「容疑者、ホアキン・フェニックス」★★★ [映画日記]
ホアキン・フェニックスが、2020年アカデミー賞の主演男優賞候補になったからでしょう。
ケーブルテレビで、ホアキンが過去に主演した作品が放送されてました。
お祝い放送ですよ、祝賀!
邦題には自身の名前が入ってますよ。
冠つき!
ホアキン主演の代表作だと「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」(2005年)と「ザ・マスター」(2012年)の間に位置する2010年の作品ですけども。
フェイク・ドキュメンタリー作品ということは、なんとなく知っていたのですが、観てみたらフェイク部分が壮大でビックリしました。
2008年に突然ホアキン・フェニックスが俳優引退を宣言。
何に転職したかというと、まさかのラッパーっていう!
そんな騒動を実際に起こしたうえで、ホアキンの奇行と共に、世の混乱をも撮影している、という世界レベルの「どっきりカメラ」が本作〜!!
まずは、元々変わり者と呼ばれていたホアキンが、世間のイメージ通りの自身を演じていることが狂気。
やがて、過激に悪化したイメージを演じたまま、素人やメディア関係者に接してドン引きさせる、という反逆精神。
個性を排除したり、バカにしたりする世の中への怒りが充満しています。
ホアキンが演じている部分は、全てウソなんですよね〜。
アドリブもあるでしょうけども、脚本が存在していることが信じられないくらいのナチュラル演技。
鑑賞中はホアキンが本物の奇人に見える。
アホの子に見える〜!
どこまでの話が事実で、どこまでの話が嘘が分からなくなりました。
踊らされたんですよ、あの子に!
劇中に出てくる一般ブロガーが、奇行を繰り返すホアキンを見て「あいつはもう終わりだ」と言ってましたけど、それを知ったホアキンはこう思ったでしょう「どっきりカメラ、大・成・功!」と。
ホアキンの演技って本当にスゴイな〜、と思いました。
狂っていく男を演じた「ジョーカー」でアカデミー賞を取った今だと、より一層、彼の演技の上手さが理解できる作品だと思いました。
監督は、撮影当時ホアキンの妹と結婚していたケイシー・アフレックなんですよね〜。
ホアキンとケイシーは、よっぽど気が合ったのでしょう。
飲みながら「イタズラ映画作ろうよ!」みたいな話になったのかもしれません。
この大がかりな世界的イタズラ映画の製作に2年もかけた、というのがな〜。
「ホアキンもケイシーもヒマだったんだな」と思いました。
ラッパー転向後には、世間から散々バカにされて地に落ちたホアキンでしたけども。
今回の「どっきりカメラ」を公表した2年後には、「ザ・マスター」主演であっさり大復活。
その演技で賞レースに食い込んで大金星!
今はホアキンもケイシーもオスカー男優。
世の評価が些細なもので、いかに流動的なのかが分かる作品でした。
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