「一度死んでみた」★★★ [映画日記]
オカルト・コメディです、オバケの喜劇。
オバ喜劇ですよ!(←略しました)
製薬会社の社長令嬢が父親に反発しながら生活しているものの、父親が死んだときには、父の死因の謎を暴いて、無念を晴らそうとする物語。
コメディですが、親子の愛憎劇という題材は、誰にでも受け入れられると思います。
家族が亡くなると愛憎スタイルも変わる、というのは普遍の魅力〜。
いいところを突いた脚本でした。
死んだ父は霊魂となって、娘の目の前に現れたりして、映像もオモローイ。
合成もグー!
死んだ家族が霊になるっていう表現は、ベタだけどグッとくるものです。
込み上げてくるんですよ!(←胃酸過多でしょうか?!)
設定も分かりやすい親切設計だし、とってもキャッチーな作品でした。
キャッチーは、キャッチーなのですが。
なんというか、キャッチーすぎるというか〜。(←わがまま!)
主演の広瀬すずちゃんがデスメタルバンドのボーカル役で、ライブハウスで声を張り上げていたり。
アニメ顔の吉沢亮くんが美貌を封印、存在感のない会社員を演じていたり。
「日本人の誰もが知っている若手タレントを、意外な形で起用した」という、狙い過ぎてるキャスティング。
設定のワクワク感を、一瞬の映像で観客に伝えてくる、見事な演出手腕。
「一度死んでみた」というタイトルや、劇中で使用される「死んで生き返る薬」の名前が「ロミオとジュリエット」からの引用だったり。
いちいち気が利くコピー能力!
全てがそつなくスマートで、不器用さ、泥臭さ、どん臭さ、田舎臭さは一切ナーイ!!
鑑賞中は「この映画、とってもオモロイけどさ〜。なんだかCM監督臭い。全てにおいて広告会社臭い」と思ったら。
後で調べたら、監督も脚本もCM作家さんでした。
電通作家さんですよ!
つまりは、高学歴の高給取りが作った映画ですよ、エリート映画!!
制作への情熱は、稼ぐ情熱。
誰にでも受けいれられようとしているから、カドが無い。
ツルンとノド元を抜けるスッキリ感!
スムーズなんですよ、飲みづらいお薬を、ゼリーに包んでサラッと流し込むみたいに!!
この作品に圧倒的に足りないものは、トゲトゲした作家性だと思いました。
映画の中には、不器用さ、泥臭さ、どん臭さ、田舎臭さは、あった方が良いと再確認できる作品でした。
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