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「PASSING 白い黒人」★★★ [映画日記]

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2021年11月に、Netflixのオリジナル映画として配信されている心理劇です。

 

「マイリスト」には入れていたものの、イマイチ再生する気分になれず冬が過ぎ、春が過ぎ。

 

配信サービス内の「放置系」映画となっていたのですが!(←配信あるある)

 

こんなんだから、配信サービスが大嫌いなスティーヴン・スピルバーグ様が怒るんですよね!!

 

そんな昨今「梅雨になる前に」と思い立ち、ついに再生ボタンに手を伸ばした次第です。

 

物語の舞台は1920年代のニューヨーク。

メイン・キャラクターは2人の黒人女性ですが、それぞれ見た目は「白人に見えなくもない」という設定。

 

あいまいな部類ですよ!

 

日本人にもいますよ、「ハーフに見えても、生粋の日本人」って人〜。

 

平井堅さんみたいな人ですよ!!(←名指し)

 

主人公の裕福な主婦アイリーンが、ある日、白人専用喫茶店で旧友クレアと再会。

 

バッタリ遭遇するもんですよ、とくに会いたくない人には!

 

クレアも黒人のはずですが、丸っきり白人として生きていて、しかも白人男性と結婚していて、旦那は嫁が黒人とは知らない、とのこと。

 

肌色詐称ですよ!

 

人種問題のいびつな一面を、女性の人生論を交えて描いている、まさに「異色作」になっています。

 

そんな展開に、ジャンル名を付けるとしたら「スリラー」かな、とも思いましたけども。

そこまでデンジャラスな内容でもありませんでしたね。

 

1920年代の思想、文化、生活スタイルにも大きく踏み込んでもおらず、サッパリ味の心理劇になっていました。

 

原作小説を元に、監督・脚本を担当したのは女優のレベッカ・ホールなんですね!

 

全編を美しいモノクロ映像で紡ぎ、少々オシャレ感の漂う作風に。

 

冒頭のアイリーンとクレアがバッタリ遭遇する場面は、妙にスタイリッシュ。

 

良いツカミ!

 

その場面を観たときは、「レベッカ・ホールさん、アンタ、ハリウッドの市川崑かい」と思いました。

 

Netflixは、ここ1〜2年は女流監督の発掘に熱心ですけども。

 

今回も「また1人、女流監督を見つけた。堀ってたら出た!」という感じなのかも。(←アサリかい)

 

アイリーン役を演じたのはテッサ・トンプソンなのですが。

アクション大作への出演が目立っていたテッサですが、今回は小作での、しかも地味主婦役でしたが、とっても上手。

 

「かわいくしたヴィオラ・デイヴィスみたいだな」と思いました。

 

白人に化けているクレア役を演じているのは、「ラビング 愛という名前のふたり」などのルース・ネッガですけども。

 

かつて、海外ドラマで見ていたルース・ネッガも、確かに芝居が大きくて、どこか白人っぽいノリだったかも〜。

なるほど、今回の役にピッタンコ〜。

 

クレアのことを黒人とは気づかず、白人女性として抱いている旦那役は、アレクサンダー・スカルスガルドなんですね〜。

 

この人は、他の作品でもそうですが、悪い白人旦那役を、嫌がらずノリノリでこなせる人ですね。

 

そういう役にハマる体をしているんですよね〜、無駄にイケメンで、無駄にデカいし〜!

 

無駄な部分を有効利用できる人材だと思いました。

 

 

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「流浪の月」★★★ [映画日記]

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松坂桃李くんが担当したクライマックス。

 

どういうこと?!

何だったのアレ。

 

教えておくれよ桃李〜!

 

桃ちゃーん!!

 

なんとなく、自分の中では「アレは、ああいう意味なのかな」とは解釈していますが、断定できず。

しかも、誰かに真相を聞きたくも、聞きづらい。

 

なんともセンシティブなオチでした!

 

楽しい物語ではなく、虐待という重いテーマをフィーチャーした男女間のドラマ作品。

 

鑑賞中は「バッドエンドの予感しかないんですけど?どうなっちゃうんでしょうか?」という、辛い状態でしたけども。

見どころは、いっぱい。

 

本編時間2時間30分、ガッツリ堪能いたしました。

 

重いといえば、重い映画なのですが。

月や水辺など、美しい光景が組み込まれていて、どこか幻想的。

 

基本的に、印象がキレイ。

女子受けしそうな作風になっていましたね。

 

主人公を演じた広瀬すずちゃんが、もう大人の女!

 

抱かれてんの!!

 

きわどいシチュエーションも体当たり、セリフが少ない場面でも表情で魅せてくる。

「これぞ日本の若手トップ女優」という貫禄。

頼もしい存在に成長していました。

 

そんな広瀬すずちゃんをいたぶるボーイフレンド役が横浜銀蝿…じゃなくて横浜流星くんなのですが。

 

シューティング・スターくんなのですが!(←英名)

 

「流星くんて、こんなに出来る子なの?!」と思うくらい、良い仕上がり。

 

田舎から出てきて東京で就職している、やんちゃな男子感。

そして、キレたら怖い、DV感。

それらの要素をリアルに体現していてビックリ。

 

「こういう人、本当にいるかも」と感じさせてくれました。

 

物語の中では危険要員というポジションで、流星くんが出てくるとヒヤヒヤしっぱなし。

 

くだものナイフでリンゴの皮を剥いている流星くん。

 

そのまま、くだものナイフをフォーク代わりにして、リンゴの「デンジャラス食い」を敢行!

 

くだものナイフの名場面ですよ!!

 

「その、くだものナイフが、いつこっちに向けられるか」と思うと、怖くてたまりませんでした。

 

今作の発見は「流星くんが良い」ということでしたね。

 

松坂桃李くんは、ロリコン設定で登場〜キャハハハッ!(←笑っちゃいけない)

 

このロリコン像が、なんだかオシャレ。

 

周りからはロリコンだと言われているのに、好感触!

 

ファッションも、お部屋のインテリアも、なんだか無印良品っぽい。

 

「ロリコン像×無印良品」というキャラクター提案が斬新!

 

1人で、無駄を省いたミニマム生活を送っている桃李くん。

 

「ミニマム生活の紹介動画」をYouTubeで公開してそうなロリコン男性像なんですよ!

 

それでいて、瞬きの少ない、「いかいも怪しい佇まい」を表現する桃李が巧み。

 

「見える。見えるぞ桃李、ロリコンに!」と思いながら観ていました。

 

コーヒーのいれ方も、本格的な桃李くん。

 

めちゃめちゃ美味しそうなアイスコーヒーを作っていて、「それ、2000円出しても飲みたい」と思いました。

 

「ロリコン設定のくせに生意気な場面」のオンパレードでした。

 

 

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「シニアイヤー」★★★ [映画日記]

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Netflixのオリジナル映画で、2022年5月に配信されたコメディ作品です。

 

まずは、主演のレベル・ウィルソンが痩せていてビックリ。

 

ダイエット大成功〜。

 

サプリでも飲んでたんでしょうか、カルニチンとか?!

 

昔は二重顎だった彼女ですが、今回は一重に。

 

というか、1.5くらい?!

 

スッキリした姿はダリル・ハンナみたいでした。(←人選が古いです)

 

そんなレベル・ウィルソンが演じる役は、2002年の高校生時代に事故に遭って以来、昏睡状態だった女子ステファニー。

20年後に覚醒したステファニーが、37歳の姿で高校生活に戻る、という展開になっています。

 

コメディ作品にありがちな、カラフルな世界観の「アメリカン・ハイスクールもの」がベースですね。

 

同時に、クライマックスは、お決まりのプロムで盛り上げる、ということで、「プロムもの」という一面も。

 

「大人が高校生になる」というシチュエーションは、映画の中で、たま〜に見かけますね。

 

今回も、音楽やファッション等のカルチャーギャップ、携帯電話等のハイテク機材ギャップなどで、定番の笑いを取ってましたけども。

 

20年前って「ちょっと前だよね」と思っても、冷静に考えてみれば結構な昔なんですね。

今作の特徴は、人の価値観や思想が、20年前とは全く違う、という点。

 

昔の「アメリカン・ハイスクールもの」で見かけた、学園のイケてるチームや負け犬チームは絶滅。

 

消滅ですよ!

 

昔はお約束だった「廊下のロッカー前で、イケてるチームが負け犬チームに、いちゃもんをつける場面」なんて、もうありません。

 

プロムクイーン等、勝敗を決める校内イベントも絶滅。

 

チアガールのミニスカートも、過激なダンスも絶滅している、という。

 

チアガールなんて、ズボンを穿いてるズボン女でしたから!

 

性的だったり、差別的な発言も自粛。

 

みーんな仲良し、円満学園!

 

学園の人気者はイスタグラマーで、社会貢献に熱心で、環境問題に興味がある、というクリーンな人物像に。

 

高校生からSDGsなんですよ!

 

少々おおげさに表現されていましたが、学園描写は、どこか無機質で、近未来SF感の漂うものになっていました。

 

昔の「アメリカン・ハイスクールもの」は、生徒なんて、みんな不良だったのにねぇ「デンジャラス・マインド」とか!(←古いです)

 

そんな世界観の中で、ステファニーが20年前の感覚のまま、チアガールとして過激なダンスを踊りたがったり、プロムクイーンになりたがる、というお話。

 

結局のところ「全てを無難に済ますのはつまらない。ときには20年前の感覚で過激にやろうよ」みたいなテーマかと思います。

 

同時に、生徒たちが抱える心理を汲み上げて「青春バンザイ」という学園讃歌も。

 

まさかの、いい話でした!

 

個人的には、20年前のイケてるチームだったステファニーに、負け犬チームの男友達が片想いしている設定にキュンとしました。

 

共感できたんですよ、ワシも負け犬だから!

 

製作も兼任しているレベル・ウィルソン。

 

自分で製作したコメディは、どの作品も楽しくて良い話で、レベル・ウィルソン自体もステキな見映えなんですよね。

 

どうやら「ステキなコメディエンヌになりたがっている」と思われます。

 

モテ系の女芸人を目指しているんですよ!

 

 

 

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「テスラ エジソンが恐れた天才」★★☆ [映画日記]

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amazonプライム・ビデオで見つけた、2021年に日本公開された伝記映画です。
 
発明家ニコラ・テスラさんの生涯を描いております。
 
劇中には、同じ時期に活躍した発明王エジソンも登場〜。
 
スペシャルゲストが、あのおじさん!
 
ということは、作品にジャンルを付けるとしたら「エジソンもの」になりますでしょうか?!
 
2019年製の「エジソンもの」、「エジソンズ・ゲーム」では、ニコラ・テスラを演じていたのはニコラス・ホルトでした。
 
ニコラ・テスラがニコラス・ホルトでしたけども!(←早口言葉?!)
 
今作でニコラ・テスラを演じているのは、イーサン・ホーク。
エジソン役を演じているのは、カイル・マクラクランという、魅力的な配役になっています。
 
エジソン役にカイル・マクラクランが意外にマッチ。
 
イケおじ起用で、カリスマ性を表現!
 
これは、抱かれたくなる発明王!!
 
ギラギラしていて「儲けてます」という、成功者のオーラが全開のエジソン像になっていました。
 
対照的に、イーサン・ホークの演技は、圧巻の地味っぷり。
 
ニコッともしない。
 
主人公なのに真っ暗!
 
下を向いた人生観を体現!!
 
歴史的には偉業を残しているニコラ・テスラさんですが、世界的にブレイクしきれておらず、知名度も無い、という悲壮感がスゴイです。
 
インターネットの検索画面が出てきたりして、演出には、現代的な表現が組み込まれているのですが。
 
「検索ヒット数もエジソンに負けている」という、気の毒な解説が入りました。
 
「昔も今もダメな子」扱いですよ!
 
発明ビジネス界の内幕や、ニコラ・テスラさんが熱心に研究するという、「エジソンもの」にありがちな場面も、あるには、あるのですが。
 
物語が盛り上がることはなく、恐ろしく地味なまま幕を閉じていきます。
 
印象的な場面は、資金援助をしてもらうため、富豪に頭を下げるニコラ・テスラさん。
 
断られても、しつこくねだる場面でした!
 
仕事も恋も、良いとこ無し。
 
良いとこ全部、エジソン様が持っていく!
 
ああ、孤独すぎる偉人様!!
 
そのくせ、誰よりも長生きしたというニコラ・テスラさん。
 
体だけは丈夫だった、っていうオチ!
 
ニコラ・テスラさんが、辛そうな表情でカラオケを熱唱するという、コメディみたいな場面に、苦笑い。
 
観る前は「マジメな文芸映画なのかな」と思ってましたけども、観てみたら、すさまじい自虐路線でした。
 
笑って観てあげるのが作法かと思います。
 
 
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「シン・ウルトラマン」★★★☆ [映画日記]

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「シン・ゴジラ」のスタッフが再集結しています。
 
新たなご商売ですよ、キャラクター・ビジネス!
 
シン・ユニバースの始まりに、ワクワクが止まらない注目作。
本当に上手に作ってらっしゃいます。
 
誰もが知るレトロ・ヒーローを現代に蘇らせて、大人客の鑑賞に耐えうるリブート&ユニバース形成、という点では、米製「アベンジャーズ」シリーズと同じですけども。
 
米製の「ヒーローもの」とは、アプローチが全く違うところが新鮮。
 
軍事シミュレーション路線をベースに、セリフ回し、カット割りや画面構図まで、日本のアニメ調なところが、たまりません。
 
宇宙人の呼称を、あえて「外星人」とし、怪獣の表記は、あえて「禍威獣」とするあたりもオタクっぽくて最高〜。
 
「クリエイターがやりたいことを、徹底的にやってる感」というか、何の流行も追わず、風潮にも従わない「純粋な創作もの」という作品の佇まい。
 
オタク・アートでありながらも、ヒットを期待できるエンターテインメントなんですよね。
こういう映画には、なかなかお目にかかれません。
 
庵野秀明さんが、製作・脚本・編集・撮影・デザイン、等、全面的に関わっている、ということで。
「総監修」という肩書きを付けられていてビックリ。
 
何それ、「総監修」って?!
 
もはや称号ですよ、「伯爵」みたいな!
 
映画会社など、いろんな関連会社が、完全に庵野さんに任せていることを実感。
 
高い寿司屋の注文に例えれば、「ネタは大将におまかせ」みたいもんですよ!
 
庵野さんの代表作「ヱヴァンゲリヲン」は、元々、ウルトラマンのオマージュ・アニメということで。
今回の「シン・ウルトラマン」は、庵野テイストど真ん中。
 
モロ庵野!
 
とくに、脚本は冴えていたと思います。
 
序盤の、禍威獣が出現したときの人々の対応は「シン・ゴジラ」風のミリタリー感覚。
中盤のウルトラマンと禍威獣が戦う場面は「ヱヴァンゲリヲン」の摩訶不思議な感覚を思い出しました。
 
全体的に、外星人とのやりとりは、「円谷プロ」っぽさを強く感じて懐かしい〜。
そういえば、昔のウルトラマンは、「着ぐるみ怪獣の不気味さと、かわいらしさ」が満載だったな〜、と思い出しました。
 
今作では、そういう「特撮作品の、愛すべきところ」を、ほどよく押さえていたと思います。
洗練させすぎないところが、流石。
 
ダサ味が旨み!
 
これぞ特撮ロマン!!
 
ウルトラマンが初登場する場面は、得体の知れない存在感で、いい感じに不気味感が漂っています。
あんな、全身が銀色の巨人が、突然出てきたら世界中がパニックですよ。
 
普通、全身が銀色の人を見るのは、銀粉ショーくらいですから!
 
ウルトラマンが正義の味方だと判明した後なら、「もし近くに出現してくれたら、拝みに行くかも〜」と思いました。(←奈良の大仏かい)
 
「ドライブ・マイ・カー」で世界的に知名度を上げたドライブ男優、西島秀俊さんは、禍威獣対策チームのリーダー役でしたけども。
 
思ったほど活躍せず。
車も運転しませんでした。
 
何か運転してほしかったな〜、ママチャリでも何でも〜!
 

 

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「死刑にいたる病」★★★ [映画日記]

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「孤狼の血」シリーズなどを手がけた、白石和彌監督の新作です。
 
ジャンルはサイコ・サスペンス・ミステリーで、和彌さんが得意な分野かと思います。
主人公の男子大学生が連続殺人事件の謎を追い、犯人を探す、というお話。
 
かつての和彌さんは、バリバリに辛口テイストの、玄人向けの作風が特徴でしたけども。
 
わさび3倍入りのフナ寿司みたいな味ですよ!
 
近年は辛口の中にもメジャー感を組み込んできていて、今作のサスペンス演出も、どこかハリウッド風というか〜。
 
お出汁の風味が昆布じゃなくて、マギーブイヨンというか〜!
 
アメリカ製のサイコ映画を観ているような、娯楽寄りのヒヤヒヤ感が楽しかったです。
 
和彌さんの演出による「いなかの実家」表現がリアルで大好きなのですが。
 
今回も、舞台になった中流家庭のお台所の散らかり用、古さ加減が、もう最高〜。
 
100円ショップで買ったような入れ物に、ハサミが立ててあったり。
 
実家の入れ物は「安もの」のプラ製に決まってますので!
 
水道周りの「箸立て」には、やたらと、しゃもじが立ててあったり。
 
ああ、どうして実家には、しゃもじが多いんでしょうね?!
 
お台所の壁際には食器棚が置いてあるのですが。
 
しまってある茶碗が無駄に多い、という点も「実家あるある」でした。
 
作品は、ハードな内容でありながら、劇場はお若いお客さんばかりで、席は9割がた埋まってました。
 
そうなると「みんな鑑賞中は、スマホを見たりするんだろうな。どうせさ〜」と、あきらめ気分のわたくしでしたけども。
 
なんと、スマホを見るお客さんはおらず、みんな姿勢を変えることも忘れて、映画に見入ってました。
 
「みんな、和彌さんの演出に魅了されてる。やられてる!と思ってうれしくなりました。
 
今回、多くのお客さんを引き込んだ1番の要因は、連続殺人鬼役の阿部サダヲさんだと思われますけども。
 
劇中のサダヲさんは、まるでハンニバル!
 
サダヲさんが、まさかの日本版アンソニー・ホプキンスに抜擢!!
 
刑務所に入れられておきながら、手紙や話術を使って外部の人間を操る、という面白い役。
 
人当たりが良く、犯行時は誰も犯人を怪しがらなかった、という設定がピッタンコ〜。
 
これまでサダヲさんから恐怖を感じたことはありませんでしたけども。
 
今回よく見りゃあ、目がこわい。
 
爬虫類みたいな目をした子!(←失礼)
 
サダヲさんの犯行は、高校生を生捕りにして、殺す前に爪を剥がしたりする、というもの。
 
映画の中では、「爪剥がし」とは地味な拷問部類に入ると思いますけども。
 
地味ながら嫌なものですね、爪攻撃は!
 
中学時代のサダヲさんを演じた子役が、サダヲさん本人にそっくりだったことも笑いました。
 
サダヲさんに操作されながらも、独自に事件を解明していく男子大学生役は、岡田健史くんが演じてましたけども。
男前ですがキレイすぎず、良い感じに、生活感を出せる子ですね。
 
岡田健史くんの母親役がミポリンというのが絶妙〜。(←中山美穂)
 
謎めいた存在の母、ミポリン。
 
匂わせ女!
 
かつてはヤンキー界のマドンナだったミポリンから、不幸オーラを引き出しているところがお見事でした。
 
白石和彌×サイコ×中山美穂、っていう取り合わせが珍味。
 
餃子とピザを食べながらワイン飲む、そんな口当たりでした。
 
 
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「スペース・プレイヤーズ」★★★ [映画日記]

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2022年のラジー賞で3冠を達成した作品を、Netflix内で発見〜。
 
ラジー映画を、わざわざお金を払って劇場で観る気になれませんけども。
サブスクなら、気軽に再生できるからいいですよね〜。
 
たとえ映画が面白くなくても、お財布はノーダメージですから。
 
一銭も損しない!
 
もはやサブスクは、ラジー映画の救済システムですわな!!
 
主人公として、バスケットボール界のスター、レブロン・ジェームズが実名で登場〜。
 
スポーツ選手が、映画に主演して演技をしてしまう、という、捨て身の企画になっています。
 
日本で例えたら、長州力さんが、いきなり映画で主演してしまう感じですよ!(←極端)
 
レブロンと息子が、ワーナー・ブラザース本社のサーバー内に入ってしまい、そこで敵対する相手とバスケットボールの試合をする、というハチャメチャ・ストーリーになっています。
 
ジャンル名を付けるとしたら、「アスリート・コメディ」でしょうか。
 
思っていた以上に、お子様向けな感じで「不良ディズニー映画」という感じの仕上がりでした。
 
日本人のワシらから観れば、普通に、まあまあ楽しい映画かと思いますけども。
 
米国客には、スポーツ選手がズッコケたり、踊ったりする芝居がイタくて耐えられなかったのかな。
 
レブロン・ジェームズさんは、そりゃまあ演技が上等というわけではありませんが、よくやってると思いました。
 
セリフも言えてるし、体もよく動いでました!(←学芸会の感想かい)
 
あと、レブロン・ジェームズさんは、見た目はクールで男前なのですが、本人は優しくて、楽しい人なんだろうな、と思いました。
 
芝居の節々に、お人柄が出ていたと思います。
 
「騙されて出演した感」すら漂っていました。
 
こんだけ働いてラジー賞の、しかも主演男優賞まで受賞とはお気の毒でした。
 
ワーナー・ブラザース本社のサーバー内に住んでいる人工知能役は、ドン・チードルが怪演。
 
アルミホイルみたいな、銀色のGジャンに身を包んで怪演!
 
ラジー賞ギリギリの芝居がスリリングでした。
 
今作の見どころとしては、ワーナー・ブラザースが所有するキャラクターが多数登場して、レブロン・ジェームズと共演するところ。
 
版権フリーで出しまくりなんですよ!
 
チラッと、「グレムリン」や「ゲーム・オブ・スローンズ」等のキャラクターが出てきて、「あれも、これもワーナー・ブラザースの版権だったのか〜」と思いました。
 
しかし、顔が出てくるキャラクターは「アニメもの」ばかりですね。
 
「マトリックス」や「ハリー・ポッター」等の実写系・人間キャラクターは出ず終い。
 
ワーナー・ブラザースさん、面倒臭かったのかな、肖像権の処理とかは!
 
モブシーンなどで小さく映るエキストラの人たちは、ワーナー・ブラザースの人間キャラクターに扮していましたけども。
 
いちいち探してチェックするのも面倒でした。
 
メジャーなアニメキャラのバッグス・バニーや、トゥイーティーや、ロードランナー等が、場を盛り上げ役。
 
マンガ頼りですよ!
 
ときに、セル画風の2D映像で、ときに、フルCGキャラクターで登場するアニメキャラたちの、映像クオリティは流石の出来映えでした。
 
劇中では、レブロンと息子が、ギクシャクした関係を修復できるのか、という、まさかの「コーダ あいのうた」みたいな感動系・家族ドラマまで盛り込まれてます。
 
結構、色々とぶっ込んでいる、テンション高めのカオス作。
 
「明るい悪夢」という世界観でした。
 
 
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「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」★★★☆ [映画日記]

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*ネタバレはありません。
 
「アベンジャーズ」シリーズの、映画での正当な新作ですよ、本家!
 
相変わらず、手を変え品を変えて脚本を練り込んで、熟成・発酵させ、見事に焼き上げた楽しい作品です。(←食パンかい)
 
「ドクター・ストレンジ」の魅力は、マジカル感覚ですよね〜。
 
主人公のドクター・ストレンジは魔術師で、敵対する相手スカーレット・ウィッチも魔女だから、戦う場面は魔法戦争という感じ〜。
 
術をかけ合うんですよ、摩訶不思議な!
 
非現実感が満載の演出を眺めているだけで、ワクワクしました。
 
物語の顛末も、「ただ、善と悪が闘う話」ではなく、人間ドラマを交えているところが最高〜。
 
これは、バットマンとスーパーマンがいる戦隊ものみたいなライバル映画シリーズ「DC」には無い味わいです。
 
ああ一体、ワシらはどこまで「アベンジャーズ」シリーズを好きになれば良いのでしょう。
 
この愛、底なし沼!…そんな気持ちになりました。
 
ドクター・ストレンジ役のベネディクト・カンバーバッチは、もちろん最高。
今では、「アベンジャーズ」シリーズを引っ張るおじさんに成長しましたね。
 
今回は、さらに奇妙な演技を披露していて、「こんなストレンジな役は、カンバーバッチさんにしか演じきれない」と思いました。
 
スカーレット・ウィッチ役エリザベス・オルセンの出番が多くてビックリしました。
これはもう、ヒロインと言っていいでしょう。
 
製作サイドが、エリザベス・オルセン推しということが伺えました。
 
しかしながら、「アベンジャーズ」シリーズも回を重ね、もはや「一見さんお断り」の世界観に。
 
「アベンジャーズ」シリーズ未見の人が、いきなり今作を観ても意味不明。
 
チンプンカンプン!
 
さらに「Disney+」で配信中のドラマシリーズ「ワンダビジョン」を観ていないと、十分には理解できない内容に。
 
ああ一体、ワシらはいつまでディズニーさんに銭を振り込まなくてはならないのでしょう?!
 
死ぬまでですか?!
 
ドクター・ストレンジが脇役として登場した「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」(2021年)の内容は、驚きの連続でした。
今作では、あれほどではありませんが、「まさか」と思うサプライズも封入。
 
お楽しみのとじ込み付録ですよ!
 
細かいことは言えませんが、劇中での「マルチバース」という設定(パラレルワールド的なやつ)は、何でもアリなんだなと思いました。
 
何をやってもいい、無敵の設定なんですよ!
 
映画ファンとしては、今作の監督が、旧「スパイダーマン」シリーズを手がけたサム・ライミってところが胸熱。
 
しかもサム・ライミお抱えの音楽家ダニー・エルフマンと、男優ブルース・キャンベルを引き連れて!
 
お友達と共に「アベンジャーズ」ビジネスに参入ですよ!!
 
ブルース・キャンベルを「アベンジャーズ」シリーズで見る日が来ようとは〜。
 
ちなみに、ブルース・キャンベルはピザボールの売り子役でしたけども、良い感じに印象を残していました。
 
ああ、監督と男優の友情ってイイネ。
 
腐れ縁ってイイネ!…と思いました。
 
サム・ライミ監督作だと思えば、「血まみれで追っかけてくる女」など、色々とホラー的な演出が光ってました。
 
「アベンジャーズ」シリーズに、監督の作家性を入れることは難しいはずですが。
今作には、サム・ライミ風味が息づいていましたね。
 
臭ってきてました、お外まで臭ってくるカレーみたいに!
 
 
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「ズーム 見えない参加者」★★★ [映画日記]

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amazonプライム・ビデオで発見した異色作。

 

変わってんの!

 

今では馴染みとなったオンライン会議ツールが「Zoom(ズーム)」。

そのZoom画面のみで構成された、イギリス製のホラー映画です。

 

ズームを見てたらオバケが出んの!

 

製作が2020年、日本公開が2021年ということで。

 

「こういうのをやるなら今しかない。とっとと作って世に出せ!」とでも言うような、速攻性を感じる作品。

 

早く効かせたいんですよ、ロキソニンみたいに!

 

主な登場人物は、6〜7人の男女。

パソコン画面にズラッとキレイに収まる人数で、見映えはバッチリですよ。

 

コロナ期の真っ只中、仲良しグループが「Zoom飲み」ついでに、降霊会を催すことになるお話。(←他にやることなかったの?!)

 

Zoomに招待しました、イタコのおばさん!(←他に呼ぶ人いなかったの?!)

 

知り合いの霊と話をするつもりが、悪霊を招いてしまう、というベタな展開になっています。

 

まずは劇中でのZoom通話中に、メンバーの画面がフリーズしたり、ハウリングしたり、家族が背後に映り込んだり、誰かがトイレに行くため中座したり。

 

「Zoomあるある」が楽しい〜。

 

みんな苦労してるんですよね〜、Zoomには!

 

Zoomのコミュニケーションは、便利だけれど、どこかギクシャク。

会話が途切れた時には妙な間があり、「やっぱり会って話したいよね」となる。

 

こういう「Zoom意識」って、世界共通なんだな〜、と思いました。

 

悪霊が出てきてからは、よくあるフェイク・ドキュメンタリー系のホラー映画っぽい雰囲気に。

 

簡単に言えば、「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」みたいなノリになりました。(←古いです)

 

しかしながら、オバケで観客を脅かす演出は冴えていて、「こういうのを作るのは、西洋人って上手いよね」と思いました。

 

西洋人の「悪霊慣れ」を感じました!

 

スタッフロールまで、Zoomのアドレス帳を使って表現する、という、こだわりよう。

 

本編が終わると、メイキング映像まで流れてきましたよ。

 

メイキング映像は、Zoomで打ち合わせする制作者と出演者たちが、奇妙で、ちょぴり超常的な体験をする、という、リアル・ホラーでしたけども。

メイキング映像の方は、あんまり怖くなかったかな。

 

コロナ期ならではの、アイデア一発勝負の作品で、全体的にはソコソコ怖くて楽しかったですけども。

 

本編時間が約1時間って短っ。

 

韓国ドラマの1エピソードより短っ!

 

やはりZoom画面のみで、凝った物語にするのは、難しかったようです。

 

Zoom手法を使った作品って、2022年の今では新鮮味もないし、今後は作られなさそうなので、貴重な作品だとは思いました。

 

映画は映画館で観た方が楽しいものですけども。

今作に限っては、パソコンやスマホで鑑賞した方が臨場感があって良いかもしんない。

 

時代を感じるホラー映画でした。

 

 

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「mid90s ミッドナインティーズ」★★★ [映画日記]

mid90s.gif

 

amazonプライム・ビデオ内で発掘した、2018年のA24配給作品です。

 

中古屋で掘り出したブランド品みたいなもんですよ!

 

俳優のジョナ・ヒルの長編映画・初監督作品ということで、日本公開時にも注目していたのですが、見逃していました。

再生してみたら、なかなか良かったです。

 

さすがA24、ブランド品!

 

さすがメーカー品ですよ!!

 

1990年代半ばのロサンゼルスを舞台にした、90年代テイスト満載の世界観が良い感じ。

画面の縦横比から、昔のテレビサイズでしたから。

 

これは、90年代の昔話!

 

主人公は、母子家庭で育つ13歳の少年スティーヴィー。

お家では、威圧的な兄の家来として、お外では、不良グループの下っ端として生きるスティーヴィーの、青春の1ページが描かれた物語。

 

まずは、お家でも、お外でも、スティーヴィーの生活環境が過酷。

本当は優しい子なのに、不良ぶって酒を飲んだり、タバコを吸っていないと認めてもらえないという基本設定。

 

いきがってるんですよ!

 

そんな日々の中で、血だらけになりつつも、しぶとく、強く成長していくスティーヴィー。

 

毎日が命がけなんですけど?!

 

アメリカの90年代で生きる子供たちって、こんな感じだったんでしょうか、こんなマフィア映画みたいな?!

 

あと、少年たちは、みんなスケボーが大好き。

 

そんなに楽しいか、スケボーが?!

 

朝から晩までスケボーで遊んでますよ、ゴロゴロゴロゴロ〜!

 

スマホが無い時代だから、他にやることがなかったのかな?

 

不良たちが集まると、人種やマイノリティ層に対しての差別発言がポンポン飛び出してます。

個人の趣味や思想に、現代のような多様性が無いことが伺えました。

 

あらゆる点で未成熟な90年代。

 

圧巻の無法地帯!

 

90年代って、とっても野生的な時代だったんですね、石器時代みたいな!!

 

その反面、日常にはびこる貧困、虐待、薬物問題などは、現代と変わらず。

なんとも、さりげない社会派のメッセージが粋でした。

 

少年たちが夢を追ったり、夢をあきらめたり、「これからも毎日パーティしたい」と、漠然と未来を見つめる姿に青春味。

 

どうしようもない時代として90年代を描いた作品ですが、わずかに「夢」という儚さを盛り込んでいるところに趣を感じました。

 

ジョナ・ヒル監督は、スティーヴィー役の子役に、えっらい体に負担をかける、痛痛しい演技を要求してましたね。

 

「壁に激突」とか、「首絞め」とか!

 

なかなかのドS演出家でした。

 

 

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