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「83歳のやさしいスパイ」★★★ [映画日記]

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「これ、ホントにドキュメンタリー作品なんですか?!」…と思うくらい、ドキュメンタリーっぽくない作風がスゴーイ。
 
まるで「脚本どおりに役者が演じてる」みたい。
 
踊らされてるみたいなんですよ!
 
時々、映像の中に撮影スタッフが映り込むので、「ああ、やっぱりワシ、今ドキュメンタリーを観てるんだな」と気付かされるのでした。
 
我に返るんですよ、ボケた老人が我に返るみたいな感じで!
 
編集技術やセンスがあれば、ここまで自然なドキュメンタリーが作れるんですね〜。
第93回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にノミネートされたことにも納得でした。
 
「入居者が虐待されてるかも?」という疑惑を明らかにするため、「スパイ」として雇われたおじいちゃんが、老人ホームに潜入するお話です。
 
まずは、83歳の男性セルヒオさんがスパイ職を得るべく、業者の面接を受ける場面から始まるのですが。
 
スマホを渡されてもチンプンカンプンという、老人の「ITに弱い」系ネタが炸裂。
 
お約束なんですよ!
 
BGMも、スパイっぽい曲調を、わざわざユルくアレンジしたもので、なんか笑える〜。
ほっこり癒されてしまいました、83歳のおじいちゃんに!
 
そんな感じなのに、なぜか採用されたセルヒオさん。
83歳ですが、背筋はシャンとしたオシャレな紳士だし。
 
「さては、見た目で選ばれたね。グラビアアイドルみたいに!と思いました。
 
潜入した老人ホームでは、ほとんどの入居者が女性。
 
ばあちゃんの城!
 
よりどりみどりですよ!!
 
スパイのセルヒオさんは、おばあちゃんたちと交流していくうちに人気者に。
 
中には「セルヒオさんに抱かれてもいい」みたいな気持ちになるおばあちゃんも!
 
他にもいろんなタイプのおばあちゃんがいて、それぞれキャラクターも立っています。
 
ショーン・ペン似のおばあちゃんは、自分のことをまだ生娘とでも思っている、っぽい。
 
母からの「迎えに行く」という電話を、少女のまなざしで待っています。
 
その生娘ふうの態度が、本当に生娘っぽい、自然な演技というか〜。(←ドキュメンタリーなので、演技じゃありませんが)
 
もしかしたら、あのショーン・ペン似のおばあちゃんの正体は、本物のショーン・ペンなのかもしんない!(←別人です)
 
やがてセルヒオさんは、スパイの仕事自体に疑問を持ち始め、老人ホームの実態も知ることになる、という展開です。
 
老人ホームって、わたくしも訪問したことがありますけども。
 
本当に切ない場所ですよね。
 
胸が締め付けられる施設ですよ!
 
今回の作品は、その印象そのまんま。
入居者1人1人には、かつて華やかな人生があったけど、その終盤は孤独、という「人生エレジー」がたまりません。
 
「老人ホームの、ありふれた真実」を見せつけられた感じ〜。
 
劇中では、ときどき老人たちが涙を流しているのですが。
老人の涙は、見ていて辛いです〜。
 
ドキュメンタリーっぽくない作品でしたが、流れていた涙は確実に本物でした。
 

 

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