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「イニシェリン島の精霊」★★★ [映画日記]

TheBansheesofInisherin.gif

 

お薬でも製造している島でしょうか?!(←インシュリンかペニシリンかい)

 

時代は1923年、アイルランドの小さな島「イニシェリン島」にて、友人同士の「絶縁騒動」を描いたドラマ作品です。

 

序盤から、牧場を営む男性主人公パードリックは、親友である年上の友人コルムから「もう話したくない」と絶交宣言されています。

 

ある日、突然「アンタなんかフン!」なんですよ!

 

「なんで?」と問うパードリックと、理由を述べるコルム。

 

昔わたくしも、絶交をしたこともあるし、されたこともあるので、両者の気持ちがよく分かりました。

 

もしかして、この映画は「あるある映画」なのでしょうか?!

 

こういうの、切ないけれど、仕方ないのよね〜。

「寿命が短い友情もある」っていうか〜。

 

友情を育てる物語は数あれど、崩壊をメインに据えた映画は珍しいかも〜。

 

数ある人間関係の中でも、痛いところを突き、汲み上げている物語だと思いました。

 

劇中にて、2人の関係は極端にこじれますけども。

リアルな世界でも、そこまで極端ではないけれど「まあまあこじれるよね」と思って、共感できました。

 

長いこと生きていると、友人と絶交することもあるでしょうけども、この映画を観て、改めて「絶交するなら、円満絶交を目指したい」と思いました。

 

目標「きれいな絶交」ですよ!

 

そんな作品でしたけども。

 

「昔の孤島」という閉鎖的な環境が、人間ドラマに深み与えていました。

 

職も人口も少なく「何かやりたくても選択肢がない」っていう人生ですね。

 

「自分らしい何かを創作したいけど、手段がない」とか、「気の合う友達を作りたいけど、周りにいない」とか。

 

多様化の逆を行く土地柄は、作品の世界観である孤独感や荒涼感を、色濃いものにしていました。

 

製作・監督・脚本のマーティン・マクドナーさんは、元々戯曲の作家さんですけども。

 

今作は、手掛けてきた映画作品の中でも、とくに戯曲っぽい、硬派な印象を受けました。

 

でも、今作のジャンルは一応「ブラック・コメディ」なんですよね〜。

 

言われてみれば「ブラック・コメディかな」と思いますけども、鑑賞直後の印象は「日常スリラー」でした。

 

タイトルの「精霊」って、「見えない何か(呪いとか呪縛とか)」って言う意味なのかな〜。

 

主人公パードリック役は、近年活躍が目覚ましいコリン・ファレルですよ。

 

「こんな優しいコリン・ファレルを見たことない」と思うくらい、のどかな、牧歌男子っぷりにビックリ。

 

またしても、新しい演技の引き出しを見つけたようです。

 

パードリックは独身で、同じく独身の妹と、同じ部屋で寝てるんですよね〜。

 

いい年した兄妹が仲良く2人で暮らしていて、微笑ましかったです。

 

飼っている黒いロバは、赤いリボンを付けていてかわいい〜。

 

絵本から出てきたみたいな動物〜。

 

「コリン・ファレル × ロバ」っていう取り合わせもレアでした。

 

コリン・ファレルと共に、マーティン・マクドナー作品の常連であるブレンダン・グリーソンがコルム役を演じていますけども。

 

もうブレンダン・グリーソンに、アカデミー賞助演男優賞をあげて良いと思います。

 

67歳だし、今「あげ時」じゃない?!(←「死んじゃう前に」ってこと?!)

 

パードリック宅の「近所に住んでる変な子」役はバリー・コーガンが演じていましたけども。

 

本当に上手くて、バリー・コーガンって天才だと思いました。

 

ふと、若い頃のディカプリオを思い出しました。

 

これでもう、バリー・コーガンはマーティン・マクドナー作品の常連になったと思います。

 

そのうちアカデミー賞を取る子、伸びる子ですよ!

 

 

The Banshees of Inisherin: Screenplay

The Banshees of Inisherin: Screenplay

  • 作者: Cox, Seth
  • 出版社/メーカー: Independently published
  • 発売日: 2022/12/20
  • メディア: ペーパーバック

nice!(3)  コメント(9) 
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コメント 9

より

お久しぶりです!観てきました!そして2回目をなまた観に行く予定です[ほっとした顔]
風景と俳優陣最高ですね!ブレンダン!もちろんアカデミー賞取ってほしいですが、バリーコーガン!凄い衝撃でした!野村さんの仰る通り天才ですね!
ダブル受賞してくれないかな、助演男優賞!
マーティンマクドナー監督と相変わらず鋭い感覚で、舞台劇、翻訳バージョン映画館でやって欲しいですね!
by より (2023-02-08 12:42) 

のむら

よりさん。
観たんですね!そして、また観るんですね!この作品、舞台化してほしいですよね〜。日本語に翻訳して、日本人キャストで舞台化しても、なんとなく上手くいきそうな気がします。バリー・コーガンは、過去の出演作でも「変な子」役が多いですが、今作は決定版ですね。「変な子」役を、まるで演じていないかのように自然と表現できるって、すごいですよね〜。
by のむら (2023-02-09 00:39) 

M

やっと観ました!最初、オッサンたちのゴタゴタに興味がもてず眠くなりましたが、狭い村社会での友人同士の争いは、アイルランドの内戦の比喩。100年前も現在も人間は無益な争いを繰り返していると、今回のマーティン・マクドマー監督わかりやすかったです。
ケンカの当事者でなく、最後、アンタかい!なドミニク(バリー・コーガン)が気の毒でした。予定調和な終わり方をしないのは良かったですね♪
ちなみに私は絶交をした事もされた事もありません☆
by M (2023-02-15 18:55) 

のむら

Mさん。
なんと、Mさんは絶交とは無縁なんですね!てっきり、絶交とは一般的なものと思っていました。それとも、わたくしの性格が悪いだけなのか?!映画観たんですね!バリー・コーガンがオチ担当だったのかもしれませんね。何かでオチを付けないと、締まりませんしね。バリー・コーガンの家族関係も、なかなかスパイシーでした。「オッサンたちのゴタゴタ映画」の決定版になりましたね〜。
by のむら (2023-02-15 20:18) 

ちびまま

前提からして、コルムって孤島には珍しい世界を見てきたひとで、無知蒙昧を絵に描いた様なパードリックとは水と
油。なぜ親友?になり得たのかが訳わかめ。ただたまたま一緒に酒のんでで、一方的に片想いしてただけか。私も子供時代、少々知的障害のある子に親切にしたお陰でやたら、べったらつきまとわれ絶交する訳にもいかず苦悩した事があります。精霊って死者を予言して叫ぶバンシーを意味してて(原題)あの奇怪な婆さんの事だと思うけど、精霊より悪霊の訳が正しいと思う。パードリックが婆さんが来るのを見て慌てて石垣の陰に、隠れて立ち去ったと思って立ち上がったら、婆さんが目の前にいる場面、ドリフのコントの様で爆笑(笑)ロバのジェニーちゃんが可愛いくて、可愛くて、同じくバリ-・コーガンも可愛いくて愛しくて、パードリックの妹に、求婚する所妹さんが優しく断る所、泣けました。彼にオスカーあげて欲しい。
しかしあんなに簡単に指切って消毒もちゃんとして無い様だけど、島には敗血症って無いのでしょうか?
余談ですが一寸前にNYの舞台でみたクリストファー・ウォーケン主演、マーチン・マクドナー脚本・演出の「スポケーンの左手」も少年時代に切られた左手を賞金かけて探しだそうとするヤクザの話でした。なぜかぶったぎるのが好きな監督の様です。
by ちびまま (2023-02-18 10:29) 

のむら

ちびままさん。
舞台「スポケーンの左手」を観ていたんですね、すごい〜。ウィキペディアの情報によりますと、公演は2010年とのことで、「13年も前からマーティン・マクドナーに目をつけていたとは、さすが、ちびままさん」と思いましたが、ちびままさんが大好きなウォーケンが主演だから舞台をチェックなさったのかな。映画を観て、僕も「ぶった切りすぎ」と思ってしまいました。そうそう、消毒とか処置しないと大変なことになりますしね。マクドナーさんは、どうしても、ぶった切りたい性分なのでしょうね。
by のむら (2023-02-18 15:04) 

ちびまま

バリー・コーガン君が英アカデミー賞の助演賞とりました!良かった良かった!
by ちびまま (2023-02-22 10:22) 

ちびまま

助演女優賞はケリー・コンドンでしたが、それ程演技力が必要な役とも思わなかったけど。また、白人ばかりの受賞と騒がれでましたが。
by ちびまま (2023-02-22 14:37) 

のむら

ちびままさん。
バリー・コーガン、ついに受賞しましたね!もしかしたら、米アカデミー賞もいけるかな?!ケリー・コンドンは、「男性に嫌味を言われながらも、夢をかなえようとする強くて優しい女性」という役が良かったですね。好感度が高い役は、票も獲得しやすい気がしています。
by のむら (2023-02-23 00:40) 

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