「SHADOW/影武者」★★★ [映画日記]
チャン・イーモウ監督の新作ですよ。
中国の巨匠さまですよ、大旦那さま!
なんでも、「三国志」内のエピソード「荊州争奪戦」を独自にアレンジしたお話らしいです。
まずは「荊州」という字が読めませんでしたけども!
イーモウさんの作風イメージから「カラフルで華麗な作品なのかな」と思って観てみたら全く違う〜。
舞台である山里や建物、ファッションも含めて、シックなモノトーン。
屋外は常に雨がザーザー、霧がモクモクで結構な湿度感。
蒸し蒸ししてんの、洗濯物も乾かない状態!
鑑賞中は、水墨画の中に入り込んだかのような感覚に。
さすが、美意識の高さを感じました。
そんな、しっとりとした世界で、重臣と、重臣の美人妻、重臣に瓜二つの影武者が、ドロついた心理ドラマを繰り広げますよ。
重臣と妻と影武者の三角関係、みたいな。
妻は夫にそっくりな影武者に抱かれてしまうのか?…という「抱かれ問題」。
影武者も、本当は人妻を抱きたいけれど抱けないという「ガマン問題」。
そんな寝室での出来事を、実夫が覗き穴から盗み見る「穴問題」等、性的なシチュエーションにハラハラいたしました。
重臣と美人妻が向かい合い、気持ちの高ぶりを琴の演奏で表現し合う場面がオモローイ。
夫婦の間には、暴力も暴言もありません。
ただ奏で合う。
弦のはじき合いなんですよ!
音楽夫妻だったのでした、山下達郎&まりや夫妻みたいな!!
夫婦役を演じた俳優は、実生活でも夫婦なんですね。
どおりで息がピッタンコでした。
後半のアクションは、ド派手で最高〜。
傘の骨部分が全て刃物になっている、という武器がコワくて楽しい〜。
「傘包丁」ですよ!
潜水する場面では、人々は何やら、背中に背負った竹の筒から伸びている管をくわえています。
みんなホースをくわえてんの!
もしかして酸素補給ですか?
もしかしてボンベ!?
昔の中国人ってスゴイ、と思わせる場面の連続でした。
主人公の影武者に関する物語は、結構かわいそうな内容でしたけど、映画的には盛り上がったと思います。
幕切れも、巨匠らしくセンスよくまとめてました。
王の若い妹が、かわいかったです。
髪型はツインテールですよ!
荊州のアイドルと化していました。
「荊州」という字は読めませんが。