「シンデレラ」★★★ [映画日記]
女の幸せ=玉の輿!
…っていう、今となっては古い価値観を持つ「シンデレラ」を、ディズニーでない会社がミュージカル映画化。
劇場公開はあきらめて、Amazonプライム・ビデオで2021年9月に配信されました。
「シンデレラ」の概念を気持ちよく壊している内容でした、もう「ガラスの靴」とかどうでもいいんですよ!
痛快なファンキー・メルヘン映画に仕立てていて、なんかディズニーさんにケンカ売ってるみたい。
「今、童話を映画化するなら、これくらいやらんかい」っていう、ディズニーさんへの刺激なんですよ!
風景や衣装など、世界観は童話のままなのですが、お城の広報担当による業務連絡はラップだし。
城下町の人々は、ストリート・ダンサーっぽい現代的なノリ。
そんな舞台で生きるシンデレラは、なんと夢を持っています、店を出したいっていう!
稼ぎたいんですよ、出店で!!
今作でのシンデレラは、まさかの、仕事と結婚の板挟みになる女。
まるでトレンディ・ドラマなんですよ!(←死語)
シンデレラの具体的な仕事内容は「自作の洋服を売りたい」っていう。
服のデザイン画を、描いて描いて描きまくる、コシノ三姉妹みたいなシンデレラ!
むしろ、この映画の主人公はコシノ三姉妹でいいんじゃないか、って思うくらい!!
継母も出てきて、昔ながらの嫌がらせを披露。
シンデレラの一張羅に、「フン、なにさ、そんなドレス」とインキをまいたわい!
「これはなかなか、良いイジメ場面が見れるのではないか」と思いましたが予想はハズレ。
嫌がらせは「インキまき」がピーク!
「あたしだってさ〜、好きで嫌がらせやってるわけじゃない、っつーか」みたいな暗い顔をする継母。
なんと、今作の継母は「夢をあきらめた女」として描かれてます。
夢を追うシンデレラと対照的な、裏ヒロインなんですよ!
どうやら、作品のメインテーマは「性差別」らしく、社会で不当な扱いを受けている女性たちが続々登場。
お城にいる王女様も、王様のわがままに嫌気。
王子様には、なんでか妹がいて、彼女は政策に興味を持っている政治女!
しかし妹は、王様に政治の話を聞いてもらえないという不満を抱え。
シンデレラの世界に、こんなにも性差別の要素が組み込めるとは驚きです。
「なるほど〜、女性の生き方をフィーチャーしたお話なんだね」と思っていたら、男性キャラまでもが生き方で悩んでるではないかーっ!
なんと、男性に対しても「自由にお生きよ」みたいな内容。
さらに言えば「働き方改革」まで組み込んでいて、本格的・次世代・社会派・童話に昇華〜!
好きだよね〜、アメリカ人は、こういうの。
シンデレラ役は歌手のカミラ・カベロで、歌唱力は最高。
背も小ちゃくて、かわいい〜。
しかも、今どきの小娘感を出すためか、チャキチャキした陽気なキャラ設定。
おキャンでした!
継母役は、「アナ雪」のエルサ役でおなじみイディナ・メンゼルさんですよ。
カミラ・カベロと顔をつき合わせた「歌い合い」場面もレアなのですが。
今作のイディナ・メンゼルさんは、頼りにされているのか、フルコーラスで歌う曲が2曲もあった〜。
そのうち1曲は、オリジナル楽曲っぽい「継母ブギ」的なやつ。
「アナ雪」の主役声優を継母役に起用するなど、このあたりにもディズニーへの目配せが感じられました。
結構な当て擦り映画でした!
Cinderella (Soundtrack from the Amazon Original Movie)
- アーティスト: Cinderella Original Motion Picture Cast
- 出版社/メーカー: Epic
- 発売日: 2021/09/03
- メディア: CD
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