「鵞鳥湖(がちょうこ)の夜」★★★☆ [映画日記]
ありがたいです、タイトルにふりがなをふってくれて!
ワシらみたいな漢字ドリルが苦手な者への配慮ですよ!!
時は2012年、中国南部の鵞鳥湖付近を舞台にした中華クライム・ムービーなのですが、酔いしれた。
映像が相当スタイリッシュで、カッコいい〜。
鵞鳥湖付近はさびれたエリア。
オンボロ地域ですよ!
家屋も屋台も小汚いのですが、ダサさが一周してカッコよく見えてしまうという奇跡。
ミラクル中国ですよ!
夜の場面が多くて、オンボロな風景の中でチラッと光っている電飾が、また良いお味。
広場では、ソールが光る靴を履いた連中が、古い音楽に合わせて脱力系の謎ダンス。
盆踊りならぬ、謎踊り!
廃頽的なムードが抜群すぎて、もはやSF的な感触。
これは、最も「ブレードランナー」に近い中国映画〜!
「ブレードランナー」のジャンルはサイバーパンクと称されますけども。
それを踏まえると、今作はチャイナーパンクと言うべきか?!
舞台のひとつ「軍平ワンタン店」では、店主が雑にワンタンを皿に盛り付けて、謎のソースをドバッと皿にぶちまけました。
適当にぶっかけんの!
狭い店内では、何人もの1人客が黙々とワンタンを食らっていますよ。
み〜んなおひとりさま!
食事の場面までもが、不思議で悪夢のような世界観なのでした。
監督のディアオ・イーナンという人は、本当にセンスのある人ですね。
あえてダサいアイテムを選び、照明や構図を工夫して、ここまでクールな世界を作り上げてしまうとは。
コーディネイト上手ですよ!
監督が過去に手がけた「薄氷の殺人」(2014年)も、機会があったら観てみようと思いました。
今作の主人公は、イケメン中国人のチョウ。
バイク窃盗団の1人です、一味!
チョウが指名手配になり、自分にかけられた懸賞金を妻子に渡そうとする展開。
チョウ役を演じている男優の顔は彫りが深くて、よくあるタイプの中国顔ではありません。
チョウが出会う娼婦アイアイも、あまり中国っぽくない二重の美人〜。
高橋一生似の娼婦!
背景は小汚いので、メイン・キャストの美貌が際立って見えました。
アイアイの商売は、海水浴場で男を引っ掛けて、水中にいざなうという、という手法。
水中で抱かれんの!
彼女たちのことを、誰が呼んだか「水浴嬢」。
バッチリでした、ネーミングセンスも!
チョウとアイアイは命を狙われ、汚い街の路地裏で人生どん詰まりに!!
絶望感も素晴らしいです。
廃頽的で、ハードボイルドで、セクシーで、スタイリッシュなバイオレンスという、これまでの中国映画に抱いていたイメージを覆す作品でした。
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