「パラサイト 半地下の家族」★★★★ [映画日記]
劇中に「貧乏人には、いくら体を洗っても落ちやしない独自の臭いが染みついている。なんか臭い」みたいな表現があって愕然としました。
もしや金欠体質のボクちゃんも、同じような臭いを放っているのではなかろうか?!
周囲の人々から「あの人、貧乏臭いよね。ものすごいドブネズミ臭だよね」と思われているのではなかろうか、と恐怖を感じました。
どうすれば貧乏臭を消せるのであろう。
スッキリ、サッパリするために、洗面器一杯分の石鹸水を頭からかぶるべき?
それとも体を粗塩で揉んだほうが良いのであろうか、脇の下とか内股を?!
…そんなことを考えながら鑑賞した作品ですけども。
気が散って仕方なかったわい!
韓国の鬼才ポン・ジュノ監督が娯楽性満点で描く格差社会。
カネ持ち家族と貧乏家族が関わりを持ち、互いの家族について「いい人だよね」と一定の評価を下すものの、根本的に埋まらぬ溝がクッキリ。
ドモホルンリンクルを塗りこんでも塗り込んでも消えぬ、加齢ジワみたいにクッキリですよ!
カネ持ち家と貧乏家は意識で理解し合っていても、感覚レベルで否定し合っているんですよね〜「性格は好きだけど、何かが気に食わない」みたいな。
それを「貧乏臭」という、目に見えないもので表現しているところが、さすがポン・ジュノさんだと思いました。
さすがポンさんなんですよ!
そんな、カネ持ち家と貧乏家による「静かな愛憎劇」という基本スタイルがクールでした。
諸事情あり、カネ持ち家が貧乏家を丸ごと雇う形になる展開に。
雇用主と従業員という立場の違いも描かれております。
「貧富」と「雇用」という、上下関係のクロスオーバーが貧乏人を襲う!
休日に呼び出され、やりたくない仕事をすることになる貧乏人に雇い主が真顔で言いますよ、「やってもらわないとね。休日出勤かもしれないけど、カネは出してんだからさ」みたいな。
本音だわな権力者の!
貧乏人に対して、「貧乏人には幸せは来ない」とでもいうような、突き放しが効いています。
突き飛ばしてるんですよ!
結局、取っ組み合いの大ゲンカをするのは、貧乏人同士だという。
「金持ちケンカせず」の構図が見事にキマっておりました。
コメディ要素やスリラー要素、おまけのホラー要素の効かせ方も素晴らしく、家族ドラマとしても成り立っている、まさにジャンル・ミックスの最高峰。
どんな場面も、いちいちオモローイ。
奇跡の社会派・犯罪エンターテイメントでした。
家主が留守の間に、貧乏家族がどんちゃん騒ぎをしていたら、予定を変更した家主が急きょ帰宅してくる、というシチュエーションは「あるある」でした。
「お留守番あるある」ですよ!
ボクちゃんが好きなキャラクターは。金持ち宅に昔から雇われている家政婦さんなのですが。
家政婦さんが、ものすごい土壇場でバタバタしている最中に、サッとスマホを取り出して、サッと動画を録画した場面にビックリしました。
なんたる落ち着きぶり!
貧乏人がスマホを使い慣れているんですよね〜。
不思議なことに、テクノロジーの扱いに格差は見当たらないのでした。