「凪待ち」★★★☆ [映画日記]
「凶悪」などでおなじみの白石和彌監督の作品。
新作ですよ、KAZUYAの!(←YAZAWA調で)
相変わらず素晴らしいクオリティでした。
もはやKAZUYAブランドですよ!
ブレずに良作を送り出し続けて…。
尊敬に値する監督ですな〜。
川崎のだめんずが東北に行って、人生をやり直そうとするお話なのですが、良い話。
ええ話やわ〜!
良い話ですが、暴力団などの要素を盛り込み、極端ではありますが「田舎町の闇」みたいなものも描かれていて深みがたっぷり。
渋みもしっかりあるんですよ、急須で出したお番茶みたいに!
人間描写については、震災を体験済みの東北の人たちは、ちょっとやそっとのトラブルなんかにめげず、「カネより命の方が大事」と分かっている、たくましい愛情に満ちた存在に。
田舎町の怖さと包容力が伝わってくる設定になっていました。
白石和彌監督といえば、田舎町の風景や家屋など、「いかにも田舎の実家周り」という、既視感のあるディティール表現が特徴。
今回も、田舎表現の見事さにクラクラしました。
ホント、うちの実家とかを思い出す〜。
うちのボロ家を思い出したわい!
街角のダサい看板、デスク上に無造作に置かれた、蚊取り線香の缶、居間に置かれた、謎の木彫りの置物など…ホント、田舎風景あるあるの連続〜!
スタイリッシュなアイテムは一切無い世界なんですよね〜、素晴らしいです。
そんなビジュアルの中で繰り広げられる、淡々とした人間ドラマですが。
映画的に盛り上がるし、映画的な情緒もある。
映画作品としての風格を感じました。
40代の主人公、郁男はギャンブル依存症。
虜なんですよ、競輪の!
チャリンコ命なんですよ!!
米国製の映画ですと、アルコールや薬物の依存症が描かれることが多いですけども。
それを日本映画で描くと、やや説得力が薄めになることでしょう、あんまり周りに、そういう人はいませんしね。
しかしギャンブル依存症なら、日本にも予備軍がゴロゴロ〜。
親近感のある良い題材だと思いました。
ギャンブルに大金をつぎ込み、やがて多額の借金に発展していく場面は、説得力があってコワーイ。
「バクチだけは止めておこう、ダメ、絶対!」…と思いました。
郁男役を演じているのは、なんと香取慎吾くんなんですよね〜。
ものすごいヨゴレ役を相当がんばってました。
元ジャニーズだから〜、細かいところを見ると、人間の生々しさは出し尽くせていませんでしたけども。
ベッドシーンがひとつあれば良かったと思うのですがね〜、抱く場面ですよ!
髪型もキマりすぎてましたしね。
明らかにヘアメイクさんに仕上げてもらった感ですよ!
しかし劇中では、郁男の内縁の妻は美容師。
きっと髪は、妻に仕上げてもらっていた、ということなのでしょう。
妻に毛先を遊ばせてもらっていたのでしょうよ!
ジャニーズ系の良いところは、圧倒的な主役感を出せるところだと思います。
作品のアイコンとしては、適材だったと思います。
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- 作者: 加藤正人
- 出版社/メーカー: キノブックス
- 発売日: 2019/05/31
- メディア: 単行本
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