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「ファミリープラン」★★★ [映画日記]

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邦題付けなくて良かったですね、付けたら「家族計画」になっちゃう!

 

マーク・ウォールバーグ主演、ミシェル・モナハン共演の、appleオリジナルのファミリー系コメディ映画です。

 

「Apple TV+」で2023年12月15日より配信が始まっています。

 

劇中のマイホーム・パパには秘密があった。

 

実はシークレット・ブーツを履いているとか、ヅラをかぶっている、とかじゃありません!

 

かつてパパは「殺し屋」だったのである、という、まあまあベタな設定になっています。

 

ある日パパが敵に命を狙われて、妻子に「己が必殺仕事人」という事実を隠しながら、隠密に反撃する、という場面が楽しいポイントですね。

 

乳飲子を抱えたままで戦いますから!

 

絵的にも映えて便利なアイテムですよね、赤子は!!

 

ティーンエイジャーの娘・息子も、どこか「凄腕の諜報員」みたいなDNAを受け継いでいる、というのも面白いですね。

 

なんというか〜「スパイ・キッズ」みたいで。(←禁句)

 

今作が、他の同ジャンル作品と違う点は、ややセクシー要素が強いところでしょうか。

 

主人公と妻は、毎週木曜が「抱き曜日」っていう設定ですから!

 

具体的に抱いている場面はありませんが、夫妻がイチャつく場面は多めかと思います。

 

家族向け作品というよりは、どっちかっていうと、マーク・ウォールバーグのファン層である大人向け作品なのかもしれません。

 

主人公と妻がベットでゴロゴロしている場面で、ふと気づいたことがございます。

 

半裸のウォールバーグの胸元に目が行きました。

 

乳首の数が、1、2、3!?

 

3つ目あるよね、確かに!?

 

犬かい!

 

今作の鑑賞で得たもの、それは「ウォールバーグの乳首の真実」でした!!

 

コメディに振り切った、ハチャメチャ演技を見せるミシェル・モナハンも新鮮〜。

 

ずっとカジュアル服を着ているモナですが。

 

クライマックス辺りからは、真っ赤なドレスで決め込みますよ。

 

そしたら、やっぱりキレイ〜。

 

女優、女優、女優!

 

素人役ですが、高級ドレスに着させられていない。

 

ドレスの着こなし方、そして歩き方に、隠しきれないセレブ感が漂っていました。

 

そんなミシェル・モナハンと対決する相手役がマギー・Qっていう。(←死語)

 

「ミシェル・モナハンと戦う役、誰にする?マギー・Qでいいか。ギャラも適度だし」とか談義する映画制作ミーティング。

 

参加してみたいです。

 

 

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「サンクスギビング」★★★ [映画日記]

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このたび。

 

「グラインドハウス」(2007年)劇中にて、予告編として引用されたフェイク映画が、立派な長編ホラー映画として完成いたしました。

 

何でか今ごろ!

 

「どんな映画なのかな~」と思って観てみましたところ。

 

懐かしさを全面に押し出した「グラインドハウス」風味は、あんまりありません。

 

古臭くナーイ。

 

ムシューダ置いた、タンスみたいに無臭!

 

神出鬼没な殺人鬼に若者が追い回されるという、お決まりの話なのですが、スマホやら動画配信やら、ハイテク要素を盛り込んでいて今どき~。

 

現代の若者客を取り込むべく製作された、ポップでトレンド感のあるホラー作品に仕上がっていました。

 

何というか、ノリは「スクリーム」みたいな?(←禁句)

 

これは、原案・監督のイーライ・ロスにとっては勝負作ですね。

 

稼ごうとしてらっしゃいますね!

 

幸い、続編の製作も決定したようなので、今シリーズはイーライ・ロスの代表作になりそうです。

 

今作の特徴といたしましては、米国等でおなじみの祝日「感謝祭」(サンクスギビング)をテーマにしているところですね。

 

物語の舞台は、感謝祭発祥の地として有名なマサチューセッツ州プリマス。

 

殺人鬼は、プリマス植民地の創設者ジョン・カーヴァーのお面をかぶり、餌食となる若者たちを感謝祭の食卓や料理にちなんだ形で斬殺していく、という。

 

七面鳥のかわりに、人間がオーブンで焼かれたりすんの、こんがりと!

 

キツネ色にですよ!!

 

それらの場面は、米国等の観客たちには、きっと大ウケだったことでしょうね。

 

ワシら日本人は感謝祭ネタにピンとこないから大ウケとはいきませんでしたが、それでも、まあまあ面白かったです。

 

ワシら日本人の感覚に置き換えますと、「お赤飯の色付けを、人を殺した後の血で行った」みたいな感じでしょうか。

 

米国では、感謝祭の時期に公開されたので、「感謝祭といえば、この映画が観たくなるよね」と習慣になりそうな、催事映画としての成長も期待できそうです。

 

出演者というか、主役扱いなのが、まさかのプシ夫さんですよ!(←パトリック・デンプシー)

 

プシ夫さんて、タリーズコーヒーを社ごと持っているから、働かなくても食べていけるはずなのですが。

 

2023年になって、まさかの「ホラー映画落ち」とは一体なぜ。

 

ヨゴレ仕事を請け負っていて驚きました。

 

同じくヨゴレ仕事を手伝ったのがガショ子さん!(←ジーナ・ガーション)

 

アラ還の男女のヨゴレ仕事がアッパレで、大人客も清々しい気持ちになれる作品でした。

  

 

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「マエストロ:その音楽と愛と」★★★☆ [映画日記]

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ブラッドリー・クーパーさんと言えば。
 
わたくしの中では海外ドラマ「エイリアス」(2000年代)での、脇役出演のイメージで止まったままなのですが。
 
「所詮テレビ男優」のイメージですよ!
 
そんな彼が、ハリウッドでここまで成長するとは。
 
ご立派になられるとは~っ、うへぇ~っ!(←土下座で)
 
今回、ブラッドリー・クーパーさんは、実在した世界レベルの指揮者レナード・バーンスタインの伝記作品で、製作・監督・脚本・主演をこなしていらっしゃいます。
 
鑑賞してみましたところ、ものすごく良い出来で、驚いています。
 
とくに演出家として、ブラッドリー・クーパーさんは鋭い感性を持っていて、アート寄りの嗜好であることが分かりました。
 
芸術家肌なんですよ、パッと見チャラいけど!
 
映画製作チームの中には、マーティン・スコセッシやスティーヴン・スピルバーグの名前もあるのですが。
 
彼らの意見も参考にしたのか、物語の前半をモノクロにして、クラシック名画風の佇まいに仕立てているところが最高~。
 
音楽もゴージャスでうっとり~。
 
物語の後半はカラーになりますが、それもまた、どこか1970年代の名画のような空気感で良かったです。
 
脚本自体は、レナード・バーンスタインの半生を追っているだけなので普通なのですが、全編を「昔の名画風」で描くという作風に、インパクトがあったと思います。
 
同時に、役者の演技力を最大限に見せきっているのも特徴ですね。
 
同じように指揮者を主人公とした音楽系映画に「TAR/ター」(2022年)がありますけども。
 
「TAR/ター」を観たときは、主演したケイト・ブランシェットの演技を「世界一」と思いましたけども。
 
今作でブラッドリー・クーパーが見せた演技は、なんと、ケイト・ブランシェット様に負けていません。
 
あの「所詮テレビ男優」と思っていたブラッドリー・クーパーさんが、「まさか、まさかの、まさか」ですよ!(←失礼)
 
劇中では見事な指揮っぷり。
 
圧巻の棒振りですよ!
 
芸が素晴らしすぎてうれしくなり、ニヤニヤしてしまいました。
 
ニヤケ顔で鑑賞したんですよ!
 
圧倒的主役感でありながらも、妻役キャリー・マリガンにも多くの見せ場を設けていて、出演者リストの先頭も彼女の名前に。
 
ブラッドリー・クーパーの謙虚さを感じました。
 
ひかえめなお方なんですよ、ひかえめ塩分のお味噌汁みたいに!
 
ブラッドリー・クーパーに、アカデミー賞主演男優賞をもたらしそうな勢いを感じる作品でした。
 
あの「所詮テレビ男優」に、ですよ!(←失礼)
 
 
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2024年ゴールデングローブ賞・受賞式会場がセレブ感満点で楽しい。シャラメ他カップルお披露目も多数。 [映画写真日記]

米国映画・テレビの祭典、第81回ゴールデングローブ賞の授賞式が、2024年1月7日(日本時間8日)に行われましたね。

 

受賞結果としては、映画部門(ドラマ)で「オッペンハイマー」が最多5部門受賞。

 

映画部門(ミュージカル・コメディ)では「哀れなるものたち」が2部門受賞というのが話題ですけども。

 

両作とも日本では公開されていないのでピンと来ず。

 

「ふ〜ん、そうなんだ」という冷め切った感触になりましたけども。

 

キリアン・マーフィーやロバート・ダウニー・Jr.など、普段受賞できそうで、できていなかった人材が受賞できたのは喜ばしいですね。

 

その他の受賞結果は、下記リンクをご覧ください。(外部サイト)


 

 

受賞式会場の様子は華やかで最高〜。

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近年はコロナ影響で受賞式も地味だったから、今回の派手なゴールデングローブ賞・受賞式会場を見て、久々にテンションが上がりました。

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ジャック・クエイドとデニス・クエイドという父子ツーショットもレアでビックリ。

メグ・ライアンのお子様ですよ!↓

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ニコラス・ケイジも白髪をバッチリ染め上げて来たーっ。

実妻の芝田璃子さんを世界にお披露目ですよ!↓

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昨年結婚したビリー・クラダップとナオミ・ワッツも「おしどり」アピール。↓

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会場をウロウロされているフローレンス・ピューは、相変わらずの貫禄でした。↓

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ドラマ「マーダーズ・イン・ビルディング」で、助演女優賞にノミネートされたメリル・ストリープの元には、挨拶に訪れる人が続々。

親戚の婆ちゃんちに、孫やひ孫が挨拶に来ているような光景ですよ!

 

こちらはロバート・ダウニー・Jr.と。↓

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こちらは映画「プラダを着た悪魔」で共演したエミリー・ブラントと。↓

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こちらは映画「マンマ・ミーア!」シリーズで共演したアマンダ・セイフライドと。 ↓

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こちらは、レッドカーペット上でのお写真。

 

マーゴット・ロビーは、「バービー」風ドレスでオーラ全開〜。

映画「バービー」はライバル作「哀れなるものたち」に食われて、興行成績賞のみ受賞っていう結果が意外〜。

もっとたくさん受賞するかと思っていました。↓

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ベン・アフレックの妻となったジェニファー・ロペスも、派手に決めてきましたね。↓

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こちらは、攻めたお衣装のロザムンド・パイク。↓

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映画「ベネデッタ」劇中のシャーロット・ランプリングかと思ったら、ジョディ・フォスターでした。↓

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こちらは「出オチ」感満点の、ネタ的ドレスを着てきたカレン・ギランです。↓

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ティモシー・シャラメとカイリー・ジェンナーは、受賞式会場で「公式カップル」アピール。

すごいよねぇ。↓

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そんなシャラメに近づいていくマット・デイモンでした。↓

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「枯れ葉」★★★ [映画日記]

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生い茂る緑の瑞々しさは無いけれど、枯れて落ちる葉も、それはそれで美しい・・・。
 
そんな詩的な気持ちになりました。
 
ポエムな一作ですよ、ポエムービー!
 
わたくしがアキ・カウリスマキさんの監督作を観るのは「過去のない男」(2002年)ぶりかと思います。
 
中年男女の恋愛劇です。
 
メインキャラクターの男女が、不本意に職を失う場面から、すでに切ないです。
 
タイトルじゃないけれど、まずは全編、枯れた魅力が炸裂していますね。
 
今どき感が皆無なのです。
 
現代劇でありながら「時代設定は昭和20年代ですか?」と思うくらい簡素です。
 
鑑賞後の今でも、この作品が2023年製であることが信じられません。
 
劇中には、テレビやスマホなんて出てきませんよ。
 
情報を得る手段はラジオ!
 
レイディオですよ、「壊れかけ」だか何だかの!!
 
男女が連絡を取り合う手段はガラケー(着信)なのですが。
 
相手の電話番号はメモ書きでもらい、そのメモは無くしてしまう、という、信じられないほど素朴なエピソードで、物語を盛り上げていました。
 
あらゆる大道具・小道具など、美術的なものは、おそろしく地味で、劇中の病院のセットなんて「どこの雑居ビルですか?看護師2人だけ?」みたいな感じで、めちゃめちゃ暗くて寂しい空気が漂っています。
 
劇中内の映画館でかかっていた映画が、監督の友人ジム・ジャームッシュ作「デッド・ドント・ダイ」だった点だけは、現代的な要素だったと思います。
 
俳優の芝居は喜怒哀楽の表現を極端に抑えていて、ほぼ無表情のままで物語続行。
 
セリフも、心理表現も単調で、めちゃめちゃシンプル設計。
 
気持ちに表裏がなく、深読み不要!
 
人間ドラマ構成も、めっちゃ普通の起承転結。
 
余計なものは、全て排除。
 
廃棄!
 
すさまじい「ミニマム美」です。
 
ものすごく洗練された日本庭園みたいなものですよ。
 
圧倒的な個性を感じました、さすがアキ・カウリスマキさんです。
 
情報過多の現代で、この映画を作り出して発信する、って、なかなか面白いと思いました。
 
今の若いお客さんが、この映画を観たらビックリするんじゃないかな。
 
逆に、ファンタジーに見えるかもしれません。
 
わたくしは、あまりのオフビート感に、物語の序盤で少し寝た〜。(←コラーッ)
 
 


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「クイズ・レディー」★★★ [映画日記]

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オークワフィナさんとサンドラ・オーさんが姉妹役で共演しているコメディ作品です。
 
ハリウッドで活躍する2大アジア系女優の、コラボ企画ですよ!
 
なぜ2人が米国で人気があるのか、今作を観て理解できたような気がします。
 
2人とも、おもろい女〜!
 
飽きない女なんですよ!!
 
作品は、「ディズニー+」で2023年11月に配信された配信限定映画です。
 
オークワフィナさんの「陰キャ」芝居がハマりすぎ〜。
 
猫背&バッサバサの髪型が雰囲気バツグン。
 
自然!
 
オークワフィナさんの姉役サンドラさんは、妹とは正反対の派手目でチャラいキャラクター。
 
若作りしたファッションで、手にはいつもタピオカ飲料を持ってるタピオカ女!
 
金ナシ、男ナシ、仕事ナシ、住居ナシという「崖っぷち女」役でした。
 
キャピキャピした芝居をするサンドラさんを初めて観ましたが、本当によくやっています。
 
芝居が浮かず、見ながらイタくも感じないのは、サンドラさんの演技テクニックが優れているからなのでしょうね。
 
ケンカが絶えない姉妹が、色々あって、2人で老舗のクイズ番組に出場しようとするお話。
 
今作は「クイズ・ショウ」(1994年)、「スラムドッグ$ミリオネア」(2008年)に次ぐ、クイズ大作なのでした!
 
お決まりの展開なのですが、主人公がアジア系女性の姉妹という点が新鮮ですね。
 
アメリカの「はみだし者」中の「はみだし者」が、アメリカの、しかも歴史あるテレビ番組で天下を取ろうとするのが「今どき」だと思いました。
 
クライマックスは、なぜか感動的な展開で、観ながら、つい清らかな涙がこぼれました。
 
おもろい女2人に泣かされたんですよ!
 
オークワフィナさんとサンドラさんは、プロデュースも兼ねている、ということで。
 
「アメリカで生きるアジア系の女性に勇気を」という心意気も伝わりました。
 
脇役のキャストも、いいところを突いています。
 
主人公宅のお隣さんで、嫌味を言うガミガミ婆さん役がホーランド・テイラーさんですよ。
 
ホーランド・テイラーさんは、ドラマなどでも、人種差別をやってそうな嫌われ役を、平然と完璧にやってのけるんですよね〜。
 
ご本人は、相当肝っ玉が座っていると思いました。
 
クイズ王役のジェイソン・シュワルツマンは、上から目線のインテリっぽさが全開で最高〜。
 
上手に見えます、高見えですよ!
 
シュワルツマンは、ウェス・アンダーソン作品の常連ですが、ウェス・アンダーソン作品よりも良い仕事をしているように見えました。
 
クイズ番組の司会者役は、なんとウィル・フェレルが演じているのですが。
 
バカはやんないウィル・フェレル!
 
まさかの、優しいおじさま役〜。
 
まさかのタモリさん系!
 
「アジアに優しい白人」という好イメージでした。(←「手に優しい洗剤」調で)
 
 

 

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「PERFECT DAYS」★★★☆ [映画日記]

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ヴィム・ヴェンダースさんの「頼まれ仕事」映画が爆誕〜!
 
ヴィムさんが手掛けた作品とは思えぬポップさに驚いています。
 
元々「日本の公衆トイレ刷新事業PR映画としての企画」とのことなので、トイレのCM感があるのは仕方ないですね。
 
日本の広告クリエイターが口添えしたのか、随所に「これ、かっこいいでしょ?」みたいな、文化センスの押し売り感も、まあまあございます。
 
「あざとさ」あるんですよね〜、あざとカワイイ子みたいな!
 
石川さゆりさんを起用して、ちっちゃいスナックで歌わせるなんて、いかにも広告クリエイターの発案っぽい〜。
 
世界の賞レースでウケる気マンマンの「戦略的アート映画」(←矛盾)と言っていいかもしれません。
 
しかし、今作は、その「広告代理店的・感覚」から一歩踏み込み、ヴィムさん独自の感性で東京を表現している点が良かったです。
 
東京を舞台とし、主人公で年配の独身男性である平山さんは、日々、粛々と公衆トイレの清掃仕事をなさっている、という設定。
 
ほぼ全編、朝起きて、夜寝るまでの行動を追っています。
 
「業者さんのルーチン動画」を見させられている状態ですよ!
 
毎日が同じようで、ちょっと違うという点で、人間ドラマを発生させているのですが。
 
ドラマ・パートは「後付け」な感じで、まあまあ平凡なのですが。
 
平山さんがテキパキと清掃する場面を眺めているだけで、なんか感動する〜。
 
清掃エモーションですよ!
 
わたくしたちは、日々の生活で公衆トイレを使うことはありますけども、清掃員のことを考えたことなど無いに等しいと思うのです。
 
トイレの入り口に「清掃中」と書かれた看板があったら、「なんだよ〜、掃除中か〜」って思うだけですよ。
 
しかし、今作を観て「そういえば、いつも公衆トイレがキレイなのは清掃員のみなさんが掃除してくれているからなんだよね」と、ふと思いました。
 
ハッとしました。
 
気づいたんですよ、我に返ったのです!
 
つまり、わたくしたちトイレ利用者は、普段、トイレの清掃員のことは見えておらず、ゴーストのような存在かと思うのですが。
 
なんと劇中では、清掃員からの目線では、わたくしたちトイレ利用者の方が、ゴーストのように感じているんですよね。
 
トイレ利用者と清掃員は、表と裏。
 
光と影。
 
「あながた太陽なら、私は月」みたいな関係性ですよ!
 
そして、主人公の平山さんはアナログ派。
 
読書は紙、写真撮影はフイルム、音楽鑑賞はカセットテープですよ。
 
ちょっと、テープて!
 
デジタルや、テクノロジーの最先端という、東京のイメージを逆手に取っていますね。
 
総じて、東京の裏側や、美徳、つつましさを描こうとしている点が、とっても良かったです。
 
「日本の公衆トイレ刷新事業PR映画としての企画」発端でありながら、東京自体をここまで掘り下げて表現できたのは、やはり外国人としての視点を持つヴィムさんだからこそだと思います。
 
外国人が、日本を誉めてくれているような気持ちになるのもうれしいですね。
 
 
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「オペレーション・ミンスミート -ナチを欺いた死体-」★★★ [映画日記]

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日本では2022年に公開された、イギリス製の戦争映画ですけども。
 
お硬くありません。
 
ソフトなウォーズですよ!
 
イギリス製のドラマを観ているような娯楽感。
 
茶の間でゴッと寝っ転がって、お煎餅をかじりながら、「ダウントン・アビー」でも観ている気分にさせる戦争映画でした。
 
第二次世界大戦中、イギリス軍がナチス・ドイツに向けて実行した「ミンスミート作戦」を再現した作品。
 
その隠密作戦は、現代では世界的に有名な作戦なのだそう。(←ええ、もちろんわたくしは知りませんでしたが)
 
隠密だけど有名な作戦なんですよ!
 
作戦内容は、イギリス軍が死体に偽造文書を持たせて海に流し、敵の上層部まで届けようとするもの。
 
海に流すのは文書は1通ですよ、ペラ1枚!
 
空き瓶にお手紙入れて、流れついた南の島の子と文通を始めたい、みたいな牧歌的作戦にビックリ。
 
なんでしょう、この「馬券1枚に人生を賭ける」みたいな妙なロマンは?!
 
こんなんで大丈夫なんでしょうか、イギリスさんは?!と思いましたけども。
 
そんな作戦企画を許可したウィンストン・チャーチル首相も、すごい人だな、と思いました。
 
苦労しながらなんとか作戦実行、果たして作戦成功なるや?という点が見どころになっています。
 
「現場で仕事をしない、デスクワークのスパイ映画」みたいな感触が新鮮です。
 
体育系じゃない、文化系のスパイという感じでした。
 
作戦を指揮する諜報部チームに、女性が多いことにも驚きました。
 
チームで働く女性たちの感性やアイデアが、作戦に大きく寄与していることも特徴になっています。
 
偽造文書を持たせる死体に「愛する女性がいて手紙のやりとりをしていた」等、チームで働く女性たちが入念に人物背景を設定。
 
そこまでしないと、ナチス・ドイツは騙せない、という緊迫感もあり「なるほど。ナチス・ドイツはしつこく疑いそうだしねぇ」と思いました。
 
軍事パートと共に、なんでか恋愛パートもございます。
 
主人公で、妻子あるモンタギュー少佐が、諜報部チームの女性に恋心を抱くというキュンキュン描写がありましたけども。
 
不倫ドラマですよ、失楽園みたいな!(←死語)
 
その恋愛パートが実話なのか、観客へのサービスなのかは不明でした。
 
出演者のほとんどは英国方面系で、モンタギュー少佐役はコリン・ファースですよ。
 
軍服がバッチリ似合っているし、頼り甲斐のある役にピッタンコ〜。
 
モンタギュー少佐が思いを寄せるお相手役はケリー・マクドナルドなのですが。
 
すっかり熟女で、鰐淵晴子感を醸し出していました。
 
 


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