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「枯れ葉」★★★ [映画日記]

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生い茂る緑の瑞々しさは無いけれど、枯れて落ちる葉も、それはそれで美しい・・・。
 
そんな詩的な気持ちになりました。
 
ポエムな一作ですよ、ポエムービー!
 
わたくしがアキ・カウリスマキさんの監督作を観るのは「過去のない男」(2002年)ぶりかと思います。
 
中年男女の恋愛劇です。
 
メインキャラクターの男女が、不本意に職を失う場面から、すでに切ないです。
 
タイトルじゃないけれど、まずは全編、枯れた魅力が炸裂していますね。
 
今どき感が皆無なのです。
 
現代劇でありながら「時代設定は昭和20年代ですか?」と思うくらい簡素です。
 
鑑賞後の今でも、この作品が2023年製であることが信じられません。
 
劇中には、テレビやスマホなんて出てきませんよ。
 
情報を得る手段はラジオ!
 
レイディオですよ、「壊れかけ」だか何だかの!!
 
男女が連絡を取り合う手段はガラケー(着信)なのですが。
 
相手の電話番号はメモ書きでもらい、そのメモは無くしてしまう、という、信じられないほど素朴なエピソードで、物語を盛り上げていました。
 
あらゆる大道具・小道具など、美術的なものは、おそろしく地味で、劇中の病院のセットなんて「どこの雑居ビルですか?看護師2人だけ?」みたいな感じで、めちゃめちゃ暗くて寂しい空気が漂っています。
 
劇中内の映画館でかかっていた映画が、監督の友人ジム・ジャームッシュ作「デッド・ドント・ダイ」だった点だけは、現代的な要素だったと思います。
 
俳優の芝居は喜怒哀楽の表現を極端に抑えていて、ほぼ無表情のままで物語続行。
 
セリフも、心理表現も単調で、めちゃめちゃシンプル設計。
 
気持ちに表裏がなく、深読み不要!
 
人間ドラマ構成も、めっちゃ普通の起承転結。
 
余計なものは、全て排除。
 
廃棄!
 
すさまじい「ミニマム美」です。
 
ものすごく洗練された日本庭園みたいなものですよ。
 
圧倒的な個性を感じました、さすがアキ・カウリスマキさんです。
 
情報過多の現代で、この映画を作り出して発信する、って、なかなか面白いと思いました。
 
今の若いお客さんが、この映画を観たらビックリするんじゃないかな。
 
逆に、ファンタジーに見えるかもしれません。
 
わたくしは、あまりのオフビート感に、物語の序盤で少し寝た〜。(←コラーッ)
 
 


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