「PASSING 白い黒人」★★★ [映画日記]
2021年11月に、Netflixのオリジナル映画として配信されている心理劇です。
「マイリスト」には入れていたものの、イマイチ再生する気分になれず冬が過ぎ、春が過ぎ。
配信サービス内の「放置系」映画となっていたのですが!(←配信あるある)
こんなんだから、配信サービスが大嫌いなスティーヴン・スピルバーグ様が怒るんですよね!!
そんな昨今「梅雨になる前に」と思い立ち、ついに再生ボタンに手を伸ばした次第です。
物語の舞台は1920年代のニューヨーク。
メイン・キャラクターは2人の黒人女性ですが、それぞれ見た目は「白人に見えなくもない」という設定。
あいまいな部類ですよ!
日本人にもいますよ、「ハーフに見えても、生粋の日本人」って人〜。
平井堅さんみたいな人ですよ!!(←名指し)
主人公の裕福な主婦アイリーンが、ある日、白人専用喫茶店で旧友クレアと再会。
バッタリ遭遇するもんですよ、とくに会いたくない人には!
クレアも黒人のはずですが、丸っきり白人として生きていて、しかも白人男性と結婚していて、旦那は嫁が黒人とは知らない、とのこと。
肌色詐称ですよ!
人種問題のいびつな一面を、女性の人生論を交えて描いている、まさに「異色作」になっています。
そんな展開に、ジャンル名を付けるとしたら「スリラー」かな、とも思いましたけども。
そこまでデンジャラスな内容でもありませんでしたね。
1920年代の思想、文化、生活スタイルにも大きく踏み込んでもおらず、サッパリ味の心理劇になっていました。
原作小説を元に、監督・脚本を担当したのは女優のレベッカ・ホールなんですね!
全編を美しいモノクロ映像で紡ぎ、少々オシャレ感の漂う作風に。
冒頭のアイリーンとクレアがバッタリ遭遇する場面は、妙にスタイリッシュ。
良いツカミ!
その場面を観たときは、「レベッカ・ホールさん、アンタ、ハリウッドの市川崑かい」と思いました。
Netflixは、ここ1〜2年は女流監督の発掘に熱心ですけども。
今回も「また1人、女流監督を見つけた。堀ってたら出た!」という感じなのかも。(←アサリかい)
アイリーン役を演じたのはテッサ・トンプソンなのですが。
アクション大作への出演が目立っていたテッサですが、今回は小作での、しかも地味主婦役でしたが、とっても上手。
「かわいくしたヴィオラ・デイヴィスみたいだな」と思いました。
白人に化けているクレア役を演じているのは、「ラビング 愛という名前のふたり」などのルース・ネッガですけども。
かつて、海外ドラマで見ていたルース・ネッガも、確かに芝居が大きくて、どこか白人っぽいノリだったかも〜。
なるほど、今回の役にピッタンコ〜。
クレアのことを黒人とは気づかず、白人女性として抱いている旦那役は、アレクサンダー・スカルスガルドなんですね〜。
この人は、他の作品でもそうですが、悪い白人旦那役を、嫌がらずノリノリでこなせる人ですね。
そういう役にハマる体をしているんですよね〜、無駄にイケメンで、無駄にデカいし〜!
無駄な部分を有効利用できる人材だと思いました。