「新聞記者」★★★ [映画日記]
新聞映画ですよ、紙映画!
記者・望月衣塑子さんのフィクション作品を映画化したものですけども、なかなか良かったです。
主人公は若手の新聞記者・吉岡エリカ。
新聞業界のエリカ様ですよ!
そんな吉岡エリカが、国の陰謀を暴こうとするお話。
ハリウッド作品では、たまに見かける「反政府」というジャンルですが、日本映画では珍しい〜。
これは珍作!
まずは新聞社のオフィス風景。
デスクの上には紙ファイルや、紙束がどっさり積まれて。
一切ございません、ペーパーレス意識!
現代劇のはずですが、まるで昭和の仕事場〜。
「新聞社って、今もこんなに紙づくしなのか〜」と思いながら観ていたのですが。
「ありゃま、お古いことで」と思って、上から目線で観てましたけども!
吉岡エリカの同僚や上司も、いかにも記者っぽい雰囲気で最高。
最終的には、記者たちが仕事に対して抱く熱意や信念が素晴らしくて、涙が出ました。
「未来を切り開いていくのは新聞記者なんじゃないか」と思うくらい。
新聞記者がアベンジャーズに見えました。
内閣府には内閣情報調査室という部署があって、なんとSNSで情報を流して世論を操作。
事実を作り上げてしまうんですよ、お好きなように!
お好み次第なんですよ!!
「こんな部署、本当にあるの?!」と思ってビックリしました。
そこの場面は情報戦争という感じなのですが。
インフォメーション・ウォーズですよ!
人間の心をズタズタにする情報の怖さも、しっかりと描かれいます。
「SNSが普及した情報社会の中で、人は人間らしさを保てるのか」というテーマが現代的でした。
組織の中で権力が人を殺してしまう手順が、分かりやすく描かれていたところも良かったです。
劇中では、組織の人材が自殺してしまう場面が何度かあるのですが、自殺の理由には納得するしかありませんでした。
追い込まれ方が自然。
組織を描いたパートも「権力の下で、人は人間らしさを保てるのか」というのがテーマだったと思います。
フィクションという扱いですが、元ネタは記者が書いた原作だから、劇中の事件は何もかも本物っぽい。
本当に「この映画、よく作ったな。作れたな」と思いました。
吉岡エリカ役を演じる女優も、「日本の女優が誰も引き受けなかった」との理由で、韓国女優のシム・ウンギョンが演じてましたけども。
地味だけど頭が良く人情もある、という記者役がピッタンコだし大熱演。
やや日本語がカタコトなのは、「米国留学していたから」という理由。
良いと思う、後付けの理由だけど!
W主演として、若手の官僚役を演じていたのは松坂桃李くんなのですが。
事務所は、松坂桃李くんの仕事を選ぶのが上手いですよね〜。
演技力は普通と思うのですが、演じてきた役が魅力的。
松坂桃李くんの事務所に「グッジョブ」と言ってやりたくなりました。