「フリーソロ」★★★ [映画日記]
高いよ、こわいよ!
2019年の米と英のアカデミー賞で、ドキュメンタリー賞を受賞した作品です。
ケーブルテレビで観ましたよ。
プロのクライマー、アレックス・オノルドさんの挑戦を追った内容なのですが。
アレックス・オノルドさんがロープや安全装置を使わず、素手で岩肌を上る「フリーソロ」というスタイルで、高さが900メートル以上のエル・キャピタン(カリフォルニア州、ヨセミテ国立公園内)をジワジワ登る映像が恐怖すぎる〜。
例えるなら「天空の城ラピュタの外壁にパズーがしがみついている映像が実写」という感じです。
実写でへばりついてんの!
手を滑らせたら落ちて死ぬ、っていう緊張状態が持続。
鑑賞中は「無理だろ。やめとけ。ありえん。こわい」と、声に出して言い続けました。
もう、たまらん!
まずは、そんなダイナミックな映像に心を掴まれました。
撮影当時のアレックス・オノルドさんは20代後半で男前です。
10代の頃からバンで暮らして、シャワーを浴びながら、ついでに衣服を手洗いしちゃう、という、ちょっと変わり者のイケメン。
ちょっと残念なイケメンですけども!(←失礼)
アレックス・オノルドさんのガールフレンドもかわいすぎる〜。
まるで、海外ドラマを観ているかのようなツーショット。
2人とも、テレビ役者っぽーい。(←ホメ言葉)
ガールフレンドは良い子なのですが、交際を始めたとたんにアレックス・オノルドさんが、立て続けに落下事故でケガ。
作品内でのガールフレンドにさげまん疑惑!
作品内でのガールフレンドは不安要素として扱われているのでした。
高所での映像が存在するということは、撮影スタッフがいる、ということで。
時々顔を見せるスタッフも、アスリート気質でスポーティなフンイキ。
「撮影がクライミングの邪魔になっているなら言ってほしい」と申し出たり。
アレックス・オノルドさんが高所にいるときは、カメラマンでありながら「もう見てらんない」と目をそらしたり。
スタッフはみんな良い人なのでした、ガールフレンドはさげまん扱いされているというのに!
アレックス・オノルドさんが難関に挑むクライマックスは相当盛り上がって、ラストシーンを観終わった後には「アレックス・オノルドさんてスゴイ。人間ってスゴイ」と拍手したくなりました。
序盤まで観たときには「なぜこんな危険なことをするのだろう。大人しくお家でゲームでもしていなよ、ポケモンとか!」と、彼の行動に疑問しかありませんでしたけども。
最後まで観ると「人生をかけて挑戦することは素晴らしい体験だ。それをやり遂げる人もカッコいい」と考えが変わりました。
かといって「お前もロープなしで岩を登れ」と言われても断りますが。
もっと別なものに挑戦したいと思います、完璧なゴミ分別とか!
登場人物は個性的で、カット割りや編集はドキュメンタリーとは思えないほどドラマチックに決まってる。
迫力のビジュアルとストーリー性、危険な題材でありながらポジティブな後味を残すあたりも上出来で、アカデミー賞の受賞も納得でした。
「シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション」★★★ [映画日記]
フランス人がやりおった!
日本人にはおなじみ、1980年代の人気漫画「シティーハンター」がフランスで実写映画化〜。
果たして「シティーハンター」の世界観が、フランス風味に合うのであろうか。
フランス料理店で茶漬けを頼んで待つ気分でしたけども!
観てみたら相当のお笑い度数で、まるでフランスのB級エロチック・コメディ映画のよう。
劇中に出てくる「嗅いだ者を魅了してしまう香水」というアイテムもオシャレ感があって、いかにもフランスっぽい感じ〜。
「シティーハンター」とフランス風味が絶妙にマッチしています。
意外にいけるよ、この食い合わせ!
「シティハンターって、こんなにエロ要素が満載でしたっけ?」と思うくらい、シモネタのオンパレードでしたけども。
主人公で敏腕のスイーパー(掃除屋)、冴羽リョウなんてドスケベすぎて引くくらい。
2020年の感覚からすると、冴羽リョウのドスケベ度は病院に行って少し治してもらった方がいいレベルでした!
役者さんによる、クオリティの高いキャラ再現度が話題ですけども。
たしかに全てのキャラクターが漫画そっくりで、観ながらニヤニヤしてしまう〜。
とくに、冴羽リョウの相棒、槇村香を演じた女優さんが良かったです。
フランス女優でありながら、まるで槇村。
ホント槇村、それっぽい!
「確かに槇村香って、そんな感じだよ〜」と思わせる髪型、ファッション、表情で感心してしまいました。
冴羽リョウ役を演じているのは、監督・脚本も兼ねているフィリップ・ラショーさんですけども。
彼による、原作再現への情熱が素晴らしいです。
実写化映画において、原作のフンイキを完璧に再現することは出来そうでいて難しいこと。
それは監督の個性を殺す、ということですので。
ラショーさんは表現者としては、自分を犠牲にしてるんですよね。
魂を差し出しているんです!
頭が下がる仕事ぶりでした。
今作はフィリップ・ラショーさんの代表作になりましたけども。
それまでの代表作は「世界の果てまでヒャッハー!」だったっていう。
はて、何じゃろな「ヒャッハー!」て!
アハ体験みたいなものでしょうか?!
日本語吹き替え版で観たのですが。
役名が全部日本名になってました、見た目は外人なのに!
フランス美人の自己紹介が「私は冴子」っていう!
原作を度外視して冷静になってみると、カオス感のある世界になってました。
結局〜、コメディ映画でありながら、そんなに笑えないし、中身はさほど面白くもなかったのですがね〜。(←コラーーッ!)
物語の幕切れ演出がアニメ版「シティハンター」のまんまで感動〜。
エンディングテーマに「Get Wild」まで流れてうれしい〜。
「すごーい。フランス人よ、ありがとう。メルシー、パリっ子」と言いたくなる、良い気分で席を立てました。
ラストシーンて大事ですね〜。
「2人のローマ教皇」★★★ [映画日記]
賞レースのシーズン前には、実在の人物2人が対立する映画が多く公開されますけども「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」みたいなやつ。
ケンカ映画ですよ、タイマン・ムービー!
「実在の人物」「対立」という点で、俳優の演技力を見せることが出来るし見せ場も発生。
「2人」という点で、主演、助演という2部門のノミネートを狙えますしね。
賞レース向きの題材なのだと思います。
当たりやすいクジなんでしょうよ!
今作の場合、題材はローマ教皇ですよ。
2人のローマ教皇候補が帽子を奪い合っての取っ組み合いをする!…かと思いましたが、そんなに派手じゃありませんでした。
そりゃそうですよ、「HiGH&LOW」シリーズじゃありませんので!
ローマを舞台に、保守的な教皇ベネディクト16世と、先進的なベルゴリオ枢機卿が持論をぶつけ合う様を丹念に描いております。
2人ともお爺ちゃんですが、物事をハッキリ言うしお元気です。
どことなく漂っています瀬戸内寂聴感!(←寂聴さんはお爺ちゃんではありませんが)
時にのどかに、時にツンツンしながら話し合う場面で構成されていて、ほぼ2人芝居という作風でしたけども。
ベネディクト16世はピアノを弾いたり、1人で過ごすことが好きな人。
おひとりさま教皇!
ベルゴリオ枢機卿の方は、スポーツバーでビールを飲みながらサッカー観戦を楽しむようなアクティブ派。
いきいきシニアですよ!
中身は全く違う、油と酢みたいな2人!!(←シャカシャカ混ぜたらドレッシングに)
2人とも大人なので、相手の個性を尊重しながら会話を進めて、交流も深まります。
時々2人が見せるオチャメな仕草がかわいらしい〜。
爺さん2人がキャッキャ、キャッキャするんですよ生娘みたいに!
大物のローマ教皇が安ピザとファンタに向かって「素晴らしい食事に感謝いたします」みたいに十字を切ったりして、微笑ましい場面もあるかと思ったら。
2人が過去に犯した罪も明らかになりますよ黒歴史!
表と裏を描いて、深みも十分でした。
結局、ローマ教皇とはいえ特別な存在ではなく、中身は庶民と同じ、みたいな内容でした。
ベネディクト16世役はアンソニー・ホプキンスで、ベルゴリオ枢機卿役はジョナサン・プライスなのですが。
まずは2人とも似合ってますよ、教皇ファッション!
着こなしに違和感はありませんでした。
アンソニー・ホプキンスって、ハンニバル役から教皇役まで演じ分けることが出来るってスゴイですね〜。
なんかもう極端!
そんなホプキンス以上にハマっていたのがジョナサン・プライスですよ。
佇まいが本物みたい。
クライマックスのスピーチ場面も、「ここだけドキュメンタリー映像ですか?」と思うくらいリアルでした。
ジョナサン・プライスはドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」でも司祭みたいな役を演じていて、あの時もハマってました。
司祭面なのでしょうな!