「わたしはロランス」★★★☆ [映画日記]
お熱があんの!
…とは言っても例の病気じゃありません。
…とは言っても例の病気じゃありません。
グザヴィエ・ドラン熱ですよ、グザ熱!
「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」公開タイミングで、「グザヴィエ・ドラン監督作を、もっと観ようかな」という気になっているボクちゃん。
踊らされてるんですよ!
そしたらamazonプライム・ビデオで、彼の過去作を発見。
2012年に公開された話題作ですけども。
本編時間3時間弱という尺の長さにビビッてしまい、再生ボタンを押すか押さまいか、しばし悩みましたけども。
「今観ておかなければ、もう当分興味も沸きやすまい。いつ観るか?今でしょ!(←死語)」と、意を決してボタンを押したわい。
「もしもボーイフレンドが突然女性になりたいと言ったら、あなたはどうする?いかがなさいますか貴女なら?」と女性客に問いかけているような作品でした。
メイン・キャラクターは、ひと組のカップル。
ボーイフレンドの「女になりたい」というカミングアウトにより、彼の家族やガールフレンドが影響されて変わっていく様子が、ドラマチックに描かれています。
時代は1990年あたりから始まり、終わる頃には十数年経つという、トランスジェンダーを扱った壮大すぎるラブ・ストーリーにビックリ仰天。
アート感と娯楽感のバランスも申し分なく、3時間弱の尺も退屈知らず。
この作品を、グザヴィエ・ドランが、当時21とか22歳で脚本から監督までこなして仕上げたことに驚愕。
物語の登場人物は、ほとんどが30歳以上で、クセのある者ばかり。
21とか22歳の男子が、これら全てを作り上げてしまったとは…。
観た感じだと、40歳以上の監督が作ったかのような力量と、造詣の深さなんですけど〜。
大体、どうして1990年頃のカルチャーや生活感を、当時21とか22歳の男子が難なく描けてしまえるのか?!
「グザヴィエ・ドラン、紛れもない天才。もしくはサバを読んでいて本当は当時40歳」と思いました。
グザヴィエ・ドラン自身はゲイということもあり、「マイノリティ層の心の叫びを前面に押し出した、社会に対してのいらだち」がメイン・テーマなのかと思いがちですが。
そういう場面もありますけども、どっちかというと、トランスジェンダーを愛してしまったガールフレンドの、揺れまくる心情の方が多く語られているところも驚き。
21とか22歳の男子に、ここまで客観性と表現力が備わっているとは。
アンタ早熟!
映画界の早摘みレモン!!
ボクちゃんが21とか22歳の頃は本当に子どもで、カール食べながらマンガを読んで過ごしてたんですけど〜。
ボクちゃんとは全く違うよネ、器が!…と思いました。
「ジョン・F・ドノヴァンの死と生」と同じく、メイン・キャラクターが、感じの悪い年上の女性記者から、感じの悪いインタビューを受ける、という場面がありました。
当時のグザヴィエ・ドランは、そんなインタビューばかり受けていたのかな。
また、彼の作品特有の、母子の確執場面もありました。
女に幻想を抱いていない。
女の毒々しい部分を描ける人なんですよね〜。
確かに弱冠21歳か22歳(笑)で三時間越えの長尺をまとめあげるドラン監督(脚本)の才能も凄いけど、その弱冠21歳か22歳を信じて莫大な製作資金(一時映画製作に関わってて、とてつもない資金が要るのが分かる たぶん数十、数千億単位)を提供する土壌が羨ましい。日本なら、なにこの若僧がーとか実績がないとリスク冒せないーとか芽を摘むのが当たり前で。メーキャップのカズ・ヒロさんが日本を捨てて米国籍選んだ気持ちが良く分かります。のむらさんなんか今ごろは名似顔絵大家になってもいい頃なのにね(涙)
by ちびまま (2020-03-28 10:01)
そして一旦賞を取ると手の平を返した様にベタベタ近寄ってくる所も嫌だったかもしれませんね。
by ちびまま (2020-03-28 10:24)
ちびままさん。
本当にそうですね!若い才能に大金が集まる土壌って素晴らしいです。日本も、才能やアートを理解して、世界に通用するまで育て上げるようにしないと、いつまで経ってもアカデミー賞は取れないですよね。くやしいです!
by のむら (2020-03-28 17:02)