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「プリシラ」★★★ [映画日記]
ソフィア・コッポラ監督が、ガーリー路線に帰ってきました。
生娘回帰ですよ!
エルヴィス・プレスリーとプリシラ・プレスリーの恋物語を、全編プリシラ目線で描いています。
エルヴィスも(ほぼ)プライベートの姿でしか出てきませんよ。
孤独な女子中学生プリシラが、世界的セクシー男性タレントであるエルヴィスに見初められて、密かに交際を始めるけれど…というお話。
女子の夢物語ですよ、プリンセス・サクセス・ストーリー!
これは、つまり「午前0時、キスしに来てよ」みたいなもんでしょうか?!
「エルヴィス映画」で「ヒロインもの」という、今までありそうで無かった作品になっていますね。
近年では、同じくエルヴィスを題材にした映画「エルヴィス」(2022年)がありますけども。
あれとは全く違う風合いで、「切り口が違うとこうも変わるのか」と思いながら、十分に楽しみました。
エルヴィス宅でのホーム・パーティーにお呼ばれし、エルヴィスの自室に招かれるプリシラ。
そこで着替えるんですよ、勝負シミーズに!
観ているわたくしまでドキドキしてしまいました、自分も勝負シミーズに着替えたような気になって!!
そして2人でベッドに寝転がると、ウズウズ、モジモジするプリシラさん。
抱かれたがってんの!
わたくしがかつて大好物だった映画「トワイライト~初恋~」(2008年)でも観ているかのような気持ちになりました。
エルヴィスが仕草などから醸し出す、「イケてる彼氏感」も凄まじいです。
この映画に別題を付けるなら「ボーイフレンド・プレスリー」ですよ!
「男性をアイドル化させる」演出力は、さすがソフィア・コッポラ監督ですね。
「女子が憧れる理想のボーイフレンド像」を見事に作りあげていたと思います。
驚いたのは、エルヴィスと初めて会ったときのプリシラって、まだ14歳だったんですね!
女子中学生ですよ、まだ「女児上がり」!
中学生時代から結婚に至るまでには、エルヴィスがプリシラを自宅に住まわせたり、教育環境を整え育てあげたりして、約8年もかかってますよ。
エルヴィスさん粘り強いです、なかなかの育て上手!
きっと、トマトやゴーヤの栽培もいけますよ、派手に見えて実は草むしりもやれる人~!!
高校時代にはエルヴィスと本宅的な交際、同棲を始めるプリシラさんですけども。
お付き合いしはじめると、「女子が憧れる理想のボーイフレンド像」とは違う、交際相手の本性が見えてくる、というダークな展開も。
一緒に寝泊りして分かることもありますよ、「放屁ぐせ」があるとか、口が臭いとか!
結婚~出産の段階になると、2人のテンションが急降下するのも面白いです。
同監督作「マリー・アントワネット」(2006年)もそうでしたけども。
ヒロインがお姫様の地位から退いたとたん、物語もあっけなく、パッと終わるんですよね~。
「地位を失うと夢も希望も全て消える」という、セレブ特有の恐怖観念を拾い上げているのは、実生活がセレブであるソフィア・コッポラさんらしい感性だと思いました。
「アイアンクロー」★★★ [映画日記]
1980年代を中心に活躍した米国のプロレスラー一家、「フォン・エリック・ファミリー」の「栄光と影」を描いた作品です。
一家が手に入れる輝かしい実績とは裏腹に、一家を襲う悲劇の数々にビックリ。
結構ありますよ、悲劇量。
どんぶりに大盛り!
実際の悲劇はもっとあるそうなのですが、映画の尺に入らずカットしたのだそう。
この一家、ネタの宝庫だったんですね〜。
こんだけのネタを持っていながら、2024年になるまで、よく映画化されなかったと思います。
伝説の大物レスラーであった父と、父の指導でプロレスラー界入りした5人の息子たちがメイン・キャラクター。
父と母は円満なご様子ですよ。
いい年して、父は母を抱いてるご様子ですし!
とくに虐待もなさそうで、兄弟も仲良しのようなのですが、一体どうして、1つの家族が、こんなに多くの悲劇に見舞われるのか、不思議でなりません。
米国では一家のことを「呪われた家族」などと称しているようなのですが。
「なるほど、呪われているようにも見える」と、思ってしまいました。
今作は、どこかスリラーっぽくもある、異色の「スポーツ映画」になっていますね。
プロレスラーでも心は弱いのでしょう。
見た目いかつい方が、中身は繊細なもんですよ!
有名レスラーの息子として生まれた兄弟には、きっと我々庶民には理解もできない、知られざる重圧があったのかな~、と思いました。
悲劇の具体的な理由は、劇中ではボカされていましたので。
「お察しします」としか言いようがありません。
主人公を1人立てて、彼の目線で物語が進むという構成。
主人公で、兄弟のリーダー格であるケビンを演じているのがザック・エフロンですよ。
ザック主演映画は数多く観ていますが、今作は、初めての「大人向けザック映画」なのではないでしょうか。
ザックは、筋肉モリモリで肉体改造は完璧。
パーペキですよ!(←死語)
役の見た目に寄せるタイプの役作りをしていて、これはザックにとって勝負作になったと思います。
「ザックならジム通いもするよね」と、ザックの肉体改造は想定内でしたけども。
弟デビッド役ハリス・ディキンソンも(まあまあ)体を鍛えて出てきてビックリ。
「キングスマン:ファースト・エージェント」等に出演しているハリス・ディキンソンは、本来は細身の英国男子ですよ。
それが、アメリカの1980年代の派手なプロレスラー役を、立派に演じて見せるのだから、役者さんてスゴイですよね。
「インフィニティ・プール」★★★ [映画日記]
劇場で鑑賞中、おなかがゆるくなってしまい。
ラストシーンまで持ちこたえることは難しいと判断。
「持たん!持たんぞ!」と脂汗!!
わたくし、上映途中でまさかの一時退席〜。
これは英断でした、よくやったよ自分!(←ホメホメ)
というわけで、ストーリーの一部は観ることができませんでしたが、その後はラストシーンまで楽しんで、作品の全体像もなんとなく理解できています。
いつも映画を観ている途中でウトウトしているから、こういう事態には慣れているのでしょう。(←もっと恥じて)
南のリゾート・アイランドを舞台にしたスリラー作品ですね。
トロピカル・ホラーですよ!
アレクサンダー・スカルスガルド演じる売れない作家が、バカンス中に体験する恐怖を描いています。
なんと、その島には「人間を複製できる」という特殊技術が根付いていて、何かトラブルがあるたび人間を複製しています。
そういう風土なんです!
騙されて事故を起こした主人公が、警察につかまって複製されてしまう、という展開です。
罪や罰は、全てクローンが承ります。
責任を取ってくれるんですよ、あの子たちが!
主人公は、性と暴力にまみれた狂った世界に堕ちていきますが、それは欲望のままに生きていける場所。
実は、そこは「天国にいちばん近い島」by 原田知世なんですよ!
全体を通して、作家(クリエイター)の「逃げ」や「甘え」を描いていたと思います。
性と暴力の要素は、まあまあ強めで、表現も直接的でした。
とってもハードで、攻めた作風になっていますね。
ブランドン・クローネンバーグ監督は、変態色が特色の奇才デヴィッド・クローネンバーグの実の息子さんですけども。
今回、初めてブランドンさんの作品を観ましたが、(今作においては)父の変態遺伝子は受け継いでいないのではないか、と感じました。
はい、息子さんは変態ではありません。(←認定?!)
異常に見える行為もありましたが、「とくに変態というほどでも。割とノーマルだよね」と思いながら鑑賞いたしました。
役者さんのスター感と、瞬発力ある演技にも助けられて、どっちかっていうとメジャー感のある作品に見えました。
もしかしたらブランドンさんは「そろそろ売れたい」と思っているのかもしれません。
共演は、「Pearl パール」等のミア・ゴスなのですが、今回のミア・ゴスも最高〜。
「悪い女」役を嬉々として体現していて、本当に悪い子みたい。
ハリウッド表通りの最旬女優がアニャ・テイラー=ジョイならば、裏通りの女王様はミア・ゴス様であると実感いたしました。
「オーメン:ザ・ファースト」★★★ [映画日記]
「トップガン マーヴェリック」以降、ハリウッドでは有名作の続編・リブート製作ブームが続いてますね。
今度は「オーメン」ですってよ!
ホラー映画「オーメン」(1976年)の前日譚が、2024年に新作として完成いたしました~。
ビル・ナイも神父役で出演していると聞いて「ふ~ん、悪魔祓いでもやんの?」と思ったら違いました。(←それはエクソシスト)
「オーメン」の名物キャラクターで悪魔の子であるダミアンの誕生秘話を描いた内容。
ハッピー・バースデー・ダミアンですよ!
わたくし、冷静に思い返してみると「オーメン」(1976年)を観たことがありませんでした。(←昔は映画ファンではなかったので)
そんなわたくしですが、多少の知識はございます。
「ダミアンが悪い子」程度の認識はございます!(←貧弱な知識ですか)
そんなわたくしでも、今作は十分に楽しめました。
製作陣は、大変マジメで、純粋にイヤな後味をもたらすホラー映画を作ろうとしていました。
真摯に取り組んでらっしゃいました、イヤな映画の製作に!
女性を題材にしていながら、女性を痛めつける場面が見どころ、という、メジャー作品としては稀なタイプになっています。
これは、とんだ不良映画ですよ、札付きの!
近年は、SNSでの炎上を意識して品行方正な映画が製作され続けているので、今作の「お行儀の悪さ」は新鮮で、好意的に映りました。
今作ではポリコレも皆無です。
0%ですよ、降水確率に例えれば!
今どき「ポリコレ皆無」っていう米国作も珍しいです。
主人公でヒロインのマーガレットは、米国からローマの教会に転属してきた若い修道女。
しかし、転属先の教会には大きな秘密と闇が存在していた、という展開です。
清純キャラとして登場するマーガレットですが、中盤からの急展開で、かなりメチャクチャにヨゴレてビックリ。
最初と最後では、マ逆の扱いになっていて面白かったです。
ダミアンが生まれるまでの道筋にも納得できたのですが。
どうやら、続編製作も視野に入れているようなラストシーン。
再び「オーメン」でひと儲けしようとする製作側の腹にも、悪魔が棲んでいる気がしました。
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