「ファースト・カウ」★★★ [映画日記]
アート系作品で、少し話題になっていたから観たのですが。
この作品、米国では2020年に公開済みだったんですね。
新作じゃなくて、お古だった〜!
新米と思って買ったけど、袋を良く見たら去年のお米だった〜、みたいな状態!!
日本では、劇場未公開になりがちな渋い映画を撮り続けるケリー・ライカートさんが監督を務める作品。
めでたく今回「劇場未公開・専門監督」の汚名返上〜。
時代は1820年代、舞台はヨーロッパ方面のどっかの森林ですよ。
かなり、のどかな風景が広がっています。
まるで昔話ですよ!
元・料理人のクッキーは、毛皮目的の猟師たちと行動を共にし、日々、きのこ狩りをしているという場面から物語スタート。
「山の幸」取り放題ですよ!
きのこがオレンジ色をしていて、なんだか危険な雰囲気を放っているんですけど〜。
クッキーは平気で、採れたてのオレンジ色きのこを、つまみ食い。
生食かい!
マネをしない方がいい場面でした。
そんなスローライフな場面がず〜っと続いて、なんだか眠い!
「こりゃいかん、この映画、ワシには合わぬぞ。睡魔が・・睡魔がああ〜!」と、眠気と戦っておりましたけども。
中盤からのクッキーは、野心的な性格の中国人男性と行動を共にするようになり、展開に変化も出てきて、眠気も収まりました。
中国人男性の入れ知恵で、金持ち宅で飼われている牛から無断で乳を搾り、その牛乳を材料に揚げドーナツを作って売ろうとする展開に。
ユルユル・サバイバル劇から、なんとも素朴なクライム・スリラーに転換。
この映画は、おいしい牛乳にまつわる、牛乳スリラー映画だったのです!
深夜に行われる無断乳搾り場面も、牧歌的でありながら、どこかスリリング。
緊張感のある酪農場面でした!
揚げドーナツは茶色い塊で、形がブサイク。
それを汚い男性が、汚い手で鷲掴み、購買客に手渡しですよ。
どうせ、立ちションした後も手なんて洗わぬ連中ですよ!
「そんなの食いたくねぇ」と思いましたが、劇中では「うまい、うまい」と大評判。
クッキーは、さすが元・料理人ですね「トッピングはハチミツとシナモンが良く合う」とクックパッドに投稿されそうなアレンジ・レシピまで提案。
トッピングされた揚げドーナツを見て「それなら別に食ってやってもいいけど・・。アンタがそんなに食わしたいのならさ!」と、ツンデレな気持ちになりました。
そんな「雑グルメ映画」という一面もありますけども。
メインテーマは、クッキーと中国人男性の友情物語。
牧歌的な空気が漂っている作品ですが、根底には犯罪、カネ絡み、命がけ、という大きなリスクが2人の友情に襲いかかってきますね。
はたして2人の友情はどうなっていくのか、その運命を観客の感性にゆだねた幕切れが、なんだか切ないです。
「乳搾り」が運命の明暗を分けるという珍作でした。
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