「500ページの夢の束」★★★ [映画日記]
今のダコタ・ファニングも演技力が素晴らしいのですが。
怪演しまくった子役時代のインパクトが強すぎて、今は普通に見えるのが損だわな。
霞んで見えるんですよ、モヤがかかったスカイツリーみたいに!
今回のダコタちゃんは自閉症の小娘役。
いまだに設定は生娘ですよ!
自閉症演技も上手にこなすダコタちゃんですけども。
ダコタちゃん演じるウェンディは「スター・トレック」マニアという設定。
劇中では「スター・トレック」クイズを出題されたら即答する子。
全問正解ですよ、「クイズダービー」の優秀な解答者はらたいらさんみたいに!
やがてウェンディは「スター・トレック」のオリジナル脚本を書き始めましたよ。
「好きだね~アンタも。ヲタだよね!」と思いました。
自作の「スター・トレック」脚本をハリウッドの業界人に認めてほしくて、ウェンディは自力で街を出る、という展開。
ガールズ・ロード・ムービーという形態の中に、「スター・トレック」というサブカルチャー要素を散りばめているところが魅力ですよ。
ふりかけているんですよ、白飯にのりたまでもふりかけるみたいに!
おいしいんですよ!!
最低限「スター・トレック」ファンの取り込みが可能な、心ニクい仕掛けでした。
かわいらしい便乗ですよ!
劇中劇としての「スター・トレック」映像もありますが、とくにスポックやカークが出るわけではありませんでした。
しかし、ウェンディの姉オードリー役を演じたアリス・イブって、「スター・トレック イントゥ・ダークネス」に出てる人だったんですね~。
実はサービス心のあるキャスティングなのでした気付きづらいですけども!
物語は予定調和で、まあまあ普通だと思うのですが。
他人との関わりが難しい人間が、ひとつの夢を抱き、それまで体験したことのない日常の冒険に踏み出して行く、という設定はベタですがグッとくるものがありますね。
誰の人生にも、知らない社会の中に飛び込む時ってありますから。
また、ときどきウェンディが人に騙されたりする場面とかも、やっぱりベタだけどグッときました。
悪意のある人間に出会って愕然とするウェンディを見て、「人生には、そういうときもあるんだよ。悪意を持った人間なんてウジャウジャいるんだよ!」と思いました。
結局、鑑賞中はウェンディの応援モードになるんですよね~。
道中のウェンディは、とっても演技が上手いワンコを連れているし~、空っぽのお財布を握りしめているし~。
どことなく「家なき子」by安達祐実みたいな風情も。
「空と君のあいだに」が聴こえてきそうでした、中島みゆき姉さんの!
道中ウェンディは、親切なオババとオジジの車に同乗させてもらってましたけども。
ハンドルを握ったオジジが、絵に描いたような見事な居眠り運転!
なんかもう、心の底からオジジをビンタしたかったです、入れ歯が飛ぶほどの!!
あの後のオババとオジジがどうなったのか気になります。
今頃、三途の川かな?!