「ストレイ・ドッグ」★★★☆ [映画日記]
惚れ直したわい、キッ子に!(←ニコール・キッドマン)
作品は「刑事もの」で、キッ子は主人公の女刑事エリン・ベル役を演じているのですが。
キッ子は、いつもの美貌を捨てて、まるで別人。
シミ、シワ全開のスッピン風。
くすんでんの!
あまりに肌がくすんでいて、あと一歩でゾンビ・メイクの状態!!
髪は手入れをしてなさそうな、白髪ミックスの聖子ちゃんカット。(←死語)
お衣装は、色気ゼロの臭そうなジーパンに、黒革の古い背広ですよ。
声もガラガラ、酒で焼けてんの!
もう、上から下までガッサガサでバッサバサ。
潤いゼロの、おじさんみたいなおばさん刑事!
生活もすさんでいて、同僚からは嫌われているという、一匹狼タイプ。
そんな女刑事が、ある殺人事件を捜査して、犯人と対決する物語なのですが。
小汚い情報提供者に、情報と引き換えに性行為を要求されるキッ子。
「ヤツの居所を知りたくばよ〜女刑事さん。俺を抱いてくれよ!」みたいなやつですよ。
「フン、めんどくせぇ」と言う感じで、仏頂面のまま要求に答える性刑事キッ子!
別の情報提供者の元では、殴られ蹴られゲロを吐き「うぁぁぁぁぁ!うぉぉぉぉぉ!」と、うめくキッ子。
娘のボーイフレンドからは「うっせんだよ、ババア!」等と罵られ、「なんだと、このクソガキャーッ!」とキレて飛びかかる猛獣キッ子!!
とても美人女優が演じる役ではありません。
これは、トム・ベレンジャーとかの仕事!
あまりの汚れ役に衝撃を受け、同時に、常に挑戦を忘れないキッ子の仕事ぶりを見て、うれしい気持ちになりました。
こんなにワクワクさせてくれる女優は、なかなかいません。
これこそ、ハリウッドのトップ女優のあるべき姿!
鑑賞中は、ず〜っとニヤニヤしてしまいました。
ものっすごいハードボイルド劇なのに、観ているボクちゃんはキッ子の演技が楽しすぎて笑いっぱなし〜。
まーね、扱う事件自体は、そんなに面白くないのですが。
まあまあ普通の、海外ドラマ並みの殺人事件かな、と思うのですが。
その事件を使って、主人公のキャラクターを掘り下げるところが素晴らしいです。
事件に関わったせいで、主人公は警察官でありながら罪悪感と憤怒を抱え、独りで悶々としている、人生の敗北者なんですよね〜。
人生で一度だけ愛を得た瞬間がある、という回想シーンも切なくて効果的。
しょっぱさの中で、キラリと光る甘みですよ!
インドカレーを食べてる合間に、甘口のラッシーを飲むみたいな喜びですよ!!
このキャラクターの掘り下げ感は、海外ドラマには無い深みだと思いました。
いろんな共演者も出てきますけども、全員がキッ子の怪演に食われる結果に。
怪物に食われたようなもんですよ!
キッ子がボロ車を運転して、容疑者を尾行しているだけで「あの美人女優が尾行を?!」と思って、なんかオモローイ。
張り込みまでしてましたから!
キッ子が武装して、犯罪が真っ只中の現場に突入するだけで「あの美人女優が突入すんの?!」と思って、いちいちオモローイ。
「汚れ扮装」という演技の隠し玉に、気持ちよく乗せられた作品でした。