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「死刑にいたる病」★★★ [映画日記]

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「孤狼の血」シリーズなどを手がけた、白石和彌監督の新作です。
 
ジャンルはサイコ・サスペンス・ミステリーで、和彌さんが得意な分野かと思います。
主人公の男子大学生が連続殺人事件の謎を追い、犯人を探す、というお話。
 
かつての和彌さんは、バリバリに辛口テイストの、玄人向けの作風が特徴でしたけども。
 
わさび3倍入りのフナ寿司みたいな味ですよ!
 
近年は辛口の中にもメジャー感を組み込んできていて、今作のサスペンス演出も、どこかハリウッド風というか〜。
 
お出汁の風味が昆布じゃなくて、マギーブイヨンというか〜!
 
アメリカ製のサイコ映画を観ているような、娯楽寄りのヒヤヒヤ感が楽しかったです。
 
和彌さんの演出による「いなかの実家」表現がリアルで大好きなのですが。
 
今回も、舞台になった中流家庭のお台所の散らかり用、古さ加減が、もう最高〜。
 
100円ショップで買ったような入れ物に、ハサミが立ててあったり。
 
実家の入れ物は「安もの」のプラ製に決まってますので!
 
水道周りの「箸立て」には、やたらと、しゃもじが立ててあったり。
 
ああ、どうして実家には、しゃもじが多いんでしょうね?!
 
お台所の壁際には食器棚が置いてあるのですが。
 
しまってある茶碗が無駄に多い、という点も「実家あるある」でした。
 
作品は、ハードな内容でありながら、劇場はお若いお客さんばかりで、席は9割がた埋まってました。
 
そうなると「みんな鑑賞中は、スマホを見たりするんだろうな。どうせさ〜」と、あきらめ気分のわたくしでしたけども。
 
なんと、スマホを見るお客さんはおらず、みんな姿勢を変えることも忘れて、映画に見入ってました。
 
「みんな、和彌さんの演出に魅了されてる。やられてる!と思ってうれしくなりました。
 
今回、多くのお客さんを引き込んだ1番の要因は、連続殺人鬼役の阿部サダヲさんだと思われますけども。
 
劇中のサダヲさんは、まるでハンニバル!
 
サダヲさんが、まさかの日本版アンソニー・ホプキンスに抜擢!!
 
刑務所に入れられておきながら、手紙や話術を使って外部の人間を操る、という面白い役。
 
人当たりが良く、犯行時は誰も犯人を怪しがらなかった、という設定がピッタンコ〜。
 
これまでサダヲさんから恐怖を感じたことはありませんでしたけども。
 
今回よく見りゃあ、目がこわい。
 
爬虫類みたいな目をした子!(←失礼)
 
サダヲさんの犯行は、高校生を生捕りにして、殺す前に爪を剥がしたりする、というもの。
 
映画の中では、「爪剥がし」とは地味な拷問部類に入ると思いますけども。
 
地味ながら嫌なものですね、爪攻撃は!
 
中学時代のサダヲさんを演じた子役が、サダヲさん本人にそっくりだったことも笑いました。
 
サダヲさんに操作されながらも、独自に事件を解明していく男子大学生役は、岡田健史くんが演じてましたけども。
男前ですがキレイすぎず、良い感じに、生活感を出せる子ですね。
 
岡田健史くんの母親役がミポリンというのが絶妙〜。(←中山美穂)
 
謎めいた存在の母、ミポリン。
 
匂わせ女!
 
かつてはヤンキー界のマドンナだったミポリンから、不幸オーラを引き出しているところがお見事でした。
 
白石和彌×サイコ×中山美穂、っていう取り合わせが珍味。
 
餃子とピザを食べながらワイン飲む、そんな口当たりでした。
 
 
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