「マリー・ミー」★★★ [映画日記]
ジェニファー・ロペスが、王道感のあるロマコメに挑戦〜。
「プリティ・ウーマン」みたいなやつですよ、バブリーでキラキラしたやつ!
スゴイです、50歳を過ぎて!!
ジェニファー・ロペスが演じるキャラクターは、世界的なポップスター。
どうやらビヨンセとかレディ・ガガみたいな存在のよう。
性格は、めちゃめちゃ良い人で、弱点が無く、現実感が皆無。
中身はディズニー・プリンセスと同じ!
まるで生娘ですよ!!
その割に、のっけから、ライブ・ステージでのお衣装が、肌色の全身タイツとはエロすぎ〜。
アンタ、一見、裸じゃんか〜!
ステージ上ではセクシー系なんですね。
あまりのギャップに、のけぞりました。
一体どんな人生を送ってきたら、こんな人物が出来上がるのでしょうか、謎〜。
物語の序盤に出てくるジェニファー・ロペスの婚約者は、20代のイケメン・シンガーなんですけど〜?!
息子世代なんですけど〜?!
2人のアツアツっぷりを見て「ワシは今、何を見せられている?新手のファンタジーか?」と思いました。
そんな2人の間に入ってくる冴えない男性教師役は、オーウェン・ウィルソンが演じています。
昔のロマコメと違うところは、女性が男性を選び、夢を見させるところ。
今作では、ジェニファー・ロペスがオーウェン・ウィルソンを「旦那にしたげる」とご指名。
オーウェン・ウィルソンがシンデレラなんですよ!
オーウェン・ウィルソンの役はシングル・ファーザーで、中学世代の1人娘がいるのですが。
その「オーウェン・ウィルソンの連れ子」が、居ても居なくてもいい、見事な「お飾り」でビックリしました。
今作はジェニファー・ロペス自身のプロデュースということで。
あえて、ジェニファー・ロペスが交際相手の連れ子と揉める等、生活感のある継母路線を排除したのかもしれません。
キラキラしたポジティブ成分のみ抽出!
「離婚歴あり、子供あり」のカップルなのに、ドロつき一切無し!!
ジェニファー・ロペスがオーウェン・ウィルソン宅にお泊まりする場面では。
朝になると、裸に、男ものシャツだけを羽織った、けだるいバージョンのジェニファー・ロペス様がご登場!
りんごをかじりながら、まだベッドにいる男に「ウフフ。あら、起きたの?」みたいな。
ああジェニファー・ロペスさん、あなた、どんだけ自分を素敵に見せたいの?!
あざとさも、ここまでやると清々しい〜!
そんな、やりたい放題のジェニファー・ロペスを、全て上品に受け止めるオーウェン・ウィルソンに好感。
近年のエンターテインメント界において、白人の中年男性は、世界的な悪役になっていますけども。
今回のオーウェン・ウィルソンを見て、「米国には、まだこんなに優しい白人中年男性がいるんだな。白人中年男性も捨てたもんじゃないな」と思いました。
「白人中年男性をヒロインにする」という、「最新型の白人中年男性」を提案してくれた作品でした。
Marry Me (Original Motion Picture Soundtrack)
- アーティスト: Jennifer Lopez & Maluma
- 出版社/メーカー: Sony Music Latin
- 発売日: 2022/02/11
- メディア: CD
「私ときどきレッサーパンダ」★★★☆ [映画日記]
ピクサー製のCGアニメ作品ですけども。
「くもりときどきミートボール」の続編ではありません。
ましてや「カンフー・パンダ」の続編でもありませんから!
パンダは出てきますけど、レッサーの方です、地味な方!!
劇場公開をあきらめて、2022年3月に「Disney+」で配信されたという、不運な一作です。
「Disney+」内で「お気に入り」には入れていた作品なのですが、どうも再生ボタンを押す気にならず、放置していたのですが。
食わずに吊るしてたんですよ、干し柿みたいに!
ところが、4月に入って評判を聞きつけました。
どうやら「レッサーパンダは、良いらしい」と。
「なかなかのパンダ映画」だと!
物語の舞台はカナダのトロント。
13歳のアジア系ヒロイン、メイは成績優秀だけど、簡単に言えば非モテ系!
仲良しの友達3人グループも、全員もれなく非モテ女子!!(←失礼)
学園のクイーンで、キラキラしたオシャレ女子とか、フットボール部の花形イケメンは不在。
昔の学園映画でよく見かけた「イケてるチーム」が絶滅しとる!
そのかわり、女児たちは近所の売店で働く、平凡な男子店員に恋したり。
まずは、登場人物たちの庶民感が圧巻でした。
泥臭い子供たちに好感触〜!
女児たちは、男性アイドルグループ「4TOWN」に夢中すぎる、という設定も、世間一般的によく見る光景で、楽しい〜。
かもし出される生活感は、日本の漫画に例えれば、「ちびまる子ちゃん」とか?
もしくは「じゃりン子チエ」みたいな?(←古いです)
「米国製のアニメも、ここまで来たか」と思いました。
そんな主人公メイが、親の束縛、性の妄想、羞恥心など、思春期の悩みで気持ちが爆発すると、なぜか姿がレッサーパンダになる、というお話。
思春期コメディですよ、「パンツの穴」みたいな!(←古いです)
13歳の気持ちの象徴が、赤いレッサーパンダ、っていう発想。
具現化ですよ、心に棲む野獣を!
レッサーパンダの背丈は、2メートルくらいあるんですよね〜。
大パンダですよ!
でも、毛並みはモフモフして、かわいいです。
レッサーパンダが起こす騒動たちを観て、大笑いしました。
かわいいやら、イタいやらで、大爆笑〜。
こんなに笑ったの久々〜。
普通、米国のお笑いネタでは、笑えませんよ。
長編デビュー作となった監督・脚本のドミー・シーさん、お笑いの才能あると思う〜。
女芸人になれると思う〜!(←すでに監督業に就いてます)
レッサーパンダを用いた思春期の表現は、大胆やら、繊細やら。
クライマックスは伏線も回収し、なぜか壮大なスペクタクルに発展。
2002年という時代設定で、当時のサブカルチャー要素も懐かしい〜。
これは映画館で、多くの人たちに観てほしかったな〜。
ドミー・シーさんって、今、まだ32歳なんですね。
米国よ、どこに隠していた、こんな人材!
地下の隠し部屋ですか?!(←犯罪)
ドミー・シーさんの今後の作品にも期待したいです。
私ときどきレッサーパンダ MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー+MovieNEXワールド] [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
- 発売日: 2022/06/10
- メディア: Blu-ray
「アメリカン・ユートピア」★★★ [映画日記]
2021年に劇場公開された音楽作品です。
元「トーキング・ヘッズ」のデビッド・バーンさんがパフォーマンスしたブロードウェイ舞台を、スパイク・リー監督が丸ごと映像化しております。
ちゃちゃっと編集して、一晩で仕上げております!(←もっと、かかっています)
とくにデビッド・バーンさんの音楽を聴かずに生きてきた、わたくしですが。
この映画は楽しめましたよ、存分に!
なんか、かっこいい〜。
これは、生で見てみたい〜。
まずは、踊れる曲ばっかりだから、初心者でも楽しめますね。
入口が広いんですよ、開けっぱなしの玄関状態!
デビッド・バーンさんがバンドを従え、ライブ形式で行われた舞台なのですが。
ギターも、ベースも、キーボードも、ケーブルなし。
付いてナーイ!
どういうことでしょうか、音はwi-fiで飛ばしてるのかな?
ドラムは、大中小(かな?)に分担され、全体的には鼓笛隊みたいな感じ。
その楽団が、ステージから会場まで動きまくりで、踊りまくり〜。
その割には、演奏が完璧。
ズレなし。
一滴のモレもなし!(←尿かい)
デビッド・バーンさんがMCで「伴奏はCD音源を流しているんじゃないか、と疑われる」と言ってましたが、わたくしも、そう思ってました。
エアーでしょ?と。
それが、なんと全曲、生演奏なんですって、すごい〜。
音が良いと、客は気が散らずに没入できる〜。
しかし、ここまで演奏も振り付けも作り込んでいると、メンバーたちは公演を休めませんね。
代わりがききませんので。
下痢になったとしても、大人用紙おむつを穿いてステージに上がるしかないんですよ!
メンバーは食べ物に気をつけないとね、生牡蠣とか!!
曲はダンサブルなのに、歌詞の内容や、舞台のテーマは、アメリカの現状を憂いたり、問題提議したり、と社会派なんですよね〜。
あっちの一流エンターティナーは、やることが粋〜。
舞台デザインは小道具もなくシンプルで、ミニマム美を追求。
メンバーは全員が、くすんだ色のスーツを着込んでますよ、ニュアンスカラー!
メンバーが黙々とポジションを移動したり、奇妙なダンスをしたり、どことなく無機質な未来観が漂っています。
そうかと思えば、少ない電球の照明で、影を強調した演出になると、古代の祭のようにも見え。
すさまじい振り幅の世界観で、時代を超越した「新型の祈祷」でも観ている気持ちになりました。
その上で、曲を統括したり、一団を率いたり、デビッド・バーンさんって、すごいアーティストなんだな〜、と思いました。
デビッド・バーンさんの見た目は、普通のおじさんですね。
一般的ですよ、平均値!(←失礼)
西洋というよりは、日本のおじさんっぽいかも〜。
休日に、お城巡りをしているような、地味なおじさんっぽい風情が好感触。
観ながら、デビッド・バーンさんのことを「60歳くらいかな?」と思ったら。
2022年5月で、70歳なんですね!
今回の公演時は、60代後半だったデビッド・バーンさん。
たいしたもんですよ、歌詞も振り付けも覚えて!
そのまま90歳くらいまでがんばってほしいです、森光子さんの「放浪記」みたいに!!
「カモン カモン」★★★ [映画日記]
A24配給で、「20センチュリー・ウーマン」などを手がけたマイク・ミルズ監督による新作ですけども。
意外なほど低予算の、ちんまい映画〜!
難易度は高めに設定されていて、まあまあ難解。
小粒でピリリと辛い、山椒のような映画〜!
全編がモノクロ映像の、アーティスティックな作風で、万人受けする映画ではないのかも。
家族をテーマにした作品を作り出すことが多いマイク・ミルズさん。
今作も「家族シリーズ」だとは思いますが、印象はクール。
スタイリッシュに親戚付き合いをする内容でした!
主人公は、ラジオ番組で製作・出演をこなすジャーナリストのジョニー。
クリス・ペプラーさんみたいなもんでしょうか?!
ジョニーが一時的に甥のジェシーを世話することになり、仕事現場やロケ地に連れていく、という、映画では時々見かける「伯父さんと甥っ子のコミュニケーション物語」になっています。
「おじさん映画」というジャンルですよ!
ジョニーの方は普通の中年男性なのですが、甥っ子ジェシーは小学生ということもあり、なかなかのトラブルメーカー。
やんちゃ盛りなんですよ!
甥っ子ジェシーは、時々、意味不明の発言で、大人たちを翻弄。
たまに街中で姿を消して、大人たちを慌てさせるという小悪魔っぷり。
正直、クソガキなのですが!
節々で哲学的な発言をするし、大人たちに対して鋭いツッコミを入れる、というキレ者の一面も。
独り身の伯父ジョニーに向かってズケズケ言うんですよ「なんで結婚してないの?(女性を抱いてないの?)」とか!
人の心に土足で踏み込むんですよ!!(←子供なので)
わたくしが、もしも甥っ子ジェシーを預かることになったら、ちょっと耐えらないかも〜。
「ゲーム機を買ってやっから、それで遊んでて」と言って、放置しちゃうかも〜。
そんな甥っ子ジェシーの、わがままな振る舞いと言動には人間味。
「だから子供は輝いている」というような、ポジティブ変換が可能な仕様に。
伯父ジョニーが仕事でインタビューする子供たちも、それぞれが、思いも寄らぬ受け答えをして、全員がバラバラの個性を持っています。
「他者は自分とは全く違う思想で生きているから面白い。理解したり、認め合おうとするべき」というようなテーマの、「人間讃歌型の物語」なのかな、と思います。
伯父ジョニー役を演じているのは、「ジョーカー」での演技で一世を風靡したホアキン・フェニックスですよ。
あのジョーカー様が、今回は子供に手を焼くことに!
ホアキン・フェニックスが演じてきた役の中では凡人系で、しかも子供の「受け身役」ということで、かなり新鮮な味わい。
誰もが認める演技派のホアキンですけども。
今回はキレる場面もないし、なんとなく甥っ子ジェシー役を演じた子役に押され気味。
食われ気味のホアキンがレア〜!
ああホアキン、クソガキなんかに負けないで〜!!
キレまくって大暴れするホアキンが観たくなってしまいました。
「ジョーカー」を再鑑賞して、お口直しをしたいです。