「スパイの妻<劇場版>」★★★ [映画日記]
黒沢清監督、ヤッタネ!
でかした、清!!
この作品で、ベネチア国際映画祭コンペティション部門の銀獅子賞(最優秀監督賞)を受賞してますから。
清さんの美学が存分に活かされ、客もそこそこは呼べそうな「おんな映画」に仕上がってました。
タイトルもキャッチーですよ、「スパイの妻たち」…でしたっけ?(←「極道の妻たち」と混同)
舞台である1940年代の神戸が、建築物やインテリア等を含めて、クールに再現された世界観。
パッと見から粋!
現地で、貿易会社の社長と妻による、国家機密にまつわる危険な駆け引きが描かれてますけども。
社長役を演じている高橋一生さんな〜。
ツルッとした、ハンプティダンプティみたいなお顔の殿方ですけども!
ものすごく仕事が出来る役者さんですね、振る舞い、発声ともに感じを出していて素晴らしかったです。
妻役の蒼井優ちゃんも、すっかり大女優の風格。
演出で指導されているのか、セリフ回しが早口で、昔の日本映画に出てくる美人女優のような話し方。
その演技テクニックは、オスカー女優のよう。
「今回の蒼井優ちゃんは、何かしら大きな賞を受賞するかもしんない」と思いました。
蒼井優ちゃんに1000円賭けたいです!(←競馬かい)
劇中ではある日、妻が夫の行動に疑問符。
旦那に対してハテナマーク!
そこから、夫婦が腹の探り合いを開始。
静か〜に、まさぐり合うんですよ!
淡々としていながら、最後まで観終わると、夫婦間にはものすごい愛憎があったことが判明する、というお話。
背景には反戦や、正義とは何かを問うサイド・ストーリーも展開されて、結構な情報量。
めちゃめちゃ派手な作品ではありませんが、いい感じのオチもあるし、ストーリーには満足感はありました。
また、社長の趣味は映画撮影ということで「フィルムにおさめること(映画)」の多様性が描かれているのがニクいです。
娯楽にも、問題定義にも、記録にも、創作にも、美にも醜にもなる、それが映画、っていう。
劇中で、映画を上映する場面はスタイリッシュ。
映えてんの!
良いアイデアを盛り込んだな〜と思いました。
さて。
今回の清映画にも、序盤から東出!(←東出昌大さん)
監督に気に入られてんね〜昌大!!
しかも、東出さんの「セリフ棒読み」が、またしても効果的に使われています。
今回の東出さんが演じる役は、非情な軍人さん。
感情の薄さを見事に表現、棒読みで!
こうなってくると、東出さんのことを大根役者とは呼びづらくなってきました。
特性が棒読みなんですよね〜、棒読みが「強み」!
高橋一生さんと東出さんの実力は雲泥の差なのですが。
2人のやり取りを観ても、東出さんの不出来が気にならないという、マジカルな作品でした。
某批評家さんが「(国家を相手に秘密を共有することで)夫が自分のものになる、と妻が恍惚とする」みたいにおっしゃっていて。
その方の批評はさておき、清様の女性観は私にはイマイチみたいです。
「おんな映画」を撮ったことで評価されたかな?審査員にはブランシェットも居たようですし。
by sakaya (2020-10-25 06:38)
sakayaさん。
観たんですね!ケイトブランシェットが審査員長だったんですよね〜。蒼井優ちゃんの演技をケイトブランシェット様がご覧になったと思うと、なんかうれしいな〜。今作では、男女の意識の違いも描かれてましたね。主人公は妻でしたが、ズルさのある男性心理の方が際立ってました。「おとこ映画」だったのかも〜。
by のむら (2020-10-25 16:52)
いやあ予告編のみでスルー中なんです…ロックダウン中にブルジョワ夫婦の腹の探り合いは辛いかなあと。
のむらさんの反応で意外に面白いのかなと思い始めたところです。
ブランシェット様はカンヌでも「万引き家族」を推してくれてましたね。
by sakaya (2020-10-26 07:37)
sakayaさん。
そういえばケイト・ブランシェットは「万引き家族」の安藤サクラさんも褒めてくれてましたね!ブランシェット様は来日したときは、1人でフラッと寿司屋に入るそうだし、結構な日本びいきですね。うれしいな〜。「スパイの妻」はアマゾンプライムに入ったときにでもご覧くださいね。
by のむら (2020-10-26 20:56)