「スイス・アーミー・マン」★★★ [映画日記]
2016年の作品ですけども。
ダニエル・ラドクリフ扮する死体の背中にポール・ダノが乗っかって、勢いよく海上を疾走するビジュアルが強烈。
親亀の背中に子亀が乗ってるみたいな姿ですよ!
その絵づら重視の作品だと思ってました。
「映え重視」ですよ!
無人島で自殺しようとするポール・ダノが、ビーチで死んでいるラドクリフを発見るする、という物語の序盤から、ものっすごく「つまんない映画臭」が漂っています。
ツンときてますよ、刺激臭!
ラドクリフの尻からガスが噴出していることに気付くポール・ダノ。
漏れ出してんの、でん部から!
ラドクリフの背中に乗れば、海上をモーターボートのような感覚で進めるのではないか、と、ピンとくるポール・ダノ。
冒頭から炸裂するおバカ・テイストに、ボクちゃんも「これは絶対につまんない映画」と思っていたのですが。
その後の展開は驚きの連続で、持ち直しますよ。
どういうわけかラドクリフとポール・ダノが生について議論する、摩訶不思議なサバイバル劇に発展。
どういうわけか、死にまつわる2人が、生きる喜びを味わうことに。
ポール・ダノにとって、ラドクリフはもう1人の自分なのか、愛する対象なのか、生き方を指南する神なのか、それとも幻覚なのか…。
基本的に2人芝居ですが、なんか複雑〜。
ちょっと哲学的な感じ〜?
まるで偉人伝のような、大げさなクライマックスを迎えますけども。
最後まで観ても、何が何だか分かりませんでした。
正直チンプンカンプン!
しかし、「つまんない映画」という感じでもありませんでした。
とっても変わっていて、いい感じにクレイジーな、おバカ・コメディ作品に仕上がっておりました。
ポール・ダノは普通に上手いのですが。
ラドクリフは、イジられっぷりが激しいです。
世界的代表作ハリー・ポッター役での清純派を逆手にとった、おバカ・ネタのオンパレード。
観ながら苦笑いしてしまいました。
含み笑いですよ!
尻からはガス、口からは飲料水を出し、肉体は拳銃の代わりになったり、刃物の代わりになったり、体中が武器になるラドクリフ。
なんという優れたボディ。
ああ、便利グッズみたいな死体!
万能器具「スイス・アーミー・ナイフ」をもじったタイトルは、ラドクリフのことだったんですね〜。
ザック・エフロンもそうですが、清純派アイドルとして売れた男優は、大人になると、シモネタや変装で笑いを取り、イジられキャラのポジションに収まる傾向。
みんな手探りで生きてっから!
今回のラドクリフは、とくにヨゴレていました、悪い意味で!!
まるで「下積み時代」みたいなシモネタを披露していてビックリ。
本当のラドクリフは大富豪なのにねぇ!
とくに、下半身ネタの、やりすぎ感がスゴかったです。
ハリー・ポッター・ファンの夢をぶち壊す、なるほど確かに悪夢的な作品でした。