「タクシー運転手〜約束は海を越えて〜」★★★☆ [映画日記]
2017年の韓国映画です。
ケーブルテレビで放送されていたので、録画して観てみましたよ。
あるタクシー運転手の生き様を描いております。
映画ジャンルとしては、たまに見かける「タクシーもの」!
「運ちゃんもの」ですよ!!
「ちょっと物を運んであげる」とか「ちょっと、おつかいしてきてあげる」とか。
状況によっては「ちょっと、その尻、ペンペンしてあげる」とか、親切心には、いろんな種類がありますけども。
あらゆる親切を超越した義理、それも超えてゆくと正義になる、という「雪だるま式に膨らんでゆく善意」を表現した「壮大な人情大作」に仕上がっていて腰を抜かしました。
1980年の韓国で軍が暴走した光州事件が物語の背景になっていて、社会派の一面もありますが、一切難しくありません。
人としての分別や善行の尊さが、子供からお年寄りまで、誰でも楽しんで理解できるように、入念に計算されて作られています。
調味料の分量をキッチリ計って焼いたマドレーヌ並みの完成度!
クライマックスはカーチェイスもあって、まるでタクシー版「ワイルド・スピード」みたいになってましたけども。
タクシーが攻めてましたから、峠!
ライトなお客さんへのサービスも満点でした。
ドイツ人記者をタクシーで光州まで運ぶことになる運転手、マンソプ役を演じたのはソン・ガンホさんですよ。
彼の代表作「パラサイト 半地下の家族」同様、貧乏な状態で物語は始まりますよ。
いつだって半地下の家族状態なんですよ!
絵に書いたような貧乏表現「家賃滞納」でスタート!!
貧乏な個人タクシー運転手のくせに、金を持ってない乗客には「いいよ、いいよ」と言って、無賃乗車を許してしまう性格。
愛想が良く、おしゃべりなおじさんという設定は、ソン・ガンホさんの十八番。
効いてましたよ、ガンホ節!
ホント、この人、今は韓国男性の代名詞。
韓国男性の良いところを、全部表現できてます。
韓国男性が、みんなソン・ガンホさんならいいのに、と思いました。(←それも怖いですか)
そんなソンさんが演じるマンソプが、客のドイツ人記者と会話するときはカタコト英語。
単語を投げかけるだけですよ「マネー」とか!
それでコミュニケーションが取れている、っていう点は、まあ映画だから仕方ありません。
ドイツ人記者の指示により、暴動が起きている危険な地域にタクシーで乗り入れるマンソプ。
現地で、あらゆるトラブルに巻き込まれてゆくマンソプですが、そのたびに身を差し出して人助けをする姿が圧巻。
涙が出たわい、命がけのご奉仕に!
ああ、この人、すごい域に達してる!!
これらのドラマは、実話を元にしていることにもビックリ。
マンソプのモデルになった人は、映画がヒットするまで所在が不明だった、というのもせつないです。
映画がヒットしてから、モデルになった人は光州事件の4年後に亡くなっていた、と判明したエピソードも、やっぱりせつないです。
いい人伝説ですよ!
この映画が、韓国で大ヒットを記録したのも分かります。
韓国人の心を動かしたしたんでしょうね。
ドイツ人記者役を演じたトーマス・クレッチマンは、イマイチ演技が薄かった〜。
あんまり元気もなかったし〜。
撮影地での韓国料理がお口に合わなかったのかな〜。