「ライフ・ウィズ・ミュージック」★★★ [映画日記]
ミュージシャンのシーアさんが、映画界に殴り込み〜!
シア子さんが「オラオラオラ〜ッ」ですよ!!
原案・監督・脚本・音楽をシーアさんが担当したというミュージカル作品です。
シーアさんて、いろんな才能も持っていたんですね。
マルチタレントだったんですよ、ピエール瀧さんみたいな!(←人選が…)
シーアさんは脚本も書いたそうなのですが、物語の主人公は社会の底辺で生きる姉妹で、姉ズーは薬の売人、妹ミュージックは自閉症っていう。
設定は、まさかの骨太!
生きづらい世の中で苦悩する姉ズーの姿が描かれ、ときどき妹ミュージックの心象風景である陽気なミュージカル場面が挿入される、という対比が激しい構成。
表現の難易度MAX、巨匠でも無理めな題材にビックリ。
めちゃめちゃ胸を掴まれる、という話でもないのですが、それなりに立派な脚本になっています。
仕上げてきてんの!
シーアさんを見直してしまいました。
登場人物が少なくて、話を大きく広げていないところが良いと思います。
やりすぎていないんですよ、はしゃいでいない!
何でも調子に乗りすぎると失敗しますしね。
今作の売りどころは、なんといっても空想世界でのミュージカル場面。
めちゃめちゃ明るいです。
狂気を感じるくらい底抜け!
感性が純粋というか、ポップさが突き抜けている。
大抵、歌ったり踊ったりする人々は全身タイツです、原色の!
ダンスも、体操に近い感じで。
紛れもなく、そこは理屈のない世界〜!
これは頭で考えていない演出ですね。
泥酔した時の演出ですよ!(←ホメ言葉)
曲もシーアさんが書き下ろしたものなんですよね〜。
映像も音楽も1人の人物が手がけたミュージカル場面って、初めて見たかも〜。
姉ズー役を演じたのはケイト・ハドソンで、いつものブロンドヘアーを封印。
丸刈り、大仏顔で新装開店〜!
まあまあヨゴレた演技も見せているし、歌もダンスも上手、ということで。
2021年のゴールデングローブ賞、ミュージカル・コメディ部門の主演女優賞にノミネート。
「あの頃ペニー・レインと」(2000年)出演時以来の好評価〜。
これはシーアさんに感謝ですね。
高いお中元を贈らないと〜「プレミアムモルツ」とか〜!
作品自体も、ミュージカル・コメディ部門の作品賞にノミネートされて、まずまずの結果を出してました。
一歩間違えればラジー賞に直行しかねない作品。
綱渡り映画ですよ!
よく持ちこたえて、ゴールデングローブ賞ノミネートを掴んだな、と思いました。
妹ミュージック役は知らない子が演じてましたけども、自閉症の芝居は良かったです。
シーアさんて、好きな映画が「フォレスト・ガンプ」とか「ギルバート・グレイプ」なのだそう。
だから、本人作の映画にも、自閉症のキャラクターを入れたかったのかな。
凡人には出来ないことを、他人の目を気にせず、どんどんやっているシーアさん。
無難な道を選んでいない姿を見て、芸術家だな、と思いました。
「ナイル殺人事件」★★★ [映画日記]
川にまつわる殺人事件を描いてますが、「天河伝説殺人事件」じゃありませんから〜!
その川はナイル川ですよ、エジプトとか、ピラミッドが建っている方で流れてるやつ!!(←詳しい場所は知らないらしい)
アガサ・クリスティさんが書いたミステリーを、今時のハリウッドスターを起用して映画化する企画・第2弾です。
シリーズ前作「オリエント急行殺人事件」は超・豪華キャストでしたけども、目ん玉が飛び出るくらい!
あれと比べると、今作は、いくらか安めのキャストになってしまってますね。
削られてますね、予算!
せいぜいガル・ガドットさんとか、アネット・ベニングが有名どころ。
この企画って、超・豪華キャストでやらないと意味がない気がするのですが。
そういうお祭り色でも付けないと、お客さんが呼べないと思うのですが、まあいいです。
あと、現在のハリウッドでは完全に干されている網浜さんが出てますね。(←アーミー・ハマー)
干されすぎて、煮干しかスルメ状態の網浜さんが!
今作は、干される前に撮影されたのでしょうね、まだ水分が残っていてイキイキしていました。
劇中では、金持ち夫妻と仲間達がエジプトで豪遊。
ナイル川では豪華客船を貸し切って船遊び!
いくらくらいかかるのでしょうか、30万円とか?(←もっとでしょう、知らんけど)
そんな船上で起こった連続殺人事件の謎を、名探偵ポアロが解く、というお話。
わたくし、「ナイル殺人事件」の内容を、今回の鑑賞で初めて知ったと思うのですが。
鑑賞中、割と早い段階で犯人が分かりました。
「ハハ〜ン、アンタだよね。臭いもん」と思ったのです。
わたくしは天才なのかもしれません。(←どうせ昔、ドラマ版とかを観ていたのでしょう)
ポアロ役のケネス・ブラナーが、製作・監督を兼任していますけども。
ケネスの作風と、アガ子先生のミステリーは、相性が良い思います。
両者とも、テンションが高めのドラマを作りますしね。
今作は、ナイル川に浮かぶ船などの風景が全てCGで、「作られた世界観」も良い感じ。
広がってますよ、空想上の「アガ子の世界」が!
貧富や人種などの格差や、多様性のある恋愛劇まで盛り込まれていて、意外と、現代的なおかずが多いですね。
最近のおかずですよ!
そうやって、一隻の船の中で社会を描く、という荒技を見せていました。
オープニングとエピローグは、ポアロのパーソナルな部分にフォーカス。
トレードマークである口髭の秘密も明らかに。
お毛毛の秘密ですよ!
同時に「人には誰でも、他人に見せない顔がある」みたいなテーマも感じさせて、奥深さアップ。
おじんの深みですよ!
ケネスの手腕が光っている演出でした。
まだシリーズ2作目ですが、なんとなく、これが完結編の予感〜。
なんとなく、力尽きてる〜?!
続きがあるなら、ポアロ以外の全キャストを「アベンジャーズ」俳優でやってほしいな。
「ドリームプラン」★★★ [映画日記]
テニス選手のビーナス・ウィリアムズとセリーナ・ウィリアムズが、いかにして世界的なプレイヤーになったのか、その裏話を描いた作品ですけども。
「スポ根もの」ですけども、「エースをねらえ!」みたいな!(←死語)
今作の特徴としては、ビーナス&セリーナ姉妹は脇役。
主人公は、その父ちゃんという仕様に。
「父もの」映画なんですよ!
製作・主演のウィル・スミスが、父役を大熱演。
賞レースを狙い撃ちですよ、スミス殿下が!
スポーツ試合の熱さ、家族ドラマの暖かさが、同時に味わえる感動作に仕上がっていました。
お父さんの名はリチャード・ウィリアムズ。
5人のお子様をもうけてますが、全員娘!
お家に帰ったら女、女、女、女、女〜!!
お家はちんまいですよ、仕方ないです、5人も育てるのはお金がかかりますから。
「貧乏人の子だくさん」ってやつですよ!
テニス選手を育てるプランは完璧でも、「子を適度に増やすプラン」は難しい、っていうやつ!!
劇中では、ほぼ描かれてませんが、ビーナス&セリーナは現在の妻との子。
その他の3人娘は、前妻との子らしいです。
5人娘は全員仲良しで、家でも外でもキャッキャ、キャッキャ!
かしましやーーっ!!
ビーナス&セリーナも、性格がかわいい〜。
世界的なスポーツ選手だし、勝ち気で、どこか尖った感じのする娘さんかと思っていたのですが、純粋無垢な優しい子でビックリしました。
それもこれも、父リチャードさんの教育の賜物のようです。
父リチャードさんは、いくつもの顔を持つ男性。
良き父親、テニスのコーチ、そして頑固オヤジですよ!
この人は、娘を一流選手に育てただけのことはある、他人の言うことは聞かぬ人。
正直、わがまま!
我が道を行ってるのは分かりますが、関わる大人たちは振り回されて大変そうでした。
劇中では、良き父親 → テニスのコーチ → 頑固オヤジ… という表現ローテーション。
最終的には「良き父親」でラストを迎えるという、感動路線の構成になっていました。
全体的に、良い感じに人種問題が組み込まれているんですよね〜。
社会派テイストが隠し味!
塩ひとつまみですよ!!
父リチャードさんは、若い頃に人種差別で苦労した経験があるため、黒人選手が好成績を出して目立つことを恐れている、という裏設定。
「黒人は前に出ると叩かれる」という不安描写が繊細でした。
父リチャードさんは、勉強や作法などの教育に熱心なのは、娘たちを偏見から守るため、という理由に深みが。
かなり説得力のある人物像になっていました。
また、父リチャードさんが、不良たちに暴力を振るわれる場面も。
その場面を観たときは、「ウィル・スミスもアカデミー賞にノミネートされた理由は、このボコられ場面か。こういう場面は白人の審査員によく効く」と思いました。(←いやらしい)
父リチャードさんがスゴイだけでなく、実は母ブランディもスゴーイ。
医療関係の仕事をしている母ブランディですけども、スポーツ大好きっぽい。
運動マザーですよ!
休日は、娘を特訓する鬼母コーチ。
シゴキのホリディですよ!
スポーツ夫妻の子も大変だな、と思いました。
「ビッグバグ」★★☆ [映画日記]
フランス系オシャレ・ムービー大好きっ子のみなさん、お待っとさんです!
おフランスが生んだ美術系映画の巨匠ジャン=ピエール・ジュネ監督による、約9年ぶりの長編映画が完成〜。
Netflixオリジナル映画として配信〜。(←配信かーーい!ああ、猫も杓子も配信だわな)
作品ジャンルは近未来SFです。
舞台である2050年の住宅は、空調から戸締りまでAI管理。
しかも数台のロボットが、人間様をお手伝いしているという生活設定。
アイボや、Pepper(byソフトバンク)みたいな形のロボットもいますけども。(←死語)
なんと未来のお宅には、人間型のロボットも駐在してます、なんでか中年女性型のやつ!
中年女性が住み込んでるんですよ、まるで未来の女中さん!!
オカッパ頭の中年女性型ロボットは、何でもやってくれます、料理とか。
ゆでてる卵なんて、熱湯の中から素手ですくい上げ。
お口は、掃除機の吸引口にもなっているようで、蜘蛛の巣なんかを、脅威の吸引力でお口の中へ!
もはや別名「ダイソン女」ですよ!!
時には、屋敷の奥さんと同じ髪型のカツラをかぶって、旦那様を驚かせてイタズラ。
便利といえば便利なテクノロジーですけども。
なんとも落ち着かないお宅になってます!
中年女性型ロボットの無機質な対応、カクカクした動き、サイバー感あるお衣装などを込み込みで「なんか、こういう人、日本で見たことある」と思ったら。
楠田枝里子さんと同じ感触ですわな「なるほど!ザ・ワールド」やってた時の!(←死語)
そんなロボットがお世話するのが、ワケあり家族。
家族が、知り合いを自宅に招いていた最中にAI管理がダウンして、玄関も閉まったままに。
彼らが、家屋に閉じ込められた一夜を描いた物語になっています。
すんごくガヤガヤしていて、完全にコメディ映画ですね。
フランス流のジョークが飛び交う、日本人が笑えないタイプの新喜劇です!
子役も2人ほど出ているので、ファミリー映画としても成り立っているかな、と思ったら。
わずか一夜の間に、多くの女性キャラが男性に抱かれたよ!
妙にアダルトなところも、フランス的だと思いました。
コメディではありますが、テーマとしては「AIと暮らす不自然さ、いびつさへの揶揄」と思うのですが。
とくに目新しくも、鋭いテーマでもなく、なんとなく「ジャン=ピエール・ジュネさんも70歳前か〜。年をとりなすったな」と思いました。
美術センスは悪くはありませんが、過去作と比べると平凡になった〜。
レトロ・フューチャー感のあるデザインでまとめられた映像は、まあまあ、そこそこオシャレでした。
ジャン=ピエール・ジュネさんの作風は、どこかダークな色合いが魅力だと思うのですが。
今作は明るいんですよね〜。
根っから明るいんですよ、底抜けに!
ジャン=ピエール・ジュネさんの感性が丸くなってしまって、ちょっぴり寂しくなった一作ですけども。
70歳前で、こんなに元気な作品が撮れてるなら、まだ良いのかもしれません。
わずか一夜の間に、多くの女性キャラが男性に抱かれてしまう映画なのですから。
「コーダ あいのうた」★★★ [映画日記]
「コーダ あいのうた」ですよ、「コーダ あいのうた」。
「愛のコリーダ」じゃありませんから!
泣きました〜、さわやかな感動作ですね。
「文部科学省特選」かと思いました!
聴覚障害を持つ父・母・兄を助けながら生きている、末娘で高校生のルビーが主人公。
しっかりした娘さんですよ、生娘さん!
そんなルビーと家族が、日常の問題を乗り越えて、成長する姿を描いた作品になっています。
劇中では、家族が営む漁業を継ぐか、大学に行くか、いろいろお悩みのルビー。
就職か進学か悩むんですよ、いなかの少女が!
学園でのルビーは合唱部に所属していて、お歌の先生から指導されたり、部員とデュエット曲を練習したりする場面も。
「部活映画」としての一面も!
まずは、女子高生らしいネタが盛りだくさんでした。
「金八先生」でも観てるみたいな感じですよ!
他の家族は全員耳が不自由なのに、ルビーだけは歌の才能を発揮する、という点が作品の個性に。
無音vs美声という対比が独自で、鮮やかに映画を彩ってました。
ルビーの家族は、まあまあ雑な性格〜。
50代の父は、今でも母を抱いてます!
ルビーが友達と自宅にいることを知らず、自室のベッドでお励みになるお父様&お母様!!
ルビーが「も〜っ、恥ずかしい。友達が来てるときくらい抱かないでよね!」みたいにキレる、というのが、物語上の基本設定になっています。
「障がいもの」というジャンルに入る作品だと思いますが、明るいタッチの、楽しい作風になっていました。
ルビーの歌声を知ることができない家族は、ルビーの才能を理解できずにいるのですが。
どこの父母も同じですよ、子の才能や趣味なんて理解できませんから。
今作の場合、父がルビーの才能を、どうにかして理解したいとがんんばる場面がステキでした。
あの場面を観たら、どんなお客も泣きますよ。
父は食卓で屁はヒるし、昼間っから嫁を抱いたりしてますが、愛にあふれた男性像になっていました。
父は感動場面に良く映えてましたね、普段がガサツだから余計に!
賞レースを賑わせている作品ですが、今年の米アカデミー賞には、父役のトロイ・コッツァーさんが助演男優賞にノミネートされているんですね〜。
劇中での胸熱な芝居を観て、納得してしまいました。
家族の仕事を手伝わなくてはならず、お歌の練習時間を削るルビー。
振り回されっぱなしの毎日なのですが、それも、どこの家族でも同じですね。
父母とは色々言いつけてくるものですよ「郵便局行ってこい」だの「キンチョール買ってこい」だの!
聴覚障害を持つ家族のドラマとなると、特殊な話なのかな、と思いがちですが。
今回の家族が抱えている問題は、そこいらの家族と大体同じというのが共感ポイントでした。
また、家族全員が優しい人物になっているのが心地良いですね。
ルビーのお兄ちゃんも、グレることはありませんでした。
話の途中で、むしゃくしゃして、盗んだバイクで走り出してましたけども。(←正確には盗んでません)
そんなルビー以外の家族、父・母・兄ですけども。
演じた俳優さんは、3人とも聴覚障害を持っている人なんですね〜。
手話のさばき方とか、身振り手振りが確かに自然で、説得力がスゴイです。
近年の米国作では、聴覚障害を持つキャラクターは、聴覚障害を持つ俳優さんが演じる傾向に。
普遍の家族愛と、多様性を重んじる近代的な映画製作方式をミックスした作品に仕上がっていました。