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「哀れなるものたち」★★★☆ [映画日記]

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2024年ゴールデン・グローブ賞の、主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門)は。
 
てっきり「バービー」のマーゴット・ロビーが取るのかと思ったら。
 
あっさり「哀れなるものたち」のエマ・ストーンが獲得なさいました。
 
「なんで?!世界のバービー女優が負けるなんて、おかしい」と思っていたのですが。
 
今回「哀れなるものたち」を鑑賞して納得。
 
エマ・ストーンが、ア然とするほど大熱演。
 
そりゃあ、あっさりエマ・ストーンが受賞するよ!
 
わたくし、メガ・インパクトを受けました。
 
それまでの出演代表作「ラ・ラ・ランド」まで、あっさり更新、そして上書き!
 
エマ・ストーンの芝居が、一つも守りに入っていない。
きれいごと一切ない、本物の女優を目指していることが分かる作品になっていました。
 
物語の舞台は架空の世界で、ファンタジックです。
ゴシック調メインでありつつも、わずかにパンク調でもあり、衣装、建築物、インテリア等、美術的なものが最高にクールで美しいです。
 
音楽も、なんというか即興的で、不思議空間を演出。
 
映画を観ると、どこかで眠くなってしまうわたくしですが。
 
今回だけは目がランラン!
 
「こんな映画、観たことない」とワクワクしながら鑑賞いたしました。
 
動物や人間の体を、工作みたいに切ったり貼ったり、そんな外科手術が当たり前という基本設定。
あらゆる倫理観が損なわれています。
 
エマ・ストーン演じるベラは、体は大人であるものの、赤子の脳みそを移植されているという、フランケンシュタインの怪物状態な女!
 
よってベラ自身も、倫理観が全くない人間として物語がスタート。
 
「元々、人間は倫理観など持たずに生まれてくる」とでも言いたげです。
 
そこからベラが、あらゆる人と出会い、経験を積み、自立した大人の女性に成長していく姿が描かれていて、「男性依存社会からの自立」みたいなテーマに行き着くことに。
 
そのあたりは「バービー」と同じ、現代ジェンダー論を語っていると思うのですが。
 
ベラのキャラクターが、ズバ抜けている個性派で、あの「バービー」を超えたところだと思います。
 
なんといっても、ベラが性的。
 
抱かれまくんの!
 
ベラ(女性)が自立するにあたり、まずは男に抱かれるというのは、流れとして妥当なのでしょうけども。
 
表現があけすけ、というか、お下品というか〜。
 
「主演女優に向けた、男性スタッフのセクハラ」に見えなくもございません。
 
脚本のトニー・マクナマラさんは、過去に手がけたドラマ「THE GREAT 〜エカチェリーナの時々真実の物語〜」でも、主演女優に対して性的な芝居を要求するお話を書いていましたけども。
 
トニー・マクナマラさんは、セクハラとエンターテインメントの境、スレスレを行く人なんですよね〜。
 
危ないおじさんなんですよ!
 
今作では、そんな笑うに笑えぬセクハラ・ギリギリ路線から、「男性依存社会からの自立」みたいなテーマに劇的転換される脚本がお見事でした。
 
近年のエンターテインメント業界では「セクハラ反対」として、女優が性的な芝居は引き受けない傾向にありますけども。
 
女優が「セクハラ反対」運動家として機能している傾向ですよ。
 
今作で性的表現をこなしているエマ・ストーンは、「もちろんセクハラ反対だけども、運動家と女優業は別物」と捉えているようで好感が持てました。
 
あらゆる点で攻めてる作品でしたね。
 
 
Poor Things (Original Soundtrack) [Analog]

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  • 出版社/メーカー: Waxwork Records
  • 発売日: 2024/05/03
  • メディア: LP Record


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