「ミッドサマー」★★★☆ [映画日記]
「ヘレディタリー/継承」で名をあげたアリ・アスター監督によるスリラー作品ですけども。
ものっすごい変!
おかしげな狂気が充満していて、いっぺん見たら忘れることが出来ないクレイジー場面の連続にア然としました。
まぶたの裏に焼き付いたわい、あらゆる陰部!
圧倒的な個性を放つ作品で、アリさんの実力を再確認いたしました。
アメリカの大学生グループが、異国のコミュニティで奇妙な体験をする、という、アメリカのティーン向けホラー映画にありがちな構図を持つ作品ですけども。
表現がオシャレかつハードです。
まず、大学生が訪れる場所がスウェーデンの田舎。
へき地にご到着〜!
風景は牧歌的。
一見すると、リンネル読者が喜びそうな感じ〜。
劇中での主なイベントは、現地でのコミュニティが開催する夏至祭なのですが。
まずは現地の人の衣装が、謎の白装束。
衣食住、全てに謎の儀式が付いていて、アメリカの大学生グループがドン引き!
ここまでは、カルチャーギャップとして、受け入れる大学生たちですけども。
その先は、あまりにも激しすぎる暴力と性の儀式がフルコース!
抱いたり、抱かれたりすることにも儀式があんの、妙なしきたりが!!
それらには、悪意がございません。
現地の人は、よかれと思い、笑みを浮かべながら儀式を行っている、っていう恐怖!
女性が男性の心を射止めたいときは、あるものを食わせますよ。
とんでもねぇシモネタ・フードにギョエーッ!
なんという淫びなおまじない!!
あまりにもスゴくて、なんかもう逆に笑ってしまいました。
やがて大学生たちは、それらの儀式に巻き込まれてゆく、という展開になっています。
異文化への違和感を、極端に表現しているところが面白いです。
異国や他人など、自分と違う世界観を持つものを理解することは難しいですけども。
異次元の価値観に触れて影響された時は、自分の価値観が180度変わってしまう、という、心のお話でした。
主人公の女子大生ダニーは、過去に悲しい体験をして、心に大きな傷を持つ設定。
「どうして、そんな重いキャラ付けがされているのだろう」と思っていたのですが。最後の方まで観て納得。
彼女の価値観も最終的には玉砕していましたので、木っ端みじんに!
また「外敵を排除し、弱い者を受け入れ癒す」というコミュニティの基本的なポジティブ要素も、よくとらえていました。
そういう意味では「優しい狂気」「善意のホラー」という感触で、他作品には無い味わいでした。
主人公ダニー役を演じたフローレンス・ピューのことを「泣いたり、わめいたりする時の声が良い。わめき上手」と思いながら観ていたのですが。
なんと、この子「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」での演技でアカデミー助演女優賞にノミネートされていた、若草女優なんですね!
2020年公開の「ブラック・ウィドウ」では、スカーレット・ヨハンソンの妹分を演じているという、ハリウッドの昇り竜!!
ネクスト・ジェニファー・ローレンスの予感がしました。