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「この世界の片隅に」★★★★ [映画日記]

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戦時中の広島を舞台にしたアニメ映画ですけども。

スタジオ・ジブリのアニメ部門って無くなったじゃん。

あれだけ一世を風靡しておきながら、消え去ったじゃん。

キレイサッパリですよ、除菌したての赤ちゃんのお尻みたいに!

「火垂るの墓」みたいな、戦争をテーマにしたアニメを作る者がいなくなってしまった・・・と、残念に思ってました。
戦争アニメなんて誰も作りたがらないし。
作ったって売れませんしね。

そんな2016年に、「この世界の片隅に」という素晴らしい戦争アニメを世に放ってくれた製作陣に、まずはお礼を言いたいです。

テンキュ!(←フランクすぎますか)

作品に情熱と信念をそそいで、見事なお仕事をされてます。

どうせさ~、アニメ制作をしてる人なんてさ~、給料安いんでしょ~?

どうせ毎日「大根めし」なんでしょ~?(←「おしん」の世界かい)

そんな生活環境の中、戦争アニメを作ってくださるという姿勢に頭が下がったわい。

垂れたわい、頭(こうべ)を!

戦争という題材をアニメ化する利点は、若年層の食いつきがよい。

ペディグリーチャムに食いつくワンコみたいなもんですよ!

残虐な場面も、アニメだと柔らかく観る者の中に吸収。
口当たりは柔らかいけども、残虐さは、心にスタンプが押されたみたいに残るもの。

食べ始めより、食べた後に辛味がやってくる豚キムチみたいなもんですよ!

食べた後、いくらお水を飲んでも辛味が引かんの!!

作品は、広島県呉市に主婦として暮らす女性の濃密な日常を、勢いよく描いておりますが。

まずはユーモアが満点。
基本的に楽しくて、ほんわかしている世界観がたまりません。

戦争映画でありながら、ヒロインのすずちゃんがボケ担当なんですよね〜。

戦争を、ボケでお返し!

メリケンにボケをお見舞いすんのさ!!

おかげで、グイグイ最後まで観てしまう。

つられてしまうんですよ、電灯の明りにつられてしまう蛾みたいに!

これは戦争映画には大事なことですよ。
より多くの人に的確なメッセージを伝えたいなら、ラストシーンまで飽きさせてはなりませぬ。

寝かせたらいかん!

スティーブン・スピルバーグとか大物監督だって、戦争映画ではエンタメ要素を入れて庶民の気を引きまくる。

それが有名監督のお役目!

そういう意味では、「この世界の片隅に」もスピルバーグ並みの手腕を見せているといっていいでしょう。

そして劇中、残虐な場面も詩的な表現で処理しているところにもグッときます。
戦争という暴力に対して、アートで答えてるんですよね。
反戦の表現が粋〜。

戦争とは、遠く離れた敵国で、のどかに暮らしている女子の心と体を破壊する・・・。
戦争の切り口が「女子」なんですよね~。

ガールなんですよ!

そんなところも今のアニメ好きな若者に受け入れやすいんじゃないかな~、と思いました。


ノベライズ この世界の片隅に (双葉社ジュニア文庫)

ノベライズ この世界の片隅に (双葉社ジュニア文庫)

  • 作者: こうの 史代
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2016/12/21
  • メディア: 新書

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コメント 8

すだち

のんさんの声がとても良かったです。堂々たる天然ボケというか、醸し出す雰囲気はふわふわと頼りなくて緩いんだけど、実はしっかりと地に足がついているような、そんなすずちゃんのキャラクターにはのんさんの声以外ないくらい、一体化していたと思います。
すずちゃんとまわりの人々にとって大きな出来事がありますが、そのシーンがとても印象的でした。記憶をたどるときに脳裏に浮かぶ映像があんな感じで、焦点を結ぼうとしてもなかなかうまくいかなくて壊れてしまう、まるで瞼の裏側の世界のような。 理不尽にも、その出来事ですずが背負うことになってしまった後悔や自責の念を、どんな言葉や音楽や映像よりも、あの闇と静寂が見事に表しているなぁ、と。観終わってみると、小さなお子さんより、大人(中学生以上かな)が見ていろいろと考えさせられるアニメ作品だと思いました。
ということで、今年もよろしくお願いいたします。
by すだち (2017-01-01 02:52) 

のむら

すだちさん。
観たんですね!のん、意外にも良かったです。キャラに合ってるんですよね〜、大人のボケキャラっていう。僕もまぶたの裏にシーンが印象的でした。アニメらしい見事な表現で、こういう繊細な描写は外人じゃ出しづらいと思いました。あの場面から悲壮感は倍増しますが、時間をかけて、いろんな人の心が修復されていくところも良かったです。今年もよろしくお願いしますね〜。
by のむら (2017-01-01 16:55) 

M

なるほど…若年層の食い付きが良く、心にスタンプを押されたように残る。私も子供の頃に読んだ松谷みよ子さんの小説(ほんのり戦争もの)がトラウマのように頭から離れません。口当たりが良いのに衝撃的な作品は、あなどれませんね。
今年ものむらさんのブログ、楽しみにしています!
by (2017-01-01 21:01) 

aneurysm

ジェームズキャメロン監督が
実写かアニメか知りませんけど
はだしのゲンを作りたがってるそうです。
世の中が戦争なっちゃうと映画どころじゃなくなるんで
こういう作品は重要に思います。

ことよろです、

by aneurysm (2017-01-02 00:54) 

それいゆ

2016年最後の作品がこれでした。
確かに!ガールズムービーでした。
テーマ曲も、カフェで流れそうなやつだし。
原作持ってるのに要所を忘れてたので、新鮮に見れて、ぽろぽろ泣いちゃいました。
鑑賞後、「世界の片隅に私を見つけてくれてありがとうね」なんて見終わったカップルが使うんだろうなぁ…って、周りを見渡したらリアルに戦争を知ってそうなおじーちゃんおばーちゃん(しかもお一人様)が何人かいました。
あの人たちに、コトリンゴの曲が響いてくれればいいな。
by それいゆ (2017-01-02 13:17) 

のむら

Mさん。
そうなんですよ!戦争映画って口当たりがハードだと、観る前に敬遠しちゃうんですよね、とくに今の若者は。その点、この映画は口当たりが柔らかいところが最高でした。今年もよろしくお願いします〜。

aneurysmさん。
ジェイムズキャメロンて日本漫画に相当詳しいですよね。はだしのゲンは、忠実に映像で再現するのは困難でしょうね。原作をアメリカ人も読んでいるのは嬉しいです。今年もよろしくお願いします〜。

それいゆさん。
どこか、素朴で清潔感のある作風だったとこも、女子が食いつきやすくて良かったと思います。あの音楽も言われてみればカフェっぽいかも〜。年配の方にも響いてくれてればいいですね。今年もよろしくお願いします〜。
by のむら (2017-01-02 18:13) 

kaetteyo

観て来ましたよ。暮れも押し迫った仕事納めの日。
車を1時間飛ばして(地方在住なので、上映館が遠くにしかない、泣)

いやぁ~、すごい映画ですね。

何だろ、このザワつき感。。。あの時代に生きた人々の様々な思いが、ひたひたと押し寄せてくるような。。。

終戦の時期になると「火垂るの墓」が放送されるように、この映画も、静かな反戦映画として時代を越えて観続けられていくことでしょう。
by kaetteyo (2017-01-05 12:57) 

のむら

kaetteyoさん。
仕事納めに日に観なすったんですね!遠くまでお疲れさまでした〜。しかし、遠くまで観に行く価値のある映画だったと思います。いろんな人が描かれていて、それぞれの思いが爆発したり、静まったり、立ち直ったり・・人間味がスゴかったです。僕も、この作品が、新たな戦争映画の定番として、テレビで放送され続けると良いと思います〜。
by のむら (2017-01-05 21:03) 

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