね。
旨味ですよ!
作風に「こなれ感」や「抜け感」があるんですよね〜、意味はよくわかりませんが!!
原作は、実在する女性のツイートなのだそう。
ああ、つぶやきも映画になる時代!
カネになる時代ですよ!!
つぶやいた本人で、映画の主人公であるゾラはストリッパー。
ゾラが、同じくダンサーのステファニーと出会ってから、わずか1〜2日後に、一緒に、フロリダのクラブまで出稼ぎの旅に出る、というお話。
「水商売の付き合い」みたいな軽いノリに見えたのですが。
先の展開はダークすぎてビックリしました。
水商売には、表通りもあれば裏通りもあるものです。
ゾラが思わぬ形で裏通りに迷い込んでしまい、戻ろうにも戻れない、という、スマホ世代の女子による「不条理スリラー」という内容が新鮮でした。
ラストシーンは「形式的な幕切れ」ではございませんでした。
客席のお客さんは、わたくしを含めて、エンドロール後に何か「追加シーン」があるんじゃないか、と思って、ラストシーンの後も、ず〜っと椅子に座っていました。
み〜んな、モヤモヤしていたんですよ!
あのラストシーンが、一層「不条理感」を増幅させていたと思います。
あとは、やっぱり、友達のことは、知り合って1〜2日程度じゃあ、理解できるものではない、と思いました。
そうかと言って、知り合って2〜3年経てば理解し合えるのか、といえば、必ずしも、そうでもないし。
友情とは割と難しいもの、と思わせてくれるお話でもありましたね。
ゾラ役を演じているのは、知らない黒人の若手女優さんなのですが。
ダンス場面などを含めて、体当たりでがんばっていました。
友人のステファニー役を演じているのは、ライリー・キーオですよ。
これまでの出演作品では、「殺人鬼に狙われ、ついには殺されてしまう金髪ねえちゃん」役がハマっていたライリー・キーオですけども。
ついに、A24作品で準主役を得たとは、おめでたい。
この映画は、ライリー・キーオ史上、最も彼女が輝いている映画だと思います。
本作でも、結局は「殺人鬼に狙われ、ついには殺されてしまう金髪ねえちゃん、みたいになりそうな金髪ねえちゃん」役でしたけども、まあいいじゃないですか。
「ピンクの服を着た白人の金髪ねえちゃん」というキャラクターは、数十年に渡り、ハリウッド映画内で表現されてきましたけども。
「キューティ・ブロンド」とか「ロミーとミッシェルの場合」とか。(←死語)
今作でライリー・キーオが演じたねえちゃんは、その令和型になりますでしょうか。
新型のねえちゃんですよ!
それは、社会の弱者として登場し、悪気なく差別発言をする、という「良いとこなし」の存在になっていました。
「めんどくさいタイプの悪役」というポジションがリアルでした。