「ジョーカー」★★★☆ [映画日記]
主人公はDCコミックの悪役キャラクター、ジョーカーですよ。
白塗りで有名なあの子。
化粧が濃いあの子ですよ!
同じくアメコミが原作、コミカルで陽気な「アベンジャーズ」シリーズとは全く違う、超シリアス・バイオレンス路線で仕上げているところが素晴らしいです。
悪役1人に焦点を絞っているところも新しい。
深堀りしてるんですよ!
正義の味方と戦うこともありません。
「アベンジャーズ」の後追いを止めてるんですよ、あきらめたかのように!
そんな、アウトローな作風が吉と出た。
ついにDCコミック映画に大当たりが出たわい、金の玉が出たーっ!
孤独な青年アーサーが、いかにして狂人ジョーカーになってゆくのか、その心理にじっくりと迫った物語で、彼の行動に目が離せません。
ジワジワ感が良かったです。
アーサーのお宅は貧乏家!
ワケあり母子家庭で育ち、自身は突然笑いだしてしまうという奇病におかされている、という状態。
しかもコメディアン志望だけど笑いは取れていない、という。
笑わせようとしても、スベりまくんの!
スベるたびに失笑を浴びる、っていう!!
観ながら「これはつらいわな。わかるよ」と思いました。(←先輩芸人かい)
貧困から始まり、コメディ文化を交えながら、社会への憎悪に展開する様が鮮やか。
この「笑うに笑えないコメディ話」を、爆笑コメディ「ハングオーバー」シリーズのトッド・フィリップス監督が手掛けている、というところも面白いです。
結果的にはクールなサイコ・スリラー作品という感じで、なんとなく「ブラックスワン」とか、そういう風味を感じる出来映えでした。
アメコミ映画では初めてヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞したというニュースを聞き、「あんまりアメコミ臭くない作品なのかも。臭みは消えてるのかも」と思っていたのですが。
観てみたら割とアメコミ〜。
しっかり臭ってんよ、焼き肉屋帰りの衣服みたいに!
原作コミック・ファンに向けての目配せも、十分に含まれた内容でした。
映画ファンとしては「ホアキン・フェニックスがジョーカーを演じる」という点にワクワク。
やっぱり、最大の見どころはホアキン・フェニックスの演技だと思います。
元々ホアキンて、狂っていたり、危険な香りを毛穴から放ちやすい体質!
近寄りがたいデンジャラス男優!!
だから、今回のジョーカー役もピタッとハマっていて、「この役を演じられるのは、ホアキンしかいない」と思いました。
またホアキンの持つアートな空気も、この作品に高級感を与えていたと思います。
物語の後半、ホアキンは白塗りで演技をしているのですが。
化粧をすると、それがホアキンなんだか誰なんだか認識不能に。
ホアキンだかデメキンだか分からないんですよ!
「白く塗りすぎて別人化」という点では、梅沢富美男さんをほうふつでした。