「ROMA/ローマ」★★★☆ [映画日記]
Netflixオリジナル作品ですよ。
時代設定は1970年代で、主な舞台はメキシコシティのお医者さん宅。
インテリ家ですよ!
そこに住み込んで働く家政婦クレオを描いておりますけども。
今まで観てきたNetflix製の映画の中では、トップのクオリティだと思います。
当時の街並や田舎風景を細部まで再現しつくしたモノクロ映像が、圧倒的な美しさ。
ああ、蘇える昭和~!
出てきてもおかしくないですよ、美空ひばりや石原裕ちゃんが!!
そんなモノクロ映像の明暗と、劇中で扱われるテーマ「貧富」の明暗がクロスオーバー。
さらに、明暗を分けた「女性2人の人生」まで描かれていて・・・。
もう明暗、明暗で、目がチカチカしたわい!
基本的に、家政婦クレオの日常を追った内容。
お医者さん宅では犬を飼っていて、スゴイですよ、その糞量。
駐車場とか、大便だらけじゃんか~常に!
もう駐車場というより、駐フン場~!!
子どもが駐車場で遊んでいる場面では、フンを踏みゃあしないか心配に。
目が釘付けですよ、子どもの足と大便に!
機嫌の悪い奥さまが家政婦クレオに言いますよ「便くらい掃除しなっせ!」と。
フン見て、ついにキレたんですよ!
割と、中盤までは便に縛られた内容。
便映画でしたけども!
「このまま、特別なことは何も起こらないのかな。便以外は」と思って観ておりましたところ。
家政婦クレオが、ボーイフレンドに抱かれてからは、地味ながらドラマチックな展開に・・・。
結果的に、人間ドラマ作品だったと思いますが、それは個人レベルの人間ドラマ。
壮絶体験は、個人個人に訪れるもの。
誰でも人生の問題は1人で抱えて、1人で解決するけれど、よく周りを見渡せば助けてくれる人もいる。・・・という、ささやかな個人ドラマが、いじらしすぎて胸を打ちました。
クライマックスのビーチの場面も、ものすごく良く撮れています。
子役も大熱演していて、奇跡の名場面になっていたと思います。
あの子役グッジョブ。
褒美にチロルチョコでももらって帰んなね!
監督はアルフォンソ・キュアロンなんですよね~。
前作の「ゼロ・グラビティ」では宇宙でのドラマを、今回は個人のインナースペースでのドラマを描いている、という感じでしょうか。
2作のアプローチは180度違いますが、クールな印象は共通~。
あの人の持つ「映画力の幅」を見せつけられた気分です。
物語は、アルフォンソ・キュアロン自伝らしいのですが。
お医者さんの息子が、アルフォンソ・キュアロン自身なのかな?
ボンボンですよ!
Netflix製の映画って、シネコンで鑑賞する商業映画とは全く違うんですよね~。
ライトな客層のために、分かりやすい場面なんて用意いたしません。
全編を辛口表現のまま突っ走る形態に、アルフォンソ・キュアロンの作風がピタッとハマりました。